BBT大学院修了後、RPA導入のコンサルティングを行うASIMOV ROBOTICS株式会社を設立された藤森さん。エネルギッシュに目標を追い求める藤森さんに、BBT大学院での学習や卒業研究、クラスメート・先生とのつながりなどについてうかがいました。

プロフィール

藤森恵子(ふじもり けいこ)さん
2017年BBT大学院入学、2019年修了。
経営コンサルティング会社、監査法人を経てビジネス・ブレークスルー大学大学院へ入学、その後ASIMOV ROBOTICS株式会社を創業。
卒業研究で取り組んだ新規事業計画は、数年間該当者のいなかった「大前研一学長特別賞」を受賞、更に、教授陣が選考する「卒業研究優秀賞」をダブル受賞するという大学院史上初の快挙を達成。
2021年4月、オートメーション・エニウェア社の「Japan Partner Awards2021」において『Showcase Award』を受賞。

産休・育休のブランクによるコンプレックス解消のため、BBT大学院に。バラバラだった知識をMBAで体系化したかった

ーーまず、ビジネス・ブレークスルー大学大学院(以下、BBT大学院)に入学を決めた理由を教えてください。

私は戦略系経営コンサルティング会社と監査法人に勤めた後に独立しましたが、途中産休・育休などのブランクがありました。そのため、ビジネスとしてのキャリアが人より少ないというコンプレックスと不安を感じていたのです。

そこで、せっかくの機会だから頭の中を整理するために勉強しようと思い立ち、BBT大学院への入学を決めました。

ーー頭の中を整理したいというのはどういうことですか?

私が、独立してやりたかったことは、経営コンサルティングです。新卒で就職したコンサルティング会社の先輩方は、皆さんMBAホルダーでしたので、私も以前からMBAやフレームワークが気になっていました。しかし、経営の勉強としては、公認会計士試験の試験科目として学んだ他は、仕事をしながら必要なことを都度勉強してきた形で体系だった勉強ができていないと感じてしました。

言ってみれば実践で培ってきたキャリアだったので、ムラを無くしたいというか、これまでのバラバラの知識を整理して、より高いクオリティのコンサルティングができるように、きちんと論理に基づいた経営を学びたいと思ったわけです。

BBT大学院であれば、体系だった学びに加え、「RTOCS」(※1)により、机上のものではあるものの、2年間で約100の現在進行系のケーススタディを経験できます。それが、多少なりとも自分のブランクを補ってくれるのではないかと思いました。

ーー実際にBBT大学院で学ばれて、どのように感じましたか?

一番意義があったのは、フレームワークを使ってアウトプットを繰り返すということです。そのアウトプットベをースに学生同士で議論することでブラッシュアップしていく。これは一人ではできないので、非常に密度の濃い学びでした。

エアキャンパスでの発言は、会話と違って正しい言葉を使わないと考えが正確に伝わらないので、口頭でのディスカッションにくらべ、より、厳しい環境で膨大なアウトプットの練習ができたと感じます。

また、さまざまなバックグラウンドの方がいらっしゃるので、クラスメートとのディスカッションでは自分とは全く異なる視点でのツッコミが入りますので、非常に勉強になりました。

経営コンサルティングや公認会計士業界という専門職畑にずっといましたので、他業種の方と深く論議することで、脳の違う部分が刺激されたように思います。

怖いな!?と思ったのが、ディスカッションフォーラム(※2)が24時間空いていることですね。私は夜型なのでアウトプットを作って送信し、寝るのが2~3時といった生活でしたが、、起きるとすでに誰かから返信が入っているのです。

朝型の方も夜型の方もおられるので、24時間思考し続けているというのは面白かったです。

ーークラスメートとのつながりはありましたか?

非常に盛り上がった学年で、オフライン飲み会などもよくありました。また、在学中に一度、熱海で合宿したこともありました。本当に、みんな議論好きで、観光でなく、ちゃんと会議室を借りてディスカッションしていましたね(笑)

そんな感じで繋がっていたので、勉強していてもパソコンの向こうにクラスメートの顔が常に見えていて励みになりました。疲れていても、パソコンを開くと、いつものメンバーの発言が目の前で上がってくるので、参戦しないわけにはいかなくなるんです。

編集者註
※1「RTOCS(アールトックス)」:「Real Time Online Case Study」の略称で、BBT独自のケースメソッドです。答えの出ていない「現在進行形の企業課題」をケースとして扱い、当該企業に関する調査・分析・戦略考案を自ら実施します。大前研一学長の戦略系科目において、卒業までに2年間毎週1題=合計約100題を繰り返し行います。

※2「ディスカッションフォーラム」:学生が議論する場所。テキスト・コミュニケーションを通じてひとつのテーマを議論します。

卒業研究で徹底的に鍛え抜かれたからこそ、今のビジネスが実現できた

ーー現在は、創業されたASIMOV ROBOTICS株式会社で、RPA導入のコンサルティングを行っていらっしゃるということですが、この事業を始めた経緯を教えてください。

元々は独立後に共同経営していた税理士法人で、RPAを使って顧問先である一般起業の業務を効率化できないかと考えていました。大学でシステム工学を学んでいたので、プログラミングも出来ましたし。まずは、自身の税理士法人でRPAを導入しようと実際にライセンスを購入したものの、普段の仕事が忙しくてRPA導入どころではありませんでした。それで、これは税理士法人の一職員が片手間でできるものではないと気づいたのです。

その頃、ちょうどBBT大学院の卒業研究(※3)のテーマを考えていたところで、これをビジネス化したいと思い始めました。

ーーお客様は一般企業だけでなく、会計事務所も2割あるとお聞きしました。

はい。卒業研究の流れに沿ってインタビューをしていくうちに、一般企業におけるニーズは絶対あると確信できました。
しかし、私自身、業界の人間として、中小企業のバックオフィスを支える会計事務所のITリテラシーがあまり高くないことを知っていました。

そうなると、最終的には会計事務所がボトルネックになってしまい、効率化がストップしてしまう可能性があります。そこで、税理士法人や会計事務所のIT導入による業務効率化も勧める必用があると考え、自身の税理法人での成功事例をベースに、RPAの導入支援も実施していくことにしました。もちろん、会計事務所や会計業界の活性化につなげたいという思いもあります。

ーー卒業研究のために、5、6ヵ月間個別指導が受けられますが、どのように進められたか教えてください。

卒業研究がなかったら、今のビジネスがなかったのは確かです。RPA導入支援とは決まっていましたが、どういうビジネスモデルにするかは、卒業研究で本当に考え抜きました。

元々、会計士なので業務フローなどの知識があって、理系のためシステムも分かっていました。ですが、最初に提出したプランは、指導教授の余語先生に「全然、面白くない。それって、藤森さんがやる意味あるの?」と、瞬殺されました。

なぜ、自分がそのビジネスをやる必要があるのか、どう差別化できるのかということを熟考する必要がありました。 自分が持っているものを核にして作っていかなかったら、差別化にならないですから。

余語先生(※4)は本当に厳しくて、私は、まず、フレームに落とし込んで表面的に体裁を整えて、それから中身をブラッシュアップしていこうと思ったんですけど、「こういうのは2週間前にやればいいことでしょう」と言って見てもくれませんでした。とにかく、何日も何日も24時間考え続け、苦しんでましたら、歯の詰め物が2か所立て続けに落ちました。よっぽど、歯を食いしばっていたみたいです(笑)。

その後も、何度もやり直しが続き、卒業に間に合わないのではないかと・・・、「まずは、卒業したいんですけど」と言っても聞いてもらえず、先生に指摘を受ける度に、インタビュー、資料収集、そして考える・・・の繰り返しです。そして、期限の少し前にやっとOKが出て、「あとはまとめといてね」と一言。「え~このあとの指導は???」と、泣きそうになりながらまとめに入ったら、なんと全部材料が揃っているわけです。

余語先生はコンサルタントとして一流の方なので、フレームワークに必要な素材がすべてわかっていて、あとは組み立てればよいという風になっていたのですね。コアとなるビジネスモデルがいかに大切か、その時に実感しました。

ーー藤森さんは卒業研究で大前研一学長特別賞を受賞されていますね。

はい、目標にしていたので、とても嬉しかったです。更に、同期の投票で社長賞を受賞したことも励みになりました。

どちらかというとNo2で参謀を務めるほうが性に合っていたのですが、社長になってもいいと背中を押してもらえたように思いました。。

ーー BBT大学院を卒業して、実際に起業されてからはどうでしたか?

BBT大学院での学びが、本当に日々活きています。

今でも常にフレームワークを意識するようにして、自社のビジネスを客観的に分析することを心がけています。例えば、新しいサービスを付加する時には、コアのビジネスからぶれてないことを確認します。これが新しいサービスを始めるかどうかの判断軸です。

とはいえ、今は、実務が同時並行で進んでいるので、正直じっくり考えている時間的余裕はありません。

振り返ってよかったと思うのは、じっくりとビジネルモデルを練り上げる時間があったことです。
BBT大学院で勉強していた助走期間に、しっかりと時間をとって調査をし、考えられるリスクとその対策を何度も検討することができた貴重な期間です。きっちり筋トレしてから外に出て行けたと感じています。

ーー突発的な外的要因に対する、反応の仕方は変わりましたか?

ピンチをポジティブに捉えられるようになりました。外的要因が大きく変化するときは、必ず歪みが生じます。そこに落ちているチャンスが見えれば勝ちだと自分に言い聞かせています。
編集者註
(※3)「卒業研究」:BBT大学院の卒業研究では、新規事業計画を立案します。一流の実務家教員による個別指導のもと、机上の空論ではなく、実戦で通用する事業計画を作ります。

(※4)「余語先生」:BBT大学院教授、「企業再生論」「卒業研究」など担当。科学技術庁を経てマッキンゼーに入社。株式会社光通信にてCO-CEOとして経営を再建する。その後、株式会社カネボウ化粧品にて会長兼CEOとして、経営を再建した企業再生のプロ。

コンフォートゾーンを打ち破り、決めたことをやり抜くために、人とのつながりが大切にする

ーー藤森さんは会社員も長くやっていらっしゃいましたね。

起業はすごいことのように思われがちですが、起業家と会社員に優劣があるのではなくタイプが違うのだと思います。組織の中できちんと自分を表現するというのは、すごく大変だし、素晴らしいことです。自分がどういう風に生きたいかは人によって違うということだと思っています。

ーーいろいろな方にアプローチしていくのもお上手ですね。

頭は一つしかないし1日は24時間ですから、その分野が得意な人の脳をお借りしたほうが、絶対に良い結果が出るはずです。でも、実はものすごい人見知りで、表面にはだしませんが、初対面の人に話しかけること自体すごくきついんです。だから、BBT大学院に入るとき、それも克服するって決めてました。

そのためには、場数を踏むしかないと思って、入学式の前日に自分の個人用の名刺を家のプリンターで印刷して、全員に配る意気込みで臨みました。全員は無理でしたが、そこらじゅうに配って歩きましたね(笑)

また、専門職という枠を飛び出して、肩書の無い土俵での経験をしてみたい思って、たまたま声をかけていただいた友人の選挙運動のお手伝いをしたこともありました。ビラ配りも初めての経験でしたが、電話かけで怒鳴られたりとか…そういう繰り返しで少しずつ、度胸がついていったかもしれません。

ーーコンフォートゾーンを打ち破る力、決めたことをやり抜く力がすごいと思います。また、これまでまわりの方に恵まれたということですが、それは藤森さんがご縁を大切にしているからでしょうね。

しつこい性格ではありますね(笑)。以前の会社の方などに、いまだに年賀状を毎年出しています。

以前、年賀状は5年間返事がなかったら、諦める、という方のお話を聞き、実践しています。本当に、3年目あたりでひょっこりお返事が戻ってきたりすることもあります。去年の年賀状に起業のことを書いたら、そこからご縁が復活した方もいました。

ーービジネスは人と人とのつながりでできている面もありますね。

本当にその通りで、現在の会社のお客様には、これまで勤めてきた会社の方からのご紹介という場合が、結構あります。人の繋がりって大事だなぁと改めて感じています。

BBT大学院に入って、多くの新たな繋がりができました。クラスメートとは、書き文字でコミュニケーションをするので、おとなしくてもしっかり考えている人の声は届きます。それがとても良いところだと思います。

文字情報からって、結構、思考パターンや性格が見えますよね。そこから、起業した時に誰に声をかけるかといったことも決めました。

ーー今の会社のボードメンバーの方も、BBT大学院の同期の方とおうかがいしました。

入学式で私に名刺を押し付けられた一人が、今のボードメンバーになっています(笑)。もう一名もBBT大学院の同期です。年齢も業界も全く違うのですが、発言などで性格がある程度わかっていましたし、信頼できると思いました。

ーーBBTのつながりで人が増えていくのは、私どもとしても嬉しいです。

学生としての時の付き合いってある意味利害関係がないので、フラットにつきあえるところがあります。

会社では役員クラスの方でも、BBT大学院ではあくまでも同期ですから対等に話してくださいます。、また、世界規模のBBT大学院ならではですが、出張で地方に行くと、在住の同期が集まって飲み会を開いてくれたりします。そういうお付き合いができるのも良いところだと思います。

BBT大学院は学ぶ以上の場。迷っている人は一歩を踏み出して

ーーBBT大学院への入学を検討している方の中には迷っている方も多いので、そういう方にメッセージをお願いします。

迷っているのであれば、まずは一歩踏み出してみることだと思います。自分が動かなければ、何も変わらず、迷いも消えません。BBT大学院のようなところでいろいろな方と出会うと、自分のことを客観的に見ることができます。

私は監査法人に在職中に、転職活動したことがあります。今思うと、本当に転職したいと思っていたか微妙ですが、漠然とした不満があったんです。転職活動を通して、自分の価値がどこで活かせるか、どう評価されるか知ることができました。

結論としては、そのまま監査法人に残り、法人内での移動を希望しました。選択した上で決めたことなので不満は無くなりました。

ーー自分を相対化する ということですね。

迷っているのだったら、何か一歩踏み出してみるべきだと思います。口を開けて待っているだけでは、誰も協力してくれませんが、本気で頑張ってくれる人には、必ず誰かが手を差し伸べてくれると思います。

また、後輩に質問された時によく言うのですが、BBT大学院に入ったら早くコミュニティーを作ったほうがよいです。情報交換しながら、励ましながら進めば、モチベーションも高まりますし、得られるものも何倍にもなります。

何を求めに来るかは人それぞれですが、勉強だけではもったいないというのが私の感想です。座学だけなら本を読むだけでもできますが、せっかくBBT大学院で学ぶのですから、それ以外のことにももっと関わるとよいのではないでしょうか。

私はBBTの掲示板でイベントを探して、「BIC」(※5)によく出席していました。その時指導していただいた伊藤先生(※6)には、実は授業を取っていなかったのですが、今でも資金調達のことなどをご相談させていただいています。

伊藤先生や余語先生のような第一人者にリアルで指導していただけるのですから、その機会を最大限に活かしてほしいと思います。

編集者註:
(※5)「BIC」:BBT大学院運営会社、株式会社ビジネス・ブレークスルーが擁するビジネスインキュベーションセンター。在学生・修了生で起業を志す方々を対象に、BBTの中核人材ネットワークを駆使して、経営及び営業・マーケティングを重視した起業支援をする機関。
(※6)「伊藤先生」:伊藤 泰史教授。運営会社である株式会社ビジネス・ブレークスルーの取締役であり、BBT大学院事業など数々の事業を立ち上げてきた経営者でもある。

BBT大学院修了後、RPA導入のコンサルティングを行うASIMOV ROBOTICS株式会社を設立された藤森さん。エネルギッシュに目標を追い求める藤森さんに、BBT大学院での学習や卒業研究、クラスメート・先生とのつながりなどについてうかがいました。

プロフィール

藤森恵子(ふじもり けいこ)さん
2017年BBT大学院入学、2019年修了。
経営コンサルティング会社、監査法人を経てビジネス・ブレークスルー大学大学院へ入学、その後ASIMOV ROBOTICS株式会社を創業。
卒業研究で取り組んだ新規事業計画は、数年間該当者のいなかった「大前研一学長特別賞」を受賞、更に、教授陣が選考する「卒業研究優秀賞」をダブル受賞するという大学院史上初の快挙を達成。
2021年4月、オートメーション・エニウェア社の「Japan Partner Awards2021」において『Showcase Award』を受賞。

産休・育休のブランクによるコンプレックス解消のため、BBT大学院に。バラバラだった知識をMBAで体系化したかった

ーーまず、ビジネス・ブレークスルー大学大学院(以下、BBT大学院)に入学を決めた理由を教えてください。

私は戦略系経営コンサルティング会社と監査法人に勤めた後に独立しましたが、途中産休・育休などのブランクがありました。そのため、ビジネスとしてのキャリアが人より少ないというコンプレックスと不安を感じていたのです。

そこで、せっかくの機会だから頭の中を整理するために勉強しようと思い立ち、BBT大学院への入学を決めました。

ーー頭の中を整理したいというのはどういうことですか?

私が、独立してやりたかったことは、経営コンサルティングです。新卒で就職したコンサルティング会社の先輩方は、皆さんMBAホルダーでしたので、私も以前からMBAやフレームワークが気になっていました。しかし、経営の勉強としては、公認会計士試験の試験科目として学んだ他は、仕事をしながら必要なことを都度勉強してきた形で体系だった勉強ができていないと感じてしました。

言ってみれば実践で培ってきたキャリアだったので、ムラを無くしたいというか、これまでのバラバラの知識を整理して、より高いクオリティのコンサルティングができるように、きちんと論理に基づいた経営を学びたいと思ったわけです。

BBT大学院であれば、体系だった学びに加え、「RTOCS」(※1)により、机上のものではあるものの、2年間で約100の現在進行系のケーススタディを経験できます。それが、多少なりとも自分のブランクを補ってくれるのではないかと思いました。

ーー実際にBBT大学院で学ばれて、どのように感じましたか?

一番意義があったのは、フレームワークを使ってアウトプットを繰り返すということです。そのアウトプットベをースに学生同士で議論することでブラッシュアップしていく。これは一人ではできないので、非常に密度の濃い学びでした。

エアキャンパスでの発言は、会話と違って正しい言葉を使わないと考えが正確に伝わらないので、口頭でのディスカッションにくらべ、より、厳しい環境で膨大なアウトプットの練習ができたと感じます。

また、さまざまなバックグラウンドの方がいらっしゃるので、クラスメートとのディスカッションでは自分とは全く異なる視点でのツッコミが入りますので、非常に勉強になりました。

経営コンサルティングや公認会計士業界という専門職畑にずっといましたので、他業種の方と深く論議することで、脳の違う部分が刺激されたように思います。

怖いな!?と思ったのが、ディスカッションフォーラム(※2)が24時間空いていることですね。私は夜型なのでアウトプットを作って送信し、寝るのが2~3時といった生活でしたが、、起きるとすでに誰かから返信が入っているのです。

朝型の方も夜型の方もおられるので、24時間思考し続けているというのは面白かったです。

ーークラスメートとのつながりはありましたか?

非常に盛り上がった学年で、オフライン飲み会などもよくありました。また、在学中に一度、熱海で合宿したこともありました。本当に、みんな議論好きで、観光でなく、ちゃんと会議室を借りてディスカッションしていましたね(笑)

そんな感じで繋がっていたので、勉強していてもパソコンの向こうにクラスメートの顔が常に見えていて励みになりました。疲れていても、パソコンを開くと、いつものメンバーの発言が目の前で上がってくるので、参戦しないわけにはいかなくなるんです。

編集者註
※1「RTOCS(アールトックス)」:「Real Time Online Case Study」の略称で、BBT独自のケースメソッドです。答えの出ていない「現在進行形の企業課題」をケースとして扱い、当該企業に関する調査・分析・戦略考案を自ら実施します。大前研一学長の戦略系科目において、卒業までに2年間毎週1題=合計約100題を繰り返し行います。

※2「ディスカッションフォーラム」:学生が議論する場所。テキスト・コミュニケーションを通じてひとつのテーマを議論します。

卒業研究で徹底的に鍛え抜かれたからこそ、今のビジネスが実現できた

ーー現在は、創業されたASIMOV ROBOTICS株式会社で、RPA導入のコンサルティングを行っていらっしゃるということですが、この事業を始めた経緯を教えてください。

元々は独立後に共同経営していた税理士法人で、RPAを使って顧問先である一般起業の業務を効率化できないかと考えていました。大学でシステム工学を学んでいたので、プログラミングも出来ましたし。まずは、自身の税理士法人でRPAを導入しようと実際にライセンスを購入したものの、普段の仕事が忙しくてRPA導入どころではありませんでした。それで、これは税理士法人の一職員が片手間でできるものではないと気づいたのです。

その頃、ちょうどBBT大学院の卒業研究(※3)のテーマを考えていたところで、これをビジネス化したいと思い始めました。

ーーお客様は一般企業だけでなく、会計事務所も2割あるとお聞きしました。

はい。卒業研究の流れに沿ってインタビューをしていくうちに、一般企業におけるニーズは絶対あると確信できました。
しかし、私自身、業界の人間として、中小企業のバックオフィスを支える会計事務所のITリテラシーがあまり高くないことを知っていました。

そうなると、最終的には会計事務所がボトルネックになってしまい、効率化がストップしてしまう可能性があります。そこで、税理士法人や会計事務所のIT導入による業務効率化も勧める必用があると考え、自身の税理法人での成功事例をベースに、RPAの導入支援も実施していくことにしました。もちろん、会計事務所や会計業界の活性化につなげたいという思いもあります。

ーー卒業研究のために、5、6ヵ月間個別指導が受けられますが、どのように進められたか教えてください。

卒業研究がなかったら、今のビジネスがなかったのは確かです。RPA導入支援とは決まっていましたが、どういうビジネスモデルにするかは、卒業研究で本当に考え抜きました。

元々、会計士なので業務フローなどの知識があって、理系のためシステムも分かっていました。ですが、最初に提出したプランは、指導教授の余語先生に「全然、面白くない。それって、藤森さんがやる意味あるの?」と、瞬殺されました。

なぜ、自分がそのビジネスをやる必要があるのか、どう差別化できるのかということを熟考する必要がありました。 自分が持っているものを核にして作っていかなかったら、差別化にならないですから。

余語先生(※4)は本当に厳しくて、私は、まず、フレームに落とし込んで表面的に体裁を整えて、それから中身をブラッシュアップしていこうと思ったんですけど、「こういうのは2週間前にやればいいことでしょう」と言って見てもくれませんでした。とにかく、何日も何日も24時間考え続け、苦しんでましたら、歯の詰め物が2か所立て続けに落ちました。よっぽど、歯を食いしばっていたみたいです(笑)。

その後も、何度もやり直しが続き、卒業に間に合わないのではないかと・・・、「まずは、卒業したいんですけど」と言っても聞いてもらえず、先生に指摘を受ける度に、インタビュー、資料収集、そして考える・・・の繰り返しです。そして、期限の少し前にやっとOKが出て、「あとはまとめといてね」と一言。「え~このあとの指導は???」と、泣きそうになりながらまとめに入ったら、なんと全部材料が揃っているわけです。

余語先生はコンサルタントとして一流の方なので、フレームワークに必要な素材がすべてわかっていて、あとは組み立てればよいという風になっていたのですね。コアとなるビジネスモデルがいかに大切か、その時に実感しました。

ーー藤森さんは卒業研究で大前研一学長特別賞を受賞されていますね。

はい、目標にしていたので、とても嬉しかったです。更に、同期の投票で社長賞を受賞したことも励みになりました。

どちらかというとNo2で参謀を務めるほうが性に合っていたのですが、社長になってもいいと背中を押してもらえたように思いました。。

ーー BBT大学院を卒業して、実際に起業されてからはどうでしたか?

BBT大学院での学びが、本当に日々活きています。

今でも常にフレームワークを意識するようにして、自社のビジネスを客観的に分析することを心がけています。例えば、新しいサービスを付加する時には、コアのビジネスからぶれてないことを確認します。これが新しいサービスを始めるかどうかの判断軸です。

とはいえ、今は、実務が同時並行で進んでいるので、正直じっくり考えている時間的余裕はありません。

振り返ってよかったと思うのは、じっくりとビジネルモデルを練り上げる時間があったことです。
BBT大学院で勉強していた助走期間に、しっかりと時間をとって調査をし、考えられるリスクとその対策を何度も検討することができた貴重な期間です。きっちり筋トレしてから外に出て行けたと感じています。

ーー突発的な外的要因に対する、反応の仕方は変わりましたか?

ピンチをポジティブに捉えられるようになりました。外的要因が大きく変化するときは、必ず歪みが生じます。そこに落ちているチャンスが見えれば勝ちだと自分に言い聞かせています。
編集者註
(※3)「卒業研究」:BBT大学院の卒業研究では、新規事業計画を立案します。一流の実務家教員による個別指導のもと、机上の空論ではなく、実戦で通用する事業計画を作ります。

(※4)「余語先生」:BBT大学院教授、「企業再生論」「卒業研究」など担当。科学技術庁を経てマッキンゼーに入社。株式会社光通信にてCO-CEOとして経営を再建する。その後、株式会社カネボウ化粧品にて会長兼CEOとして、経営を再建した企業再生のプロ。

コンフォートゾーンを打ち破り、決めたことをやり抜くために、人とのつながりが大切にする

ーー藤森さんは会社員も長くやっていらっしゃいましたね。

起業はすごいことのように思われがちですが、起業家と会社員に優劣があるのではなくタイプが違うのだと思います。組織の中できちんと自分を表現するというのは、すごく大変だし、素晴らしいことです。自分がどういう風に生きたいかは人によって違うということだと思っています。

ーーいろいろな方にアプローチしていくのもお上手ですね。

頭は一つしかないし1日は24時間ですから、その分野が得意な人の脳をお借りしたほうが、絶対に良い結果が出るはずです。でも、実はものすごい人見知りで、表面にはだしませんが、初対面の人に話しかけること自体すごくきついんです。だから、BBT大学院に入るとき、それも克服するって決めてました。

そのためには、場数を踏むしかないと思って、入学式の前日に自分の個人用の名刺を家のプリンターで印刷して、全員に配る意気込みで臨みました。全員は無理でしたが、そこらじゅうに配って歩きましたね(笑)

また、専門職という枠を飛び出して、肩書の無い土俵での経験をしてみたい思って、たまたま声をかけていただいた友人の選挙運動のお手伝いをしたこともありました。ビラ配りも初めての経験でしたが、電話かけで怒鳴られたりとか…そういう繰り返しで少しずつ、度胸がついていったかもしれません。

ーーコンフォートゾーンを打ち破る力、決めたことをやり抜く力がすごいと思います。また、これまでまわりの方に恵まれたということですが、それは藤森さんがご縁を大切にしているからでしょうね。

しつこい性格ではありますね(笑)。以前の会社の方などに、いまだに年賀状を毎年出しています。

以前、年賀状は5年間返事がなかったら、諦める、という方のお話を聞き、実践しています。本当に、3年目あたりでひょっこりお返事が戻ってきたりすることもあります。去年の年賀状に起業のことを書いたら、そこからご縁が復活した方もいました。

ーービジネスは人と人とのつながりでできている面もありますね。

本当にその通りで、現在の会社のお客様には、これまで勤めてきた会社の方からのご紹介という場合が、結構あります。人の繋がりって大事だなぁと改めて感じています。

BBT大学院に入って、多くの新たな繋がりができました。クラスメートとは、書き文字でコミュニケーションをするので、おとなしくてもしっかり考えている人の声は届きます。それがとても良いところだと思います。

文字情報からって、結構、思考パターンや性格が見えますよね。そこから、起業した時に誰に声をかけるかといったことも決めました。

ーー今の会社のボードメンバーの方も、BBT大学院の同期の方とおうかがいしました。

入学式で私に名刺を押し付けられた一人が、今のボードメンバーになっています(笑)。もう一名もBBT大学院の同期です。年齢も業界も全く違うのですが、発言などで性格がある程度わかっていましたし、信頼できると思いました。

ーーBBTのつながりで人が増えていくのは、私どもとしても嬉しいです。

学生としての時の付き合いってある意味利害関係がないので、フラットにつきあえるところがあります。

会社では役員クラスの方でも、BBT大学院ではあくまでも同期ですから対等に話してくださいます。、また、世界規模のBBT大学院ならではですが、出張で地方に行くと、在住の同期が集まって飲み会を開いてくれたりします。そういうお付き合いができるのも良いところだと思います。

BBT大学院は学ぶ以上の場。迷っている人は一歩を踏み出して

ーーBBT大学院への入学を検討している方の中には迷っている方も多いので、そういう方にメッセージをお願いします。

迷っているのであれば、まずは一歩踏み出してみることだと思います。自分が動かなければ、何も変わらず、迷いも消えません。BBT大学院のようなところでいろいろな方と出会うと、自分のことを客観的に見ることができます。

私は監査法人に在職中に、転職活動したことがあります。今思うと、本当に転職したいと思っていたか微妙ですが、漠然とした不満があったんです。転職活動を通して、自分の価値がどこで活かせるか、どう評価されるか知ることができました。

結論としては、そのまま監査法人に残り、法人内での移動を希望しました。選択した上で決めたことなので不満は無くなりました。

ーー自分を相対化する ということですね。

迷っているのだったら、何か一歩踏み出してみるべきだと思います。口を開けて待っているだけでは、誰も協力してくれませんが、本気で頑張ってくれる人には、必ず誰かが手を差し伸べてくれると思います。

また、後輩に質問された時によく言うのですが、BBT大学院に入ったら早くコミュニティーを作ったほうがよいです。情報交換しながら、励ましながら進めば、モチベーションも高まりますし、得られるものも何倍にもなります。

何を求めに来るかは人それぞれですが、勉強だけではもったいないというのが私の感想です。座学だけなら本を読むだけでもできますが、せっかくBBT大学院で学ぶのですから、それ以外のことにももっと関わるとよいのではないでしょうか。

私はBBTの掲示板でイベントを探して、「BIC」(※5)によく出席していました。その時指導していただいた伊藤先生(※6)には、実は授業を取っていなかったのですが、今でも資金調達のことなどをご相談させていただいています。

伊藤先生や余語先生のような第一人者にリアルで指導していただけるのですから、その機会を最大限に活かしてほしいと思います。

編集者註:
(※5)「BIC」:BBT大学院運営会社、株式会社ビジネス・ブレークスルーが擁するビジネスインキュベーションセンター。在学生・修了生で起業を志す方々を対象に、BBTの中核人材ネットワークを駆使して、経営及び営業・マーケティングを重視した起業支援をする機関。
(※6)「伊藤先生」:伊藤 泰史教授。運営会社である株式会社ビジネス・ブレークスルーの取締役であり、BBT大学院事業など数々の事業を立ち上げてきた経営者でもある。