ソーシャル経済メディア「NewsPicks」を運営する株式会社ニューズピックスにて、バックオフィス部門のチームマネージャーを務める岩井尚子さん。前職時代、出産を経て職場復帰した際に“何かを変えたい”という漠然とした想いが生まれ、ビジネススキルと英語力を向上させるべく、BBT大学院でMBAを取得することを決意しました。

しかし入学後は苦難の連続で、MBAの取得を断念せざるを得ない状況に追い詰められたことも…。それでも「変わりたい」という強い気持ちをパワーに変え、無事に卒業を果たされました。岩井さんがBBT大学院での学びを通して得られたものや、卒業後に感じたご自身の変化などについてうかがいました。

修了生プロフィール

岩井 尚子(いわい なおこ)さん
2014年4月ビジネス・ブレークスルー大学院(以下、BBT大学院)入学、2018年3月修了。入学時39歳、インタビュー時は46歳。株式会社ニューズピックスにてバックオフィス部門のチームマネジャーを担当。(2021年8月現在)。

自分に足りなかったマネジメントスキルと論理的思考力を身につけるべく、BBT大学院でのMBA取得を決意


――はじめに、岩井さんがBBT大学院でMBAを学ぼうと思ったきっかけを教えていただけますか。

2012年に第1子を出産し、2013年に職場復帰しました。その時に刺激的な上司や同僚と出会い、「今のままじゃダメだ、何かを変えなければ」という漠然とした想いが生まれたんです。ある時、上司が貸してくださった本のなかに大前学長の著書があり、そこではじめてBBT大学院を知り、MBAに興味を持ちました。

何かを変えたい=ビジネススキルをつけたいと考えていました。MBAは自分にはハードルが高いと思っていましたが、「これを乗り越えたら何かが変わるかもしれない」と感じ、出願しました。

――MBAを学ぶことを通して、特に身につけたいと思っていた知識やスキルはありましたか?

マネジメントとはどういうものかを知りたいと思っていました。当時は1担当社員で、管理職の仕事がどんなものかわからなかったので。実はもともとの性格上、私はしっかりしているほうではなく、抜けていることが多いんです。それは自分のスキルが足りないからで、スキルを学んで補えば、マネジメントができるかもしれないと考えていました。

自分の会社がこの先どうなるかわからないなか、今の実力では生き残れないと感じていたので、マネジメントを含むビジネススキルを身につけたいという想いも高まっていました。

また、職場で「言いたいことがわからない」と言われることがよくありました。MBAを学んでから、それは論理的思考ができていなかったからだと気づいたのですが、的確にものごとを伝える力も身につけたいと思っていました。

大学院生活は波乱の幕開け…度重なる困難を乗り越え、生活スタイルを再構築


――実際にBBT大学院に入学してみて、いかがでしたか?

実は、出願した時に第2子を妊娠していることが判明し、入学するか迷ったんです。でも、やりたいと思った時がやりどきで、それを逃すと絶対にやらなくなってしまうので、今しかない!と入学を決めました。当然家族には反対され、自分の想いを伝えて了解を得るのに苦労しました。その時が「学びたい」という気持ちのピークだったんですね。

1年目は特に大変で、入学直前に切迫流産になって入院が必要になり、しばらく安静にしていなければなりませんでした。入学式にも出席できず、スタートで出遅れてしまったんです。

さらに、入学式の翌日からRTOCS(※1)が始まりました。私は1担当社員のレベルで入学したので、同級生がディスカッションしている内容がさっぱりわかりませんでした。そこで、わからないことを調べるところから始まるのですが、だんだん何を調べているのかわからなくなり、そもそも自分が何をしているのかわからなくなり…負のループに陥りました。

そのために勉強時間がかなりかかってしまい、妊娠の経過が思わしくないなかで遅くまで勉強していたので主人に怒られました。それで、初年度は大前学長の科目を棄権したんです。


――大変な状況のなかで勉強されていたんですね。

さらには出産後もトラブルに見舞われ、持病で手術をすることになりました。ちょうどその時に試験があったのですが、再び棄権せざるを得ませんでした。グローバリゼーションコースではネイティブの先生の英語チェックがあったのですが、いろいろなことが重なって勉強がままならず、基準を越えられずに0単位でした。

当初は、育休中で時間があるうちに履修のアドバンテージを稼いでおこうと考えていたのですが、ドロップアウトするかどうかの瀬戸際まできていました。でも「自分を変えたくて入学しているのに、ここであきらめるのか?」と自分に問い、やり抜こうと決めました。

その後、入学2年目の4月に復職し、生活スタイルを変えて再挑戦することに。実質そこからが本当のチャレンジでした。

――さまざまな困難が続くなかで、あきらめずにやり抜いたのは素晴らしいですね。そのパワーはどこから生まれたのでしょうか?

「変わりたい」という気持ちが、「辞めたい」という気持ちより少しだけ勝っていたので、その気持ちに賭けることにしました。パワーは自分のなかでくすぶっているものすべてが集約して出てきたものだと思います。

私はどちらかというと“有言不実行”のタイプで、自分で言ったことをやらず、自分で自分を裏切り続けてきました。今回のMBAへのチャレンジも、自分でやると言っているのにやめてしまったら、自分のなかで負の遺産になり、さらにくすぶってしまう…。だったら、「やるだけやってみて、ダメならそこでやめればいい」という考えにいたり、再挑戦を決めました。

編集者註
(※1)「RTOCS(アールトックス)」:「Real Time Online Case Study」の略称で、BBT独自のケースメソッドです。答えの出ていない「現在進行形の企業課題」をケースとして扱い、当該企業に関する調査・分析・戦略考案を自ら実施します。大前研一学長の戦略系科目において、卒業までに2年間毎週1題=合計約100題を繰り返し行います。

セルフリーダーシップの考え方に出会い、自分の中にぶれない芯を確立


――BBT大学院で特に印象に残っている講義はありましたか?

会田秀和先生の「Global Leadership and Corporate Transformation」の講義が印象的でした。それまで「セルフリーダーシップ」というものを知らなかったのですが、『7つの習慣』で有名なスティーブン・R・コヴィーさんのリーダーシップに関する本が講義のなかで課題として出され、それを読んだ時に目から鱗が落ちたんです。

“リーダーシップ=組織を引っ張っていく力”というイメージしかなかったのですが、その前段階として、“自分自身を導く力=セルフリーダーシップ”が必要なんですね。セルフリーダーシップを突き詰めることは、自分で自分を裏切らないことにつながります。自分で決めたことを守り、自分を信頼してから周囲に影響を与えるという考え方に納得して、それからヨガや瞑想を始めて、今も毎朝続けています。

――岩井さんにとってのセルフリーダーシップとは?

自分との約束を守り、コツコツ続けていくことです。すると、木の年輪が重なって幹が太くなるように、そして土の中に広く根を張るように、だんだんと自分にとってのぶれない芯ができてきました。

ヨガや瞑想など小さなことを毎日続けると、自分への信頼が積み重なっていきます、自分への信頼が結果的に言動にあらわれて、それを見た周りのメンバーが「この人に付いていこう」とか「この人に相談してみよう」と思うようになるのではないでしょうか。

在学中は自分の変化を実感することはあまりなかったのですが、卒業後にヨガや瞑想を続けるようになってからお会いした方に「岩井さん、変わったね」と言われることが増えました。「すごく楽しそうで、表情が明るくなった」と、周りに言われてはじめて変化に気がつきました。

――セルフリーダーシップは仕事上でどのように役立っていますか?

セルフリーダーシップを知ってヨガや瞑想を続けるようになってから、どんな状況でも落ち着いてものごとを捉えられるようになりました。2年前に転職してマネジメント職に就き、あらゆる判断をしなければならない機会が増えましたが、自分の中に信頼を蓄えていることで、状況に応じて冷静にものごとをジャッジできるようになったと思います。

ヨガや瞑想を始める前は感情の振れ幅が大きく、ちょっとしたことで振り子が揺れるような感じで気持ちが不安定でした。しかし、セルフリーダーシップについて学び、小さなことを積み重ねるようになってから、自分の芯ができていることを感じる機会が増えましたし、周りに左右されない心構えもできました。

MBAを学ぶことは、ビジネスパーソンとして自分を鍛える“筋トレ”のようなもの


――現在はマネージャーとしてご活躍されていますが、岩井さんはどんなタイプのリーダーですか?

リーダーシップのかたちはいろいろあります。私は、強い統率力を持っているタイプではなく、周りにサポートしてもらいながら、いろいろな情報を得てチームをつくっていくタイプだと実感しています。

以前は「自分がしっかりしていないから周りが支えてくれている。私はマネージャーとしてダメなんだ…」という思考回路に陥りがちでした。しかし、BBT大学院での学びを通して自分の芯ができてからは、それが自分のリーダーシップのスタイルだと捉えています。

――BBT大学院での学びは、どのように活きているでしょうか?

当社はベンチャー企業なので、何かを進めるためにはみずから発言をして周りを巻き込んでいくことが必要です。そこで、BBT大学院でのディスカッションを通して身についた、自分の聞きたいことや考えていることを言語化して発言する力が活きていると思います。

この点では、後正武先生の「組織と経営」の講義が印象に残っています。最初の授業で「ディスカッションをしないのは、参加していないのと一緒」とおっしゃっていたものの、難しすぎてなかなか発言ができず、単位を取れなかったんです。

再履修時にまたその言葉を聞き、今度はとにかく食らいついてディスカッションに参加しました。それまでは周りからの意見が怖くて消極的になっていたのですが、少しずつ慣れてできるようになりました。あの講義が私を変えてくれたと思います。

――BBT大学院でMBAを学ぶ前と後で、どのようなご自身の変化を感じられたでしょうか?

劇的に変化を感じたというよりは、気がついたら違う景色が見えていた…という感覚です。カタチとして何か結果を残しているわけではありませんが、自分の成長を実感できているので、BBT大学院で学んでよかったと思っています。

――今のご自身の姿は、入学前に思い描いていた自分の理想像に近づけているでしょうか?

思いがけない方向に進んではいるものの、ステップアップできていると思います。新たな環境に飛び出してみたいという想いは持っていましたが、異業種に転職することまでは予想外でした。

MBAを学ぶことは、自分自身をビジネスパーソンとしてアップデートするための“筋トレ”のようなものでした。最初は無謀なことをしてしまったと思いましたが、つらかった時期にドロップアウトしなくてよかったです。

MBAという高い山をあきらめずにのぼったら、目の前には見たことのない景色が広がっていました。個性あふれる仲間たちと出会って学んだことで、想像もしていなかった次の景色を見たくなったのも大きな収穫です。

やり抜けば違う景色が見えるはず。自分を変えたいなら、まずは一歩を踏み出そう


――これから岩井さんが取り組みたいことを教えてください。

BBT大学院修了後に、地元の地域で「トーストマスターズクラブ(※2)」の設立に携わりました。そこで今、入会担当副会長を務めているので、セルフリーダーシップを活かしたいと考えています。

また、ヨガや瞑想を通して自分が変われたことを実感しているので、ゆくゆくはそれらの魅力を多くの人に伝える機会を持ちたいですね。その時にも、BBT大学院での学びを役立てられたらうれしいです。

――最後に、MBAを検討されている方へのアドバイスをお願いします。

自分を変えてみたいという想いがあるならば、チャレンジしてみることをおすすめします。在学中はかなりつらいのですが、やり抜けば違う景色が見えるはずです。

産休・育休中の方も、BBT大学院なら時間を有効に使えると思います。在学中、産休・育休の取得中にMBAを学んでいる仲間にたくさん出会い、上手に時間をやりくりして卒業する姿を見てきました。子どもがいるからと入学をためらうことなく、まずは前に進んでみてほしいですね。

編集者註
(※2)「トーストマスターズ」:1924年にアメリカで設立された国際的な非営利教育団体。英語によるスピーチやプレゼンテーションを通して、パブリックスピーキングとリーダーシップを学ぶ。


ソーシャル経済メディア「NewsPicks」を運営する株式会社ニューズピックスにて、バックオフィス部門のチームマネージャーを務める岩井尚子さん。前職時代、出産を経て職場復帰した際に“何かを変えたい”という漠然とした想いが生まれ、ビジネススキルと英語力を向上させるべく、BBT大学院でMBAを取得することを決意しました。

しかし入学後は苦難の連続で、MBAの取得を断念せざるを得ない状況に追い詰められたことも…。それでも「変わりたい」という強い気持ちをパワーに変え、無事に卒業を果たされました。岩井さんがBBT大学院での学びを通して得られたものや、卒業後に感じたご自身の変化などについてうかがいました。

修了生プロフィール

岩井 尚子(いわい なおこ)さん
2014年4月ビジネス・ブレークスルー大学院(以下、BBT大学院)入学、2018年3月修了。入学時39歳、インタビュー時は46歳。株式会社ニューズピックスにてバックオフィス部門のチームマネジャーを担当。(2021年8月現在)。

自分に足りなかったマネジメントスキルと論理的思考力を身につけるべく、BBT大学院でのMBA取得を決意


――はじめに、岩井さんがBBT大学院でMBAを学ぼうと思ったきっかけを教えていただけますか。

2012年に第1子を出産し、2013年に職場復帰しました。その時に刺激的な上司や同僚と出会い、「今のままじゃダメだ、何かを変えなければ」という漠然とした想いが生まれたんです。ある時、上司が貸してくださった本のなかに大前学長の著書があり、そこではじめてBBT大学院を知り、MBAに興味を持ちました。

何かを変えたい=ビジネススキルをつけたいと考えていました。MBAは自分にはハードルが高いと思っていましたが、「これを乗り越えたら何かが変わるかもしれない」と感じ、出願しました。

――MBAを学ぶことを通して、特に身につけたいと思っていた知識やスキルはありましたか?

マネジメントとはどういうものかを知りたいと思っていました。当時は1担当社員で、管理職の仕事がどんなものかわからなかったので。実はもともとの性格上、私はしっかりしているほうではなく、抜けていることが多いんです。それは自分のスキルが足りないからで、スキルを学んで補えば、マネジメントができるかもしれないと考えていました。

自分の会社がこの先どうなるかわからないなか、今の実力では生き残れないと感じていたので、マネジメントを含むビジネススキルを身につけたいという想いも高まっていました。

また、職場で「言いたいことがわからない」と言われることがよくありました。MBAを学んでから、それは論理的思考ができていなかったからだと気づいたのですが、的確にものごとを伝える力も身につけたいと思っていました。

大学院生活は波乱の幕開け…度重なる困難を乗り越え、生活スタイルを再構築


――実際にBBT大学院に入学してみて、いかがでしたか?

実は、出願した時に第2子を妊娠していることが判明し、入学するか迷ったんです。でも、やりたいと思った時がやりどきで、それを逃すと絶対にやらなくなってしまうので、今しかない!と入学を決めました。当然家族には反対され、自分の想いを伝えて了解を得るのに苦労しました。その時が「学びたい」という気持ちのピークだったんですね。

1年目は特に大変で、入学直前に切迫流産になって入院が必要になり、しばらく安静にしていなければなりませんでした。入学式にも出席できず、スタートで出遅れてしまったんです。

さらに、入学式の翌日からRTOCS(※1)が始まりました。私は1担当社員のレベルで入学したので、同級生がディスカッションしている内容がさっぱりわかりませんでした。そこで、わからないことを調べるところから始まるのですが、だんだん何を調べているのかわからなくなり、そもそも自分が何をしているのかわからなくなり…負のループに陥りました。

そのために勉強時間がかなりかかってしまい、妊娠の経過が思わしくないなかで遅くまで勉強していたので主人に怒られました。それで、初年度は大前学長の科目を棄権したんです。


――大変な状況のなかで勉強されていたんですね。

さらには出産後もトラブルに見舞われ、持病で手術をすることになりました。ちょうどその時に試験があったのですが、再び棄権せざるを得ませんでした。グローバリゼーションコースではネイティブの先生の英語チェックがあったのですが、いろいろなことが重なって勉強がままならず、基準を越えられずに0単位でした。

当初は、育休中で時間があるうちに履修のアドバンテージを稼いでおこうと考えていたのですが、ドロップアウトするかどうかの瀬戸際まできていました。でも「自分を変えたくて入学しているのに、ここであきらめるのか?」と自分に問い、やり抜こうと決めました。

その後、入学2年目の4月に復職し、生活スタイルを変えて再挑戦することに。実質そこからが本当のチャレンジでした。

――さまざまな困難が続くなかで、あきらめずにやり抜いたのは素晴らしいですね。そのパワーはどこから生まれたのでしょうか?

「変わりたい」という気持ちが、「辞めたい」という気持ちより少しだけ勝っていたので、その気持ちに賭けることにしました。パワーは自分のなかでくすぶっているものすべてが集約して出てきたものだと思います。

私はどちらかというと“有言不実行”のタイプで、自分で言ったことをやらず、自分で自分を裏切り続けてきました。今回のMBAへのチャレンジも、自分でやると言っているのにやめてしまったら、自分のなかで負の遺産になり、さらにくすぶってしまう…。だったら、「やるだけやってみて、ダメならそこでやめればいい」という考えにいたり、再挑戦を決めました。

編集者註
(※1)「RTOCS(アールトックス)」:「Real Time Online Case Study」の略称で、BBT独自のケースメソッドです。答えの出ていない「現在進行形の企業課題」をケースとして扱い、当該企業に関する調査・分析・戦略考案を自ら実施します。大前研一学長の戦略系科目において、卒業までに2年間毎週1題=合計約100題を繰り返し行います。

セルフリーダーシップの考え方に出会い、自分の中にぶれない芯を確立


――BBT大学院で特に印象に残っている講義はありましたか?

会田秀和先生の「Global Leadership and Corporate Transformation」の講義が印象的でした。それまで「セルフリーダーシップ」というものを知らなかったのですが、『7つの習慣』で有名なスティーブン・R・コヴィーさんのリーダーシップに関する本が講義のなかで課題として出され、それを読んだ時に目から鱗が落ちたんです。

“リーダーシップ=組織を引っ張っていく力”というイメージしかなかったのですが、その前段階として、“自分自身を導く力=セルフリーダーシップ”が必要なんですね。セルフリーダーシップを突き詰めることは、自分で自分を裏切らないことにつながります。自分で決めたことを守り、自分を信頼してから周囲に影響を与えるという考え方に納得して、それからヨガや瞑想を始めて、今も毎朝続けています。

――岩井さんにとってのセルフリーダーシップとは?

自分との約束を守り、コツコツ続けていくことです。すると、木の年輪が重なって幹が太くなるように、そして土の中に広く根を張るように、だんだんと自分にとってのぶれない芯ができてきました。

ヨガや瞑想など小さなことを毎日続けると、自分への信頼が積み重なっていきます、自分への信頼が結果的に言動にあらわれて、それを見た周りのメンバーが「この人に付いていこう」とか「この人に相談してみよう」と思うようになるのではないでしょうか。

在学中は自分の変化を実感することはあまりなかったのですが、卒業後にヨガや瞑想を続けるようになってからお会いした方に「岩井さん、変わったね」と言われることが増えました。「すごく楽しそうで、表情が明るくなった」と、周りに言われてはじめて変化に気がつきました。

――セルフリーダーシップは仕事上でどのように役立っていますか?

セルフリーダーシップを知ってヨガや瞑想を続けるようになってから、どんな状況でも落ち着いてものごとを捉えられるようになりました。2年前に転職してマネジメント職に就き、あらゆる判断をしなければならない機会が増えましたが、自分の中に信頼を蓄えていることで、状況に応じて冷静にものごとをジャッジできるようになったと思います。

ヨガや瞑想を始める前は感情の振れ幅が大きく、ちょっとしたことで振り子が揺れるような感じで気持ちが不安定でした。しかし、セルフリーダーシップについて学び、小さなことを積み重ねるようになってから、自分の芯ができていることを感じる機会が増えましたし、周りに左右されない心構えもできました。

MBAを学ぶことは、ビジネスパーソンとして自分を鍛える“筋トレ”のようなもの


――現在はマネージャーとしてご活躍されていますが、岩井さんはどんなタイプのリーダーですか?

リーダーシップのかたちはいろいろあります。私は、強い統率力を持っているタイプではなく、周りにサポートしてもらいながら、いろいろな情報を得てチームをつくっていくタイプだと実感しています。

以前は「自分がしっかりしていないから周りが支えてくれている。私はマネージャーとしてダメなんだ…」という思考回路に陥りがちでした。しかし、BBT大学院での学びを通して自分の芯ができてからは、それが自分のリーダーシップのスタイルだと捉えています。

――BBT大学院での学びは、どのように活きているでしょうか?

当社はベンチャー企業なので、何かを進めるためにはみずから発言をして周りを巻き込んでいくことが必要です。そこで、BBT大学院でのディスカッションを通して身についた、自分の聞きたいことや考えていることを言語化して発言する力が活きていると思います。

この点では、後正武先生の「組織と経営」の講義が印象に残っています。最初の授業で「ディスカッションをしないのは、参加していないのと一緒」とおっしゃっていたものの、難しすぎてなかなか発言ができず、単位を取れなかったんです。

再履修時にまたその言葉を聞き、今度はとにかく食らいついてディスカッションに参加しました。それまでは周りからの意見が怖くて消極的になっていたのですが、少しずつ慣れてできるようになりました。あの講義が私を変えてくれたと思います。

――BBT大学院でMBAを学ぶ前と後で、どのようなご自身の変化を感じられたでしょうか?

劇的に変化を感じたというよりは、気がついたら違う景色が見えていた…という感覚です。カタチとして何か結果を残しているわけではありませんが、自分の成長を実感できているので、BBT大学院で学んでよかったと思っています。

――今のご自身の姿は、入学前に思い描いていた自分の理想像に近づけているでしょうか?

思いがけない方向に進んではいるものの、ステップアップできていると思います。新たな環境に飛び出してみたいという想いは持っていましたが、異業種に転職することまでは予想外でした。

MBAを学ぶことは、自分自身をビジネスパーソンとしてアップデートするための“筋トレ”のようなものでした。最初は無謀なことをしてしまったと思いましたが、つらかった時期にドロップアウトしなくてよかったです。

MBAという高い山をあきらめずにのぼったら、目の前には見たことのない景色が広がっていました。個性あふれる仲間たちと出会って学んだことで、想像もしていなかった次の景色を見たくなったのも大きな収穫です。

やり抜けば違う景色が見えるはず。自分を変えたいなら、まずは一歩を踏み出そう


――これから岩井さんが取り組みたいことを教えてください。

BBT大学院修了後に、地元の地域で「トーストマスターズクラブ(※2)」の設立に携わりました。そこで今、入会担当副会長を務めているので、セルフリーダーシップを活かしたいと考えています。

また、ヨガや瞑想を通して自分が変われたことを実感しているので、ゆくゆくはそれらの魅力を多くの人に伝える機会を持ちたいですね。その時にも、BBT大学院での学びを役立てられたらうれしいです。

――最後に、MBAを検討されている方へのアドバイスをお願いします。

自分を変えてみたいという想いがあるならば、チャレンジしてみることをおすすめします。在学中はかなりつらいのですが、やり抜けば違う景色が見えるはずです。

産休・育休中の方も、BBT大学院なら時間を有効に使えると思います。在学中、産休・育休の取得中にMBAを学んでいる仲間にたくさん出会い、上手に時間をやりくりして卒業する姿を見てきました。子どもがいるからと入学をためらうことなく、まずは前に進んでみてほしいですね。

編集者註
(※2)「トーストマスターズ」:1924年にアメリカで設立された国際的な非営利教育団体。英語によるスピーチやプレゼンテーションを通して、パブリックスピーキングとリーダーシップを学ぶ。