製薬会社で10年以上研究技術職に携わり、現在は製品開発のプロジェクトマネージャーを勤めている戸高さん。

さまざまな経験から、組織が活性化するためには組織開発・人材育成が重要で、いずれはその分野に携わりたいと考えるようになり、37歳のときにBBT大学院に入学されました。研究技術職ありながら、組織開発・人材育成に興味を持ったきっかけや、BBT大学院での学びが修了後にどのように活かされているかについて、お話をうかがいました。

修了生プロフィール

戸高祥円さん
2017年9月BBT大学院入学、2019年9月修了。入学時37歳、インタビュー時は39歳。中外製薬株式会社 CMC開発部所属(2020年11月時点)。

研究部の組織開発のために経営を学びたかった

――経営大学院に入学されたきっかけについて教えてください。

研究員の頃から、もともと組織開発や人材育成について関心があり、個人的に社外の勉強会に参加するなどして学んでいました。しかし、組織の中で具体的に組織開発などを進めるには、組織開発や人材育成そのものだけではなく、経営や組織マネジメントの視点から捉える必要があり、経営について体系的にきちんと学習する必要があると考えるようになりました。

また、全く違う領域ですが、スタートアップや新規事業にも興味を持っていて、「いつかは経営大学院で学びたい」と長年思っていました。
そして、2016年に研究部から研究開発系のプロジェクトマネージャー(PM)に異動し、1年ほどPMを経験したころ、本格的に経営大学院への入学を検討し始めました。

――どのようなご経験から、組織開発や人材育成への関心が芽生えたのでしょうか。

10年以上所属した研究部では、組織のパフォーマンスと人材の関係性について興味を持っていました。例えば、自分のアイデアが通ってイキイキと仕事をする人、反対になかなか自分の想うようなアイデアが採択されずに元気がなくなり、結果的に異動していく人などを見てきました。そうした中で、「人をモチベートするもの」の総和など、組織の活性度で、組織のパフォーマンスが決まると考えるようになりました。

もともとは、研究員という職種柄もあり、自分自身が研究のフィールドで成長することで貢献するという意識があったんです。でも、経験を積むにつれて、自分一人では達成できることは少なく、組織というチームで力を合わせることで大きな成果を生むことができると考えるようになりました。その過程で、「組織の意識やモチベーションはどうしたら高められるのか知りたい」と思うようになりました。

その後、機会に恵まれて、親会社であるスイスのエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社の選抜研修に参加することができました。その研修で、リーダーシップコンピテンシーのアセスメントを受け、ビジネス・経営についてもっと勉強しないといけないと感じましたし、同時に組織や経営を「ヒト」の観点からみる組織開発の重要性についても実感しました。

選抜研修での学びを自社に持ち帰り、当時所属していた研究部で組織開発の活動をやりたいと提案をしました。その提案は当初なかなか通らなかったのですが、組織開発だけではなく、生産性の向上の取り組みとセットで提案内容することで採用された経験がありました。この経験から、例えば生産性向上といった経営に求められていることに結びつけて組織開発も考えることが重要であると改めて実感しました。

そうした経験が自分の中で引っかかっていて、最終的に自分のキャリアとして考えている「ヒト」に関わる仕事に携わることを考えたときに、その手前にある経営についてもしっかりと体型的に学ぶ必要があると考えました。

――さまざまな経営大学院がある中で、BBT大学院に入学を決めた理由は何ですか?

入学の決め手になったこととしては、第一には通いやすさが挙げられます。
通勤に自宅から会社まで片道2時間以上かかるところに住んでいたので、通学制の経営大学院に通うのは時間的にも難しいと判断しました。

また、仕事で海外とのやりとりが多く、平日の夕方や夜に会議が入るので、自由に学習時間を取って学べるのがポイントでした。
また、実際の現場で役立つ学びを得たいと思っていましたので、実務に活かせるかどうかもポイントにしていました。その観点から、BBTのカリキュラム・授業では特に「RTOCS」(※)が魅力だと感じました。

RTOCSでは1週間に1本ずつ、合計で100本のケーススタディを行いますが、それくらい積み重ねたらら必ず実践に繋がる力がつくと思いました。

※編集註:「RTOCS(アールトックス)」は「Real Time Online Case Study」の略称で、BBT独自のケースメソッドです。答えの出ていない「現在進行形の企業課題」をケースとして扱い、当該企業に関する調査・分析・戦略考案を自ら実施します。大前研一学長の戦略系科目において、2年間毎週1題=合計約100題 を繰り返し行います。

教授陣についても検討のポイントでした。各大学院の教授陣について、どのような先生がいるのかを確認し、実務経験があるかなどを詳しく調べていました。その中で、BBT大学院では実務家教員が多く、実際のビジネスでも結果を残されている点が魅力的でした。

問題解決思考の科目で「国語の授業」!?

――RTOCSも入学の決め手になったとのことでしたが、実際にやってみていかがでしたか?

RTOCSは、純粋に楽しく学べました。すでに答え(結論)が出ている過去の事例ではなく、現在進行形の企業課題について調査・分析・戦略考案をしていくので、その予測が当たることもあれば外れることもあるわけですが、それをリアルタイムで答え合わせができるのが面白かったですね。

日々、ビジネスニュースを流し読みするだけではなく、深堀りして考える癖もつきましたね。シニアマネジメント層と組織課題などについて議論ができるようにもなりました。

2年間に100本ものお題に取り組むわけですが、この数をこなすことがとても大事だと思いました。

これがもし2~3本やるだけのケーススタディだと身につくものは少ないと思いますが、20本、30本と数をこなしていくうちに、類型化できたり、以前の学びを生かせたりしますし、判断力が高まり、考えるスピードも早くなってきます。

また、クラスメイトのさまざまな意見やアイデアを知ることができるのもよかったです。
クラスメイトのこれまでの経験を反映したアイデアから、視点の違いを学ぶことができましたし、今まさに学んでいる別の科目での学びを発想に活かすことで、自分のアイデアが広がることもあって。

数十分の授業の中で結論まで導き出さなければならない対面式のディスカッションとは違って、BBTでは、すべての意見がテキストでWeb上でいつでも確認できるので、クラスメイトの良い意見が流されてしまうことがありません。そのため、1週間かけて、多様な視点で異なる意見を取り込みながらディスカッションを深めていけるので、質の高い学びが得られました。


↑戸高さんとクラスメイトとの飲み会
クラスメイトとのオフ会で「RTCOSで発言されていたあのアイデアってどうやって発想されたんですか?」などとお話しできたのも面白かったです。

――ほかにも学べてよかった科目はありますか?
もともと、新規事業の0から1を創ることに興味があって、大前研一学長の著書の中で最初に読んだのも、『「ベンチャー起業」実戦教本』でした。

それが背景にもあり、「リーン・スタートアップのビジネスモデル研究」の科目を履修したのですが、なかなか学べない新規事業の立ち上げについて、実際にどう立ち上げるのかを体系的に学ぶことができ、とても勉強になりました。講義で自分のビジネスアイデアについてのMVP(※)を実際に作って顧客評価を得る体験をしましたが、担当の谷中先生のフィードバックをしっかりいただけるだけでなく、先生のレスポンスがとても速いこと自体にリーンの在り方を体感できました。

MVPやリーンスタートアップ手法は、新規事業の立ち上げ以外にも社内提案などでも使えるので、私は何か新しいアイデアを実行したり提案する際に活用しています。

また、会計系の科目を履修したことで、管理会計や経理の処理ができるようになり、社内の財務経理担当の方とも議論できるようになったのもよかったです。

※編集註:「MVP(Minimum Viable Product)」とは、「顧客に提供するうえで、必要最小限の機能のみをもつ商品・サービス」のことです。MVPを活用することで、顧客ニーズにもとづいた新商品・サービスの開発期間を短縮でき、無駄なコストのカットにもつなげられます。

――BBT大学院の在学中、意外だったことや驚いたことはありますか?

入学してすぐに、少しびっくりしたのは「AirCampus®」(※)に学生の発言がすべて記録として残っていくことです。あれはいい意味でのサプライズでした。自分の過去の発言をしっかり見直せますし、時間を気にしないでじっくり考えられる、良い機能だと思いました。

※編集註:「AirCampus®」は、BBT独自のオンライン学習プラットフォームです。インターネット環境があれば、PCやスマホ、タブレットなどからいつでもどこでも利用できます。BBT大学院では、AirCampus®上でインプットとアウトプットを繰り返しながら受講を進めていきます。

オンラインで学べる経営大学院はほかにもありましたが、同じオンラインであっても、ほかの大学院はオンライン会議システムなどを使って、定時に学習するしくみでした。そうすると、ディスカッションなどもリアルタイムで行い、制限時間がありますので短時間で考える力が鍛えられると思いますが、時間が足りなくて考えがまとまらないこともあると思います。

一方、BBT大学院ではテキストベースで各自好きなタイミングで発言ができるので、自分の考えをまとめて文字に起こすことができます。

これは実際にテキストディスカッションをやってみてわかったことでしたが、論理的に考えているつもりでも、文字にして初めて論理破綻していることがあるのに気づけました。リアルタイムの議論では、曖昧でも気が付かないことがテキストベースでは顕著になります。考えを論理的に組み立ててまとめる力は鍛えられたと思います。

問題解決思考の科目で「国語の授業」から始まったのも驚きました。最初は「どうして国語なのだろう?」と思ったんですが、講義を受けて、普段どれだけわかりにくい説明の仕方や表現をしていたかを実感し、言葉選びや表現方法に気をつけるようになりました。

問題解決においては、論理的に思考することももちろん重要ですが、それを「いかに論理的にわかりやす表現するか」も重要だと痛感しましたね。論理構成をしっかり学んだおかげで、社内のプレゼンや報告資料をまとめたり、推敲したりする作業が速くなりました。

「学ぶこと」「思考すること」が日常化した

――「いずれは組織開発や人材開発に携わらりたい」という想いもあって入学を決意されたとのことでしたが、修了後の今、何か実践されていることはありますか?

卒業研究では、「グローバル人材の育成」について取り組みました。修了後に、実際に自社の人事部長などに提案をして、フィードバックをもらいました。プロジェクトはまだ具体的には動き出していないのですが、私自身、海外のパートナーと一緒に仕事をしているので、グローバル人材に求められるコンピテンシーについて調べた内容を、まずは自分が実践・実行するように心がけています。

グローバル人材とは、まったく異なる価値観を持った人たちの中でリーダーシップを発揮できる人のことだと思います。現在の担当業務などの実践の場を通じ自分なりにリーダーシップを体現することで、卒業研究の実現に向けた知見を得られると思いますし、将来的な組織開発や人材育成の関わりにもつながると考えています。

組織開発や人材育成の分野は、数年単位で考えるもので、すぐには結果が出ないものだと思います。その観点からは、今は焦らずに、自分自身が多様な経験を積むことや、同じ分野に興味がある他社の方とお話して多様な事例を貯めたりすることも、決して無駄にならないと思います。今後も、自分なりに実践してみたりする中で、学びを深めていきたいです。

――BBT大学院での学びを通して、「OSがアップデートされた感覚」と表現される方がいらっしゃるのですが、戸高さんの場合はいかがですか?

OS が変わったという感覚は、確かに私もあります。でも、OSが変わっただけではなくて、「OSに搭載できるソフトウェアやアプリケーションが変わった」と表現したほうが感覚に近いかもしれません。BBT 大学院で学んだことで、OSが新しくなって、そこに載せられるソフトウェアやアプリが従来とは全然違うものになった感じですね。

たとえば、入学以前の私の“OS”に、デジタルマーケティングをインストールしようと思っても“サポート対象外”になって搭載できなかったり、イノベーションやリーンスタートアップなども全くワークしなかったりしたと思います。

でも、修了後はOS が変わって、使えるソフトウェアやアプリが100倍ぐらいなったのでは?と思うくらい、対象のアプリが増えた感覚があります。“搭載できる対象範囲”が広がった分、「どんなソフトウェアやアプリをインストールするべきか?」という選択に関する課題感は今のほうがあるかもしれません。

振り返ってみると、BBT大学院を修了して一番良かったのは「学ぶこと」「思考すること」が普遍化・日常化したことだと思います。

「未知のところに放り込まれても、学んで、思考すれば、きっと何とかなる」という肯定感が持てるようになりました。現在のコロナ禍のように、一歩先がわからない状況では、既存概念や従来のやり方に囚われることのリスクが顕在化していると思います。

そのリスクに対処する方法として、“新しいOS”に必要な“ソフトウェアやアプリ”を常にアップデートし、変化に素早く対処していくことが重要で、その基礎を学ぶ場として、BBT大学院での学びはとても意義深いものになりました。


製薬会社で10年以上研究技術職に携わり、現在は製品開発のプロジェクトマネージャーを勤めている戸高さん。

さまざまな経験から、組織が活性化するためには組織開発・人材育成が重要で、いずれはその分野に携わりたいと考えるようになり、37歳のときにBBT大学院に入学されました。研究技術職ありながら、組織開発・人材育成に興味を持ったきっかけや、BBT大学院での学びが修了後にどのように活かされているかについて、お話をうかがいました。

修了生プロフィール

戸高祥円さん
2017年9月BBT大学院入学、2019年9月修了。入学時37歳、インタビュー時は39歳。中外製薬株式会社 CMC開発部所属(2020年11月時点)。

研究部の組織開発のために経営を学びたかった

――経営大学院に入学されたきっかけについて教えてください。

研究員の頃から、もともと組織開発や人材育成について関心があり、個人的に社外の勉強会に参加するなどして学んでいました。しかし、組織の中で具体的に組織開発などを進めるには、組織開発や人材育成そのものだけではなく、経営や組織マネジメントの視点から捉える必要があり、経営について体系的にきちんと学習する必要があると考えるようになりました。

また、全く違う領域ですが、スタートアップや新規事業にも興味を持っていて、「いつかは経営大学院で学びたい」と長年思っていました。
そして、2016年に研究部から研究開発系のプロジェクトマネージャー(PM)に異動し、1年ほどPMを経験したころ、本格的に経営大学院への入学を検討し始めました。

――どのようなご経験から、組織開発や人材育成への関心が芽生えたのでしょうか。

10年以上所属した研究部では、組織のパフォーマンスと人材の関係性について興味を持っていました。例えば、自分のアイデアが通ってイキイキと仕事をする人、反対になかなか自分の想うようなアイデアが採択されずに元気がなくなり、結果的に異動していく人などを見てきました。そうした中で、「人をモチベートするもの」の総和など、組織の活性度で、組織のパフォーマンスが決まると考えるようになりました。

もともとは、研究員という職種柄もあり、自分自身が研究のフィールドで成長することで貢献するという意識があったんです。でも、経験を積むにつれて、自分一人では達成できることは少なく、組織というチームで力を合わせることで大きな成果を生むことができると考えるようになりました。その過程で、「組織の意識やモチベーションはどうしたら高められるのか知りたい」と思うようになりました。

その後、機会に恵まれて、親会社であるスイスのエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社の選抜研修に参加することができました。その研修で、リーダーシップコンピテンシーのアセスメントを受け、ビジネス・経営についてもっと勉強しないといけないと感じましたし、同時に組織や経営を「ヒト」の観点からみる組織開発の重要性についても実感しました。

選抜研修での学びを自社に持ち帰り、当時所属していた研究部で組織開発の活動をやりたいと提案をしました。その提案は当初なかなか通らなかったのですが、組織開発だけではなく、生産性の向上の取り組みとセットで提案内容することで採用された経験がありました。この経験から、例えば生産性向上といった経営に求められていることに結びつけて組織開発も考えることが重要であると改めて実感しました。

そうした経験が自分の中で引っかかっていて、最終的に自分のキャリアとして考えている「ヒト」に関わる仕事に携わることを考えたときに、その手前にある経営についてもしっかりと体型的に学ぶ必要があると考えました。

――さまざまな経営大学院がある中で、BBT大学院に入学を決めた理由は何ですか?

入学の決め手になったこととしては、第一には通いやすさが挙げられます。
通勤に自宅から会社まで片道2時間以上かかるところに住んでいたので、通学制の経営大学院に通うのは時間的にも難しいと判断しました。

また、仕事で海外とのやりとりが多く、平日の夕方や夜に会議が入るので、自由に学習時間を取って学べるのがポイントでした。
また、実際の現場で役立つ学びを得たいと思っていましたので、実務に活かせるかどうかもポイントにしていました。その観点から、BBTのカリキュラム・授業では特に「RTOCS」(※)が魅力だと感じました。

RTOCSでは1週間に1本ずつ、合計で100本のケーススタディを行いますが、それくらい積み重ねたらら必ず実践に繋がる力がつくと思いました。

※編集註:「RTOCS(アールトックス)」は「Real Time Online Case Study」の略称で、BBT独自のケースメソッドです。答えの出ていない「現在進行形の企業課題」をケースとして扱い、当該企業に関する調査・分析・戦略考案を自ら実施します。大前研一学長の戦略系科目において、2年間毎週1題=合計約100題 を繰り返し行います。

教授陣についても検討のポイントでした。各大学院の教授陣について、どのような先生がいるのかを確認し、実務経験があるかなどを詳しく調べていました。その中で、BBT大学院では実務家教員が多く、実際のビジネスでも結果を残されている点が魅力的でした。

問題解決思考の科目で「国語の授業」!?

――RTOCSも入学の決め手になったとのことでしたが、実際にやってみていかがでしたか?

RTOCSは、純粋に楽しく学べました。すでに答え(結論)が出ている過去の事例ではなく、現在進行形の企業課題について調査・分析・戦略考案をしていくので、その予測が当たることもあれば外れることもあるわけですが、それをリアルタイムで答え合わせができるのが面白かったですね。

日々、ビジネスニュースを流し読みするだけではなく、深堀りして考える癖もつきましたね。シニアマネジメント層と組織課題などについて議論ができるようにもなりました。

2年間に100本ものお題に取り組むわけですが、この数をこなすことがとても大事だと思いました。

これがもし2~3本やるだけのケーススタディだと身につくものは少ないと思いますが、20本、30本と数をこなしていくうちに、類型化できたり、以前の学びを生かせたりしますし、判断力が高まり、考えるスピードも早くなってきます。

また、クラスメイトのさまざまな意見やアイデアを知ることができるのもよかったです。
クラスメイトのこれまでの経験を反映したアイデアから、視点の違いを学ぶことができましたし、今まさに学んでいる別の科目での学びを発想に活かすことで、自分のアイデアが広がることもあって。

数十分の授業の中で結論まで導き出さなければならない対面式のディスカッションとは違って、BBTでは、すべての意見がテキストでWeb上でいつでも確認できるので、クラスメイトの良い意見が流されてしまうことがありません。そのため、1週間かけて、多様な視点で異なる意見を取り込みながらディスカッションを深めていけるので、質の高い学びが得られました。


↑戸高さんとクラスメイトとの飲み会
クラスメイトとのオフ会で「RTCOSで発言されていたあのアイデアってどうやって発想されたんですか?」などとお話しできたのも面白かったです。

――ほかにも学べてよかった科目はありますか?
もともと、新規事業の0から1を創ることに興味があって、大前研一学長の著書の中で最初に読んだのも、『「ベンチャー起業」実戦教本』でした。

それが背景にもあり、「リーン・スタートアップのビジネスモデル研究」の科目を履修したのですが、なかなか学べない新規事業の立ち上げについて、実際にどう立ち上げるのかを体系的に学ぶことができ、とても勉強になりました。講義で自分のビジネスアイデアについてのMVP(※)を実際に作って顧客評価を得る体験をしましたが、担当の谷中先生のフィードバックをしっかりいただけるだけでなく、先生のレスポンスがとても速いこと自体にリーンの在り方を体感できました。

MVPやリーンスタートアップ手法は、新規事業の立ち上げ以外にも社内提案などでも使えるので、私は何か新しいアイデアを実行したり提案する際に活用しています。

また、会計系の科目を履修したことで、管理会計や経理の処理ができるようになり、社内の財務経理担当の方とも議論できるようになったのもよかったです。

※編集註:「MVP(Minimum Viable Product)」とは、「顧客に提供するうえで、必要最小限の機能のみをもつ商品・サービス」のことです。MVPを活用することで、顧客ニーズにもとづいた新商品・サービスの開発期間を短縮でき、無駄なコストのカットにもつなげられます。

――BBT大学院の在学中、意外だったことや驚いたことはありますか?

入学してすぐに、少しびっくりしたのは「AirCampus®」(※)に学生の発言がすべて記録として残っていくことです。あれはいい意味でのサプライズでした。自分の過去の発言をしっかり見直せますし、時間を気にしないでじっくり考えられる、良い機能だと思いました。

※編集註:「AirCampus®」は、BBT独自のオンライン学習プラットフォームです。インターネット環境があれば、PCやスマホ、タブレットなどからいつでもどこでも利用できます。BBT大学院では、AirCampus®上でインプットとアウトプットを繰り返しながら受講を進めていきます。

オンラインで学べる経営大学院はほかにもありましたが、同じオンラインであっても、ほかの大学院はオンライン会議システムなどを使って、定時に学習するしくみでした。そうすると、ディスカッションなどもリアルタイムで行い、制限時間がありますので短時間で考える力が鍛えられると思いますが、時間が足りなくて考えがまとまらないこともあると思います。

一方、BBT大学院ではテキストベースで各自好きなタイミングで発言ができるので、自分の考えをまとめて文字に起こすことができます。

これは実際にテキストディスカッションをやってみてわかったことでしたが、論理的に考えているつもりでも、文字にして初めて論理破綻していることがあるのに気づけました。リアルタイムの議論では、曖昧でも気が付かないことがテキストベースでは顕著になります。考えを論理的に組み立ててまとめる力は鍛えられたと思います。

問題解決思考の科目で「国語の授業」から始まったのも驚きました。最初は「どうして国語なのだろう?」と思ったんですが、講義を受けて、普段どれだけわかりにくい説明の仕方や表現をしていたかを実感し、言葉選びや表現方法に気をつけるようになりました。

問題解決においては、論理的に思考することももちろん重要ですが、それを「いかに論理的にわかりやす表現するか」も重要だと痛感しましたね。論理構成をしっかり学んだおかげで、社内のプレゼンや報告資料をまとめたり、推敲したりする作業が速くなりました。

「学ぶこと」「思考すること」が日常化した

――「いずれは組織開発や人材開発に携わらりたい」という想いもあって入学を決意されたとのことでしたが、修了後の今、何か実践されていることはありますか?

卒業研究では、「グローバル人材の育成」について取り組みました。修了後に、実際に自社の人事部長などに提案をして、フィードバックをもらいました。プロジェクトはまだ具体的には動き出していないのですが、私自身、海外のパートナーと一緒に仕事をしているので、グローバル人材に求められるコンピテンシーについて調べた内容を、まずは自分が実践・実行するように心がけています。

グローバル人材とは、まったく異なる価値観を持った人たちの中でリーダーシップを発揮できる人のことだと思います。現在の担当業務などの実践の場を通じ自分なりにリーダーシップを体現することで、卒業研究の実現に向けた知見を得られると思いますし、将来的な組織開発や人材育成の関わりにもつながると考えています。

組織開発や人材育成の分野は、数年単位で考えるもので、すぐには結果が出ないものだと思います。その観点からは、今は焦らずに、自分自身が多様な経験を積むことや、同じ分野に興味がある他社の方とお話して多様な事例を貯めたりすることも、決して無駄にならないと思います。今後も、自分なりに実践してみたりする中で、学びを深めていきたいです。

――BBT大学院での学びを通して、「OSがアップデートされた感覚」と表現される方がいらっしゃるのですが、戸高さんの場合はいかがですか?

OS が変わったという感覚は、確かに私もあります。でも、OSが変わっただけではなくて、「OSに搭載できるソフトウェアやアプリケーションが変わった」と表現したほうが感覚に近いかもしれません。BBT 大学院で学んだことで、OSが新しくなって、そこに載せられるソフトウェアやアプリが従来とは全然違うものになった感じですね。

たとえば、入学以前の私の“OS”に、デジタルマーケティングをインストールしようと思っても“サポート対象外”になって搭載できなかったり、イノベーションやリーンスタートアップなども全くワークしなかったりしたと思います。

でも、修了後はOS が変わって、使えるソフトウェアやアプリが100倍ぐらいなったのでは?と思うくらい、対象のアプリが増えた感覚があります。“搭載できる対象範囲”が広がった分、「どんなソフトウェアやアプリをインストールするべきか?」という選択に関する課題感は今のほうがあるかもしれません。

振り返ってみると、BBT大学院を修了して一番良かったのは「学ぶこと」「思考すること」が普遍化・日常化したことだと思います。

「未知のところに放り込まれても、学んで、思考すれば、きっと何とかなる」という肯定感が持てるようになりました。現在のコロナ禍のように、一歩先がわからない状況では、既存概念や従来のやり方に囚われることのリスクが顕在化していると思います。

そのリスクに対処する方法として、“新しいOS”に必要な“ソフトウェアやアプリ”を常にアップデートし、変化に素早く対処していくことが重要で、その基礎を学ぶ場として、BBT大学院での学びはとても意義深いものになりました。