業界ウォッチ 2022年11月8日

【データから読み解く】世界の5Gスマートフォン加入者数

今回は「世界の5Gスマートフォン加入者数」を取り上げてご紹介いたします。

5Gは、米国・韓国が先行して商用サービスが開始され、日本では2020年3月商用サービスが開始されました。4Gと比較して、5Gは超高速、超低遅延、同時多数接続といった特徴があると言われ、従来の携帯電話・スマートフォンというよりもIoTなどの産業用途での注目度が高くなっています。

とはいえ、5G対応スマートフォンも徐々に広まりつつあります。

それでは世界的にみてスマートフォン加入者数はどのくらい広まっているのでしょうか。その内、5G対応スマートフォンがどのくらいの数で広まり、今後どの位の加入者の増加が見込まれるのでしょうか。地域別に見ると、どの地域の加入者が多く、どの地域の伸びが高いと予想されているのでしょうか。

実際に数字を見て確認したいと思います。

まず、世界のデバイス種類別の携帯電話加入者数の推移を見てみます。

スマートフォンの加入者数は2011年時点では7.2億人でしたが、そこから増加トレンドで、2021年時点では63.4億人となっています。以降伸びは緩やかになりますが、2027年には78.4億人に達することが予想されています。一方、フィーチャーフォン加入者数は、2011年時点では51.4億人でしたが、以降減少トレンドとなり、2021年時点で16億人、2027年時点では6.9億人にまで減少することが予想されています。

次に通信世代別のスマートフォン加入者数の推移を見てみます。

3G以前を見ると、2011年時点では7.1億人で、そこから増加トレンドで2015年に19.7億人となりましたが、以降は減少トレンドに転じ2021年時点で11.4億人、2027年には5.4億人と予想されています。

4G(LTE)を見てみると、2011年時点では0.1億人で、そこから増加トレンドとなり、、2021年時点で46.6億人、翌2022年に46.9億人となっています。以降は減少トレンドに転じ、2027年で32.3億人となることが予想されています。

5Gを見てみると、2019年時点で1200万人程度でしたが、そこから増加トレンドで、2021年に5.4億人、2027年には40.6億人に達することが予想されています。

さらに、地域別に5Gスマートフォン加入者数を見てみます。

開始時期や人口規模の違いなどがありますが、いずれの地域も加入者数が2027年まで増加トレンドとなっています。なお、2027年の予測値で、最も加入者数が多いのはアジア・オセアニア地域となっており、中でも北東アジア地域が最も加入者が多くなっています。

北東アジア地域は2019年時点で1000万人程度でしたが、以降増加トレンドで、2021年で4.1億人、2027年に16.8億人に達することが予想されています。東南アジア・オセアニア地域は2027年時点で5.2億人、インド・ネパール・ブータン地域は2027時点で4.8億人と予想されています。

その他、2027時点での地域別の加入者数を見ると、欧州地域5.5億人、北米地域3.3億人、中南米地域2.4億人、中東・アフリカ地域2.5億人となっています。

こうしてみると、世界全体で見て、携帯電話・モバイル通信自体はスマートフォン主流に置き換わり、5Gスマートフォンもこれから広まる予想となっていますが、2027年にようやく5Gが4Gを上回る状況となっていることが分かります。

5Gスマートフォンの地域別の広まりをみると、北東アジア地域、東南アジア・オセアニア地域、インド・ネパール・ブータン地域といった人口規模の大きい地域が高いウェイトを占めることが分かります。欧州地域・北米地域といった先進国地域よりも、アジア・オセアニア地域の存在感が高いことが分かります。

また、北東アジア地域の伸びが2024年以降鈍化しているのに対し、東南アジア・オセアニア地域、インド・ネパール・ブータン地域の伸びが大きいことも分かります。

北東アジアは、日本・韓国・中国が中心ですが、将来的な伸びを考えると、東南アジアやインドなどの国・地域での5G展開を考えておくことが、将来のモバイルサービスの成長機会を考える上で重要になるかもしれませんね。

出典:
Ericsson mobility visualizer