業界ウォッチ 2025年7月8日

【データから読み解く】年代別タイパに関する意識

今回は「年代別タイパに関する意識」を取り上げてご紹介いたします。

近年タイパ(タイムパフォーマンス)に関する意識が、Z世代を中心とした若者に広まっていると言われています。タイパは、かけた時間に対する効果や満足度を表す言葉で、コスパ(コストパフォーマンス)の時間版のような意味合いだとされています。

特に、ストリーミング動画を倍速で再生して視聴するなど、タイパを意識した生活・行動様式を取り上げて、報道されることが多くなっています。

確かに、Z世代などの若者を中心にタイパに関する意識が高くなっている傾向があるようにも思われますが、そのほかの年代は、タイパ意識はあるのでしょうか。若者世代とどのくらい違いがあるのでしょうか。AIなどのツールを使ってタイパを高めるといった行動など、年代によって手違いがあるのでしょうか。

また、そもそもタイパを高めることによって幸せを感じているのでしょうか。年代ごとに違いがあるのでしょか。

実際に数字を見て確認したいと思います。
time performance

まず、「タイパを意識して行動している」かどうか年代別に見てみます。

2025年時点で「タイパを意識して行動している」との回答割合が最も高かったのは、「10代」と「30代」が同率で、いずれも約7割の69.5%となっています。次いで高いかったのが「20代」で60.5%となっています。一方、最も「タイパを意識して行動している」との回答割合が低かったのは「60代」で52.0%となっています。次いで「50代」(56.5%)、「40代」(54.5%)と続きます。「全体」では60.4%となっています。

前年(2024年時点)の「タイパを意識して行動している」かどうかに関する回答結果がありますが、「10代」と「30代」が前年よりも2025年が高めに出ていること以外に、概ね2025年との大きな違いはありませんでした。

次に「AIを使って時間効率を高めている」かどうかについて、見てみます。

2025年時点で「AIを使って時間効率を高めている」との回答割合が最も高かったのは、「10代」で57.0%となっています。次いで「20代」(37.0%)、「30代」(30.0%)と続きます。一方、最も「AIを使って時間効率を高めている」との回答割合が低かったのは「60代」で15%となっています。次に回答割合が低かったのは「50代」で20.5%となっており、「40代」(22.5%)と続きます。「全体」では30.3%となっています。

前年(2024年時点)の「AIを使って時間効率を高めている」かどうかに関する回答結果がありますが、年代別の「AIを使って時間効率を高めている」かどうかの傾向としては大きな違いはありませんでした。「10代」に限って言えば、「AIを使って時間効率を高めている」割合が、2025年に大幅に伸びている(2024年、37.5%→2025年、57.0%)ことが分かります。

次に、「タイパによって幸せ・満足感を感じる」かどうかについて、年代別の傾向値の違いについて見てみます。

2025年時点で「タイパによって幸せ・満足感を感じる」との回答割合が最も高かったのは、「10代」で70.0%となっています。次いで「20代」(67.5%)、「30代」(66.0%)と続きます。一方、最も「AIを使って時間効率を高めている」との回答割合が低かったのは「60代」で15%となっています。

次に回答割合が低かったのは「50代」で20.5%となっており、「40代」(22.5%)と続きます。「全体」では60.1%となっています。

こうして見ると、住民の「タイパ」に関する意識は、10~20代が最も意識が高く行動しており、いることが分かります。同様にAIの活用についても「AIを使って時間効率を高めている」かどうかに関して調査した結果、10~20代が最も意識が高く行動していることが分かります。

たしかに、10-20代のタイパに関する意識は高く出ていますが、飛びぬけて高いというほどでもなく、他の年代との差はそこまで大きくはありません。今後、年代別のタイパ意識そのものよりも、AIなどの新しいテクノロジーの活用状況などの年代の差が大きくなってくると言えそうです。

資料:セイコー時間白書2025