今回は「一般会計税収額の推移」を取り上げてご紹介いたします。
先日(7/2)、財務省が発表した2024年度の国の一般会計税収は75兆2330億円となり、5年連続で過去最高を更新したことが分かりました。
参院選が、2025年7月20日に投開票が行われ、自民党・公明党が大きく議席数を落とす結果となりましたが、両党は国民一人当たり2万円などの給付策を公約に盛り込んでおり、財源として税収の上振れなどを想定していました。他に消費税減税などを公約に掲げる政党も多かったですが、選挙結果は税制や・給付策などとは別の要員が大きく働いたようです。
とはいえ、今後も財政・税収は大きな課題なので、今後も注視することが必要になるものと考えられます。それでは、一般会計税収は長期的に見てどのくらいの規模感で、どのように推移しているのでしょうか。税収の内訳で、もっとも大きい税収は何で、どのくらい伸びているのでしょうか。
また、税収が増えた一方で、歳出はどのように推移し、税収と歳出のギャップはどのように推移しているのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。
まず、一般会計税収の推移を見てみます。1980年度は26.9兆円でしたが、そこから増加トレンドで、1990年度に60.1兆円とバブル期に一旦ピークを迎えます。以降、バブル崩壊の影響もあり、減少トレンドとなり2003年度に43.3兆円に落ち込みます。以降再び増加トレンドとなり2007年度に51兆円に回復します。その後、リーマンショックの影響もあり2009年度に38.7兆円まで落ち込みます。以降は増加トレンドとなります。2020年度には60.8兆円とバブル期のピークを越え過去最高となり、2024年度に75.2兆円と5年連続で過去最高を更新しています。また2025年度予算では77.8兆円となっています。
次に税収の内訳をみてみます。2024年度時点で最も大きいのは消費税で25兆円となっています。消費税は1989年4月に導入(3%)が始まり同年度は3.3兆円でしたが以降増加トレンドとなります。1997年4月に消費税率5%に引き上げられ、同年の消費税収は9.3兆円と前年度(6.1兆円)から一気に増加します。以降は消費税収10兆円前後で推移しますが、2014年4月に消費税率8%に引き上げられ、同年度は16兆円の消費税収となります。以降ほぼ横ばいでしたが2019年10月に消費税率10%に引き上げられ、翌2020年度は21兆円となっています。以降は増加トレンドとなり、2025年度予算では24.9兆円となっています。
消費税の次に大きいのは所得税収で、1980年度は10.8兆円でしたが、以降増加トレンドでバブル期の1991年度に26.7兆円と過去最高を記録します。その後バブル崩壊もあり減少トレンドとなり、2009年度は12.9兆円となっています。以降は再び増加トレンドとなり2024年度は21.2兆円(2025年度予算22.7兆円)となっています。
その次の大きいのは法人税収で、1980年度は8.9兆円で以降増加トレンドとなり、バブル期の1989年度に19兆円と一旦ピークとなります。その後バブル崩壊の影響もあり。下減少トレンドとなりますが、2006年度にITバブルで14.9兆円と2番目のピークとなり、2009年にはリーマンショックで6.4兆円と80年度以降最小値を記録します。以降は増加回復トレンドとなり、2024年度に17.9兆円、2025年度予算では19.2兆円と過去最高になる見通しです。
次に一般会計税収と一般会計歳出を比較してみます。一般歳出は1980年度は43.4兆円でしたが、そこから増加トレンドで2000年に89.3兆円と一旦ピークとなります。以降減少トレンドとなりますが、2009年度にリーマンショックの影響で101兆円へと急増します。以降100兆円ぜんごで横ばいで推移しますが、2020年度に新型コロナの影響で147.6兆円へと一気に増加します。以降は減少しているものの2024年度で126.5兆円、2025年度予算で115.2兆円となっています。
税収と歳出の差をみると2009年度のリーマンショックで一気に拡大しましたが、その後税収増で少しずつ差が縮まっていたところに、新型コロナでさらに差が拡大していることが分かります。
こうして見ると、税収では消費税、所得税、法人税のいずれも伸びているため、税収の増加分を、減税や給付金で国民に還元しようと各政党が掲げるのも分かります。一方で、新型コロナの影響もあるかもしれませんが、歳出の増加が格段に大きくなっていることが分かります。とはいえ、税収・歳出のギャップを見ると税収増から還元を考えるだけではなく、無駄な歳出を削減・抑制することの方が重要な問題になると言えそうです。