業界ウォッチ 2018年12月17日

教員のちょっと気になる「動画広告市場」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「 動画広告市場 」を取り上げてご紹介いたします。

先日11月30日、サイバーエージェント内のオンラインビデオ総研とデジタルインファクトと共同で、国内動画広告市場の動向をまとめた調査結果が発表されました。同調査結果によると、動画広告の市場規模が2024年には、現在(2018年)の2.6倍の約5千億円(4,957億円)にまで拡大するとのことです。

動画広告は、確かに最近よく見かけるようになったと感じる人も多いのではないでしょうか。もしかしたら、PCで見るウェブサイトで動画広告を見かける人もいるかもしれませんし、スマホで動画広告を見かけるという人もいるかもしれません。

それでは、動画広告がどのくらいの規模感で伸びているのか、インターネット広告の伸びと比べてどう違うのか、PCと携帯・スマホなどの端末別にみた場合の公告の市場規模の違いはどうなっているのか、実際に数字で確認してみたいと思います。

まずインターネット広告(ネット広告)市場と、動画広告市場の規模感の違いと伸び方を見てみたいと思います。ネット広告を見ると、2015年は0.92兆円と1兆円を下回っておりましたが、2016年には1兆円を突破し、そこから増加トレンドで2024年には1.37兆円となっています。動画広告を見ると、2015年は535億円(0.05兆円)でしたが、そこから速いペースで増加しており、2017年には1000億円を突破し(1,374億円)、2024年には5000億円近く(4,957億円)まで拡大しています。

ネット広告を端末別にみると、「PC向け」は減少トレンドで、2015年に5,392円でしたが、 2017年に4,689億円と5000億円を下回り、2024年には4,253億円となっています。一方、「モバイル向け」は増加トレンドで、2015年に3,802億円でしたが、2024年には9,544億円と1兆円近くにまでのびています。

動画広告を端末別にみると、「PC向け」は微増(ほぼ横ばい)で、2015年に238億円でしたが、2022年に300億円に達し、2024年は307億円となっています。一方、「スマホ向け」は急増しており、2015年は297億円と300億円を下回っていましたが、2017年に1,096億円と1000億円を突破し、2024年には4,650億円まで増加しています。

こうしてみると、ネット広告の市場も伸びていますが、動画広告の伸び方に勢いがあるということと、PCではなくモバイル・スマホ向けのネット広告/動画広告が中心になっていることが分かってきます。

市場動向の変化を早めにキャッチして対応しておかないと、気が付いた時にはトレンドに乗り遅れて、早めにトレンドを捕まえた競合に突き放されることになるかもしれませんね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)