業界ウォッチ 2020年1月20日

教員のちょっと気になる「欧州サッカークラブ収入ランキング」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今週は「欧州サッカークラブ収入ランキング」を取り上げてご紹介いたします。

先日、欧州のサッカークラブの収入ランキングを毎年発表している調査レポートの最新版「Deloitte Football Money League 2020」が公開されました。同レポートは、2018-19年シーズンの欧州のサッカークラブの営業収入上位20クラブを取り上げて、入場料収入、放映権収入、商業収入の内訳や、Twitterフォロワー数、インスタグラムフォロワー数などのSNS等デジタルメディアの影響力などを詳細にまとめています。

今回の最新版(2018-19年シーズン)では、スペインのFCバルセロナが8.4億ユーロの収入でトップとなりました。

スペイン(リーガエスパニョーラ)、イングランド(プレミアリーグ)、ドイツ(ブンデスリーガ)、イタリア(セリエA)、フランス(リーグ・アン)が欧州5大リーグと呼ばれていますが、欧州サッカークラブの収入ランキングで見たときに、どのリーグのクラブが上位に入っているのでしょうか。上位クラブのJリーグの上位クラブと比べたらどの位の規模感が違うのでしょうか。この数年で収入総額はどのように変化しているのでしょうか。実際に数字で確認してみたいと思います。

まず、収入TOP20のクラブの収入を見てみます。トップは前述のFCバルセロナの8.4億ユーロで、次いでレアル・マドリード(スペイン)の7.57億ユーロ、マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)7.11億ユーロ、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)6.6億ユーロ、パリ・サンジェルマン(フランス)6.35億ユーロと続きます。イタリアのトップであるユベントスは4.59億ユーロと10位にランクインしています。

ちなみに、日本のJリーグの営業収益(2018年)トップはヴィッセル神戸で約0.78億ユーロ(96億円)で、2位が浦和レッズの約0.61億ユーロ(75億円)となっています。

次に、トップ20クラブの総収入の推移を見てみると、2013-14年は61.6億ユーロでしたが、そこから増加トレンドで18-19年は92.8億ユーロとなっています。このうち、放映権収入、商業収入(スポンサー料、グッズ販売等)が増加トレンドとなっていますが、入場料収入は微増トレンドとなっています。

こうしてみると、欧州上位20クラブは、放映権収入で全体の底上げを図り、商業収入と入場料収入で上位の中でも更に差がついていることが分かります。また、Jリーグトップのヴィッセル神戸と比べても、20位ナポリとは約2.6倍の違い、1位FCバルセロナとは約10.6倍の違いがあります。

入場料収入は収容人数キャパシティの制約があり、大きく増やすことは難しいかもしれませんが、世界で試合中継を見てくれるファンを増やすことは、放映権収入や、商業収入の増加につながってきます。確かに、日本人サッカー選手が多数欧州に移籍するようになり、日本でも欧州サッカーを見る人が増えているかもしれません。

最近、ラグビー人気に押され気味な国内サッカーやJリーグも、こうした海外でJリーグの試合中継を見てくれるようなファンを増やすことが必要になってくるのかもしれませんね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)