旬の数字 2018年11月7日

2018年プロ野球ドラフト会議、新人83名の交渉権が決定



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今年もプロ野球の新人選択会議であるドラフト会議が行われ、新人選手83名の交渉権が確定しました。今年のドラフトは、11球団の指名が3人の高校生に集中しました。

昨年は清宮幸太郎選手(現日本ハム)で話題を集めましたが、今年は即戦力と思われる高校生が多かったことで、ドラフト会議前からどの球団が誰を指名するかなど注目されていました。放映されたTV中継の平均視聴率は14.2%と昨年の13.4%を上回りました。

ドラフトでは、各球団が自チームの戦力分析した上で、戦略を練って指名します。高校生を指名する場合、数年後に主力となることを期待するケースが多いのですが、高卒でも即戦力であれば、長期間活躍が期待できます。また高校時代からの人気選手なら観客動員効果が期待できる等、球団側メリットも大きく、競合覚悟でのドラフト指名が増えてきます。

人材の確保という点では、プロ野球ドラフト会議も、一般企業の採用と変わりありません。しかし、プロ野球の場合、選手が自由に球団を選べない(自由に応募できない)という点が大きく異なります。ドラフト制度があるため、行きたい球団があっても応募することが出来ず、指名された球団にしか入団できないのです。

もともとドラフト制度は、資金力のある特定球団に戦力が集中しないようにという目的から、米MLBで行われ、米国プロリーグで多く見られます。一方、サッカーやバスケなどのプロリーグの場合、ドラフト制度ではなく、各クラブチームとの契約交渉というケースが中心となっています。

ちなみにサッカーでは、各クラブのスカウトが、中高生、ユースなど各チームを見て回り、才能ある選手に目をつけ、スカウトし、契約を取り付けます。一般企業でいう、青田買いです。

日本の一般企業は、今後は廃止になる予定ではあるものの、これまで経団連などの新卒の一括採用・面接解禁日制度があったのに対し、外資グローバル企業は通年採用・インターン制・青田買いをしています。これとを見ると、日本のプロ野球ドラフト制度と、世界のプロサッカークラブのスカウト・個別契約制度、なんだか似たような構図となっているように思えてきますね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)