業界ウォッチ 2024年4月23日

【データから読み解く】国内ペット関連市場

今回は「国内ペット関連市場」を取り上げてご紹介いたします。

昨年12月に、ペットフード協会が「令和5年版、全国犬猫飼育実態調査」で2023年の犬・猫の飼育数(推計値)を発表しました。同調査によると、犬の推定飼育数は684.4万頭、猫は906.9万頭ということでした。合わせると1591.3万頭となっています。

これは、2023年の15歳未満の子どもの数1435万人よりも多い数となっています。国内ペットの数(犬・猫飼育数)は、2000年代半ばに入り、15歳未満の子供の数よりも多くなったと言われるようになり、その後ペット関連した市場が注目を浴びるようになりました。

ペットに関連する市場として、ペットフードなどが典型ですが、その他にペットに関連する各種グッズ・用品、ペット病院やペット保険などのサービスなども多種多様なビジネスが展開されています。

少子化時代に伸びる市場の一つとして、ペット市場が注目されるようになってから、時間が経っていますが、最近のペット市場はどのようになっているのでしょうか。

ペット(犬・猫)の飼育数はどのように推移しているのでしょうか。ペット飼育に必要な費用はどのように変化しているのでしょうか。また、ペットサービスなども含めたペット関連市場はどのように推移しているのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。
domestic market size of pet

まず犬・猫の飼育頭数の推移を見てみます。犬の飼育頭数で見ると、2013年は871.4万頭でしたが、以降現状トレンドとなり2017年には768.2万頭と800万頭を下回り、2023年に684.4万頭と700万頭を下回るようになりました。猫の飼育頭数を見ると、2013年は840.9万頭で、そこから2016年まで横ばいとなり以降増減を繰返しながら、2023年に906.9万頭と、900万頭を超え、全般的には微増傾向となっています。

2013年は犬の飼育数が横よりも上回っていましたが、2014年以降は猫の飼育数が犬を上回った状態となっています。グラフからも犬猫の飼育数の差が拡大していることが分かります。

次に、ペット(犬・猫)に必要な生涯飼育経費を見てみます。犬の生涯飼育経費を見てみると、2017年は160.1万円でしたが、以降増加トレンドとなり、2022年に最高値の251.8万円となっています。翌2023年は、減少に転じ244.6万円となっています。猫の生涯飼育経費を見てみると、2017年は107.6万円でしたが、以降増減を繰返しながら、2023年には149.9万円となっています。7年間のスパンで見ると概ね増加トレンドとなっています。グラフを見ると、犬猫の生涯飼育経費の差が拡大傾向にあることが分かります。

次に、ペット関連市場全体の市場規模推移を見てみます。2014年は1.45兆円となっています。以降増加トレンドで、2020年にはコロナ禍で室内でペットにかける費用が増えたこともあり、2019年の1.57兆円から2020年の1.69兆円と約1200億円の増加になっていることが分かります。以降も増加トレンドとなっており、2023年は1.84兆円となっています。更に、その内訳をデータ入手可能な2017年から見みてみます。

最も大きいのは「生体+サービス分野」で、2017年は7617億円でしたが、以降、微増から概ね横這いへと推移し、2024年には8294億円となることが予想されています。「ペット用品」は、ほぼ横ばい傾向を続得ており2017年の2561億円から、2023年は2999億円となっています。「ペットフード」は増加トレンドとなっており、2017年は5015億円でしたが、2024年は7078億円となっています。

こうしてみると、ペット市場は犬の飼育人気が落ち込んでおり、猫よりも経費が掛かることもその一因として考えられそうです。また、ペット関連市場の分野別内訳をみると、ペットフードの伸びが高いことから、ペット飼い主のペットフードに対する意識が高いことが伺えます。また、「生体+サービス分野」も微増傾向にあることから、ペットサービスへの支出も惜しまずに拡大させる方向にあることが分かります。

犬猫の飼育数が大きく離れていっていることから、ペットの中でも「犬」関連のビジネスを考えるよりも、「猫」関連のビジネスを考えた方が、事業機会が大きいと考えることが出来そうですね。

資料:
令和5年 全国犬猫飼育実態調査
矢野経済研究所プレスリリース