業界ウォッチ 2023年12月19日

【データから読み解く】日本の人口・地域別人口将来推計

今回は「日本の人口・地域別人口将来推計」を取り上げてご紹介いたします。

日本の少子・高齢化については、20年以上前から各種報道等で取り上げられてきました。さらに、日本が少子・高齢化だけでなく、10年ほど前から人口減少に転じたことで、人口減少問題が取り上げられることも多くなりました。

人口減少については、日本全体の問題ではあるものの、特に地方における人口減少問題もより深刻な局面へと向かいつつある状況となっています。2014年に増田レポートとして「消滅可能性都市」が取り上げられて以降、地方の人口減少が大きな問題として取り上げられるようになりました。

確かに、人口減少問題が取り上げられるようになってから、大きな改善は見られていないようですが、実際に今後どの位減少することが予想されているのでしょうか。年代区分で見ると、どのような変化が見られるのでしょうか。特に、働き手となり得る生産年齢人口(15-64歳)はどのように変化しているのでしょうか。また地域別でみると、人口減少の度合い、生産年齢人口の増減の度合いはどのような違いがみられるのでしょうか。

また、市町村人口規模別にみた場合に、人口減少の度合いにどのような違いがみられるのでしょうか。

実際に数字や事例を見て確認したいと思います。
Regional Population Japan

まず、日本の総人口の将来推計を見てみます。1950年は約8300万人でしたが、そこから増加トレンドで1967年には1億人を突破し2008年に最大の1億2800万人に達します。以降減少トレンドとなり2020年は約1億2600万人となっています。以降中位推計では、2056年(約9960万人)に1億人を下回り、2070年には約8700万人となることがよそうされています。低位推計では、2050年(約9950万人)に1億人を割込み、2070年には約8700万人と推計されています。

生産年齢(15-64歳)人口で見ると、1950年は約4960万人でしたが、以降増加トレンドで1996年に約8720万人とピークに達します。以降減少トレンドで、中位推計では2050年に約5500万人、2070年に約4500万人となっています。低位推計では、2050年に約5300万人、2070年は約4000万人と、ピーク時の半分以下となっています。

次に地域別の人口変化率(2015-2045年)を見てみます。人口減少率、生産年齢人口減少率ともに、東北、北海道、四国、北関東といった地域が、減少率が大きくなっていることが分かります。一方、沖縄、南関東(1都3県)の人口・生産年齢人口減少率が小さいことも見て取れます。

このうち、東北や、北海道では生産年齢人口が40%を超える減少率となっており、将来働き手が激減していくことが予想されます。

さらに、市区町村の人口規模別の人口変化率(2015-2050年)を見てみます。最も減少率が大きいのは「1万人未満(2015年時点)」の市区町村で、-51.2%となっています。次いで、「1-5万人」(-37.6%)、「5-10万人」(-26.8%)、「10-30万人」(-21.1%)と続きます。人口規模が小さい市区町村ほど、人口減少率が大きくなることが分かります。特に、「1万人未満」の市区町村は、2050年には人口規模が2015年時点の半分以下になると推計されており、かなり大きな問題となることが予想されます。

こうしてみると、将来日本の人口規模が縮小していくことは確実ですが、中でも、東北、北海道、四国、北関東といった地方部での減少が大きく、生産年齢人口の減少率はさらに大きいことが分かります。また、人口規模の小さい市区町村の人口減少も大きいため、地方の人口規模の小さい自治体には、かなり大きな影響があることが予想されます。特に、地方の小さい自治体の働き手不足が深刻になることが、想定されます。

地方の小規模自治体で、働き手をどう確保するのか、どうやって少ない働き手で地方がサバイブできるようにするのか喫緊の課題となってきています。自動化・デジタル化・省力化、地方で働く現役世代を増やす取組(移住促進、関係人口創出等)も含めて、何らかの手を打つことが待ったなしの状態にあると考えられそうです。

こうした大きな地域課題は、課題解決型のビジネスにとっては事業機会でもあり、企業や事業家が重要な役割を果たすことになると考えられそうですね。

出典:
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2018年推計)」

国土交通白書2023年版