今回は「世界のモバイル・スマートフォン普及動向」を取り上げてご紹介いたします。
スマートフォンは、2007年にiPhoneが発売されて以降、日本でも浸透し続け、現在では日常に必須のツールとして普及しています。最近では、低年齢層では中学生にはほぼ必須のツールとなっており、小学生の利用も増えているようです。高齢者層も、これまではスマートフォンの利用が難しそうということで、躊躇する人が多かったのですが、近年では大半の人が携帯電話をガラケー(フィーチャーフォン)からスマートフォンに切り替えているようです。
日本では確かに、スマートフォンが普及し、日常に溶け込んでいますが、世界ではどのように広まっているのでしょうか。世界的なスマートフォンの普及台数はどのような規模で、どのように広がっているのでしょうか。世界的な普及率ではどのくらいの水準で、今後どのくらいに広まるのでしょうか。
また、インターネットに接続するデバイスとして、スマートフォン(モバイル)通信の利用割合は、国によってどのような違いがあるのでしょうか。
実際に数字を見て確認したいと思います。
まず、世界のモバイル通信加入者数(デバイス別)の推移を見てみます。2012年時点では、スマートフォンの加入者数は少なく11.6億人となっています。以降は急増トレンドとなっており、2016年には36.8億人と同年のフィーチャーフォンの加入者数(35.3億人)と逆転しています。2024年には71.4億人となり、2030年には83.4億人に達することが予想されています。一方、フィーチャーフォンは、2012年時点ではスマートフォンよりも加入者数が多く、約51億人となっています。以降は減少トレンドとなっており、2024年には12.5億人となり、2030年には6億人まで減少することが予想されいます。
その他(モバイルPC、タブレット、ルーター)は、2012年は0.5億人でしたが、微増トレンドとなっており、2024年には2.9億人、2030年には5.3億人に達することが予想されています。
次にスマートフォンの普及率を見てみます。ここでの普及率は、世界のスマートフォン通信加入者数を、世界の人口総数で割った比率で算出しています。厳密には、一人複数台持つ人がカウントされているため、本当に9割が持っているわけではありませんが、ここでは、スマートフォンの普及・浸透の度合いを見る指標として、用いることとします。
2012年は16.2%でしたが、以降は急上昇トレンドとなっており、2024年は87.7%となっています。2030年には97.3%に達することが予想されています。ちなみに世界の総人口は、2012年は72億人でしたが、2024年には81.6億人となっており、2030年には85.7億人となることが予想されています。
次に、世界各国のデバイス別のインターネット接続時間割合を見てみます。インターネット接続時間のうち、モバイルデバイス(ほぼ9割以上がスマートフォン)での接続時間と、PC等のコンピュータでの接続時間の割合を示しています。
最もモバイルでの接続時間割合が高かったのは、タイと中国で、いずれも63.3%の同率となっています。次いで高いのはインドネシアで、63.0%となっています。以下、サウジアラビア(60.9%)、フィリピン(60.4%)、ルーマニア(59.1%)、インド(58.0%)と続きます。なお、世界平均では56.8%となっています。
最もモバイルでの接続時間割合が低かったのは、日本で42.9%となっています。次いで低いのはカナダで、45.6%となっています。以降、ベルギー(46.5%)、チェコ(46.8%)、英国(47.2%)、デンマーク(47.3%)と続きます。
こうして見ると、スマートフォンは2020年ごろまで、急速に世界に普及・浸透するようになっており、世界の9割近くがスマートフォンを持っている計算になります。
スマートフォンは、世界のほとんどの人が持っている生活インフラともいえるようになっており、スマートフォンがあることによってライフスタイルや、社会動態が大きく変わってきていると言えそうです。また、スマートフォンを通じて世界の人々との接点を持つことが簡単になったとも考えられ、世界市場にアクセスする事業機会とも考えられます。
縮みゆく日本国内市場を対象にするのか、アクセスが容易になった世界市場を対象にするのかで、事業機会の見方が大きく変わってきそうです。
資料:
Ericsson Mobility Visualizer
Digital 2025: Global Overview Report
UN:World Population Prospects 2024