執筆:村西重厚(BBT大学院 MBA本科修了生、データ・サイエンティスト株式会社 エグゼクティブ・ディレクター)
対象科目:ビッグデータ分析(豊田裕貴 BBT大学院客員教授、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授)
本講座では、データサイエンティストが現場で利用しているツールを活用しながらビッグデータ分析を実践的に学びます。
ビッグデータ分析と言っても、その対象は自然科学や社会科学などさまざまなものがあります。本講座で対象とするデータは、ビジネスの現場で用いるものに絞っています。これらの「ビジネスデータ」を分析し、データに基づいた意思決定のプロセスを学ぶことができます。
本連載では複雑な式などの紹介はできるだけ避け、ビッグデータ分析の大まかなプロセスや醍醐味などについてご紹介させていただきます。
ビッグデータ分析と聞くと、「私は文系出身で数字に弱くて…」と苦手意識を持たれる方もいらっしゃると思います。数式に苦手意識がある、プログラムなんて書いたことも無い、という方でも本講座の手順通りに学んで行けば、データ分析のプロである「データ・サイエンティスト」の考え方の要諦を理解することができます。
IoT化が進み日常のあらゆる出来事がデータとして蓄積されてゆく現代、データ分析の基本をマスターしておくと、ファクトに基づいたビジネス判断力を養うことができるので、是非挑戦なさってみてください!
BBT大学院では「ファクト」と向き合うことを重要視しています。「ファクト」とは「事実、実態」であり、数字で示されているケースが多いです。例えば、飲食店で記録可能な「ファクト」を考えてみましょう。日付、来店者数、来店時間、滞在時間、売上金額、天気…etc。多くの項目がありますね。
これらの「ファクト」を体系的に集めたものを私達は「データ」と読んでいます。
データはビッグデータである縦7行、横3列の表を頭の中で想像してみて下さい。この表の一番左の列は日付データが入っています。真ん中の列には来店者数として2桁程度の数字、右の列は売上金額として、4桁程度の数字が表示されています。この表が目の前にあったとして、みなさんは表が意味している事を説明できるでしょうか?
よほどデータを見慣れた熟練者でないと、直感的にその表の意味を説明することは難しいでしょう。通常は、この表のデータに基づいて、売上の合計や、来店者の平均を算出することで、何が読み取れるかを探ってゆきます。
ビッグデータと聞くと、数十万、数百万の巨大なデータの集まりを想像される方も多いかと思いますが、ぱっとみてすぐに意味を読み取れなくなったデータは「ビッグデータ」なのです。
データ活用の目的には、大きく「管理」と「分析」の2種類があります。例えば勤怠管理データの目的は、従業員がいつ出社して、いつ帰ったのかを「管理」することです。勤怠管理にデータを入力しないと給料が支払われないというルールがあれば、従業員は出社、退社時にきちんと入力をするはずですね。
もう1つのデータ活用の目的が、今回のテーマである「分析」です。上記の勤怠管理データを例に取ってみましょう。勤怠管理データは、出社時間、退社時間が記録されているので、従業員一人あたりの平均労働時間を算出することができます。さらに、月によって労働時間は変化するのか、売上データとの相関はあるのかなどを分析することができます。
勤怠データのように、管理目的で蓄積したデータをそのまま分析することもありますし、アンケートデータのように、はじめから分析目的でデータを収集することもあります。今回のテーマからは外れますが、どのようなデータを集めるにせよ、分析をしやすいデータ項目の設計をすることも重要になってきます。
次回からはビジネスデータ分析の手法に焦点をしぼっていきます。
村西重厚
BBT大学院本科 修了生
データ・サイエンティスト株式会社 エグゼクティブ・ディレクター
一般社団法人起活会 代表理事
1972年 兵庫県神戸市出身
工学部機械科卒業後、メーカーで生産技術部門でに従事。
その後、営業部門を経て新規事業部門でWEB事業を立ち上げる。
新規事業の立ち上げ時に経営知識の必要性を感じ、2013年にBBT大学院に入学。
2015年MBA取得。MBA取得後、ベンチャー企業に転職し、営業、マーケティング、資金調達などに携わる。
2017年より、検索ビッグデータ分析を元に企業戦略の立案・推進に携わる一方で、一般社団法人起活会を立ち上げ、起業家支援を行っている。
趣味は登山、クライミング、ギター。