MBAダイジェスト 2020年4月2日

Business Model Design(5)これからのリーダーへ

『MBAダイジェスト』シリーズでは、国内初・最大級のオンラインMBAである「BBT大学院」、ならびに2つの国際認証を持つ「BOND-BBT MBAプログラム」の修了生が、両校で学ぶMBA科目のエッセンスをまとめ、わかりやすく紹介していきます。将来的にMBAの取得を検討している方や、MBAの基礎知識をインプットしたい方はご活用ください。


 
執筆:安達佳彦(外資系製薬会社勤務 BOND-BBTアルムナイ「豪研会」会長)
対象科目:Business Model Design(講師:中川 功一)

最終回となりました今回は、再びリーダーシップに注目して紐解いていきましょう。なぜこれが重要かと言うと、数あるビジネスモデルもアイデアだけではなく、実行が伴わなければイノベーションは生まれないからです。

グーグルグラスは何故失敗したのか?そうです。挑戦したからなのです。

詳しくは『中川先生のやさしいビジネス研究(YouTube)』にて解説されています。10分前後の動画で、ビジネスに対するあらゆる課題を多面的に解説して下さっています。是非、この機会にチャンネル登録を!


前回の寄稿でスマートフォン・スターバックス・ZOZOの成功について触れました。成功後しばらくしてそれらを見慣れてしまうと、人々は「そんなの、ただ電話とインターネットを繋げただけだろ」「高いお金を払って落ち着いてコーヒーが飲めるだけじゃん」「ネットでは今は何でも買えるし」というようなことを口にします。しかし、注目すべきは最初に行動を起こしたヒトであります。そしてこれらに共通することは、過ぎてしまったこと(達成できたこと)に対し、過去を振り返ると今の現状が当たり前のように見えるという不思議なことが起こります。

イノベーティブなアイデアを上市させるために必死に努力し、誰も見たことのない未来を描いていた10年以上前からすると、その当時では見えなかった壁を乗り越え、何が起こるかわからない、困難かつ非連続的な事象を乗り越える必要があるのですが、現在から過去を振り返ると、不思議と単純なもののように感じてしまうのです。

わかりづらいかもしれないので、この現象をリーダーシップの本質と共にもう少し見ていきましょう。

コロンブスの卵のエピソードから学ぶリーダーシップの本質

コロンブスの卵のエピソードをみなさんはご存知でしょうか。コロンブスは生存中(1451?1506年)、ヨーロッパからアメリカ大陸までの航海路を発見したと言われています(一説にはアメリカ大陸の発見という説もあります)。航海路の発見後、ある晩餐会でこんなことを言われたそうです。

「あなたのやったことはたいしたことではない、ただ西へ西へと船を走らせ、新しい土地を見つけただけではないか」

こんなことを言われたコロンブスは卵を一つ取り「立ててみてくれないか」と、その人物に言いました。当然、そのままでは卵は立つわけがないのですが、コロンブスは卵の底を少し潰して卵をテーブルの上に立たせ、こんな一言を残しました。

「私が新大陸発見でやったことはこれと同じだ。誰かが成功してしまえば、それはあまりに簡単に見える。しかし、それが誰かによって成し遂げられるまでは、他の誰もそれができるとは思わない」

私はこれこそがリーダーシップの本質だと思います。

「事前のあまりにも高い不確実性」
「事後には当たり前だと受け入れられる常識性」

「旅を前にして、人は、そんな新しいやり方は非現実的だ、不可能だと言う。旅を終えて、人は、なぜ自分たちがそんなふうに言っていたのか不思議に思う」
※『リーダーシップの旅?見えないものを見る』(野田智義・金井壽宏、光文社新書)より引用

リーダーというのは、既成概念にとらわれることなく、変革を扱っていかなければなりません。私も、今担当しているビジネスは正直どのような結果になるのかわかりません。そんな時は自分なりの仮説を立て、検証を楽しむということをしています。ここを攻めたらきっとこうなる!ということを主張するために、過去の経験だけではなく、論理的に仮説を立て説明できるようにしています。過去の経験・知見がイノベーションのきっかけになるためには、第2回で述べた、ある一定量のインプットが大切だと思いますし、ハピネスの分野で重要な楽観的な考え方も重要だと思います。よって、ある程度の仮説を論理的に組み立てたらあとはやってみるということを楽しんでいます。

最後に

ビジネスモデルデザインでは、単なる穴埋めの作業でもなく、作成に苦しむものでもありません。人々のニーズに合わせ、○○したらきっとこうなるだろう!という強い自信を持つことも重要です。楽しむことでそのパッションは相手に伝わります。

最後になりますが、皆さん、ここまでお付き合いいただきましてありがとうございます。自分の知っている範囲で皆さんにお伝えしたいことを記載致しました。御覧頂いた皆さんの一助になれば幸いです。

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安達佳彦

Bond-BBT Global Leadership MBA 修了生
1981年生まれ。東京都出身。妻と息子3人の5人家族。
高校卒業後は北里大学薬学部に進学し、2004年に外資系製薬会社にMR(営業)として就職。入社後は九州の宮崎に配属となり4年勤務、その後は福岡に2年、沖縄に4年間在籍。沖縄在籍中、チームと個人で「優秀課表彰」「Best Performer賞」「欧州研修賞」の3つのAwardを同時に受賞。その後、営業以外の仕事にもチャレンジしたいという思いから、2014年9月にBond-BBT Global Leadership MBA入学、2017年2月修了。在学中にデジタルマーケティングの部署に異動となり、その後は営業のラインマネジャー、現在(2020年3月)はプロダクトマネジャーと営業のラインマネジャーを兼任している。

2019年にはビジネスコーチの資格も取得し、チームメンバーの成長支援だけではなく、講演活動や勉強会などを企画し、リーダーシップ、コーチングの普及活動を行っている。

また、Bond-BBT Global Leadership MBAのAlumni組織である「豪研会」の会長として、Alumniのネットワークを広げる活動や、「Bond製薬の会」の共同代表として、勉強会の企画や懇親の場を作ることにも従事している。
※豪研会について詳しくはこちら