MBAダイジェスト 2020年2月6日

卒業研究(3)私の卒業研究テーマと取り組み

『MBAダイジェス』シリーズでは、国内初・最大級のオンラインMBAである「BBT大学院」、ならびに2つの国際認証を持つ「BOND-BBT MBAプログラム」の修了生が、両校で学ぶMBA科目のエッセンスをまとめ、わかりやすく紹介していきます。将来的にMBAの取得を検討している方や、MBAの基礎知識をインプットしたい方はご活用ください。


 
執筆:村西重厚(BBT大学院MBA本科修了、データ・サイエンティスト株式会社 エグゼクティブ・ディレクター)
対象科目:卒業研究(門永宗之助 教授、他)

卒業研究の第3回目は、初期の具体的な活動についてご紹介します。

前回述べたように、卒業研究は個人作業であり、テーマによって取り組み方法は様々です。本連載では私の個人的な体験を元にしており、BBT大学院における卒業研究の「正解」ではないことは予めご理解ください。

研究の方向性

前回のメルマガで、「テーマ設定の重要性」についてお話をしました。
自分の関心がある分野を明らかにしておく、ということですね。

2013年当時、クリス・アンダーソン氏の著作である『メイカーズ』という本がヒットし、ものづくり革命が話題でした。私は工学部出身でプロダクトデザインに関心が強く、日本のモノづくりを進化させたい、と考えていました。

そこでテーマを「モノづくりの新規プラットフォーム構想」としました。

BBT大学院では、入学時に「卒業研究で取り組みたいテーマ」の小論文を提出します。当時私は勤めていた会社内の新規事業をテーマにしました。

卒業研究では新規事業を深く検討する絶好の機会です。企業内の新規事業はヒト・モノ・カネといったリリソースが存在しています。私は自分の学びをより深くするために、そのようなソースをあてに出来ない「ベンチャー起業での新規ビジネス」という前提で、構想を練り始めました。

ビジネスモデルのラフスケッチ

ビジネスモデル設計とは端的に述べると、どのように価値を創造、生産し、お金が入ってくる仕組みをつくり、成長モデルを描けるか、を考えることです。

卒業研究の初期段階では、あまり細かな設計は行いませんでした。例えば大学院での学びにより、未来の簡単な財務諸表を作る実力は備わってはいますが、市場調査が充分ではない状態で細かな設計を行っても、独りよがりで柔軟性に欠けるプランにしかならないからです。

まずは、どのようにして価値を創造し、誰に販売するかについてラフスケッチを作ります。

私は、ものづくりに関わる設計者、デザイナー、製造業者などをクラウドソーシングで集め、開発・製造し、一般ユーザーに製品を販売する、というイメージにしました。

周囲の人へヒヤリング

ラフスケッチが出来上がったら、一度家族や同級生など身近な人に話を聞いてもらうのが良いでしょう。ビジネスモデルのラフスケッチを元に、ディスカッションをするのです。

この段階で、自分のビジネスモデルが第三者にうまく伝わらないことがよくあります。それは大体の場合、まだビジネスモデルになっていないことを意味します。一人で考え込んでいても、なかなかアイデアが発展しません。私も親しい同級生達とディスカッションを重ね、ラフスケッチから具体的なモデルに作り込んで行きました。

アンケートの実施

ある程度プランが見えてきたら、より一般的なモデルにするため、アンケートなどで「市場の声」を集めます。近年はネットを活用して簡単にアンケートを実施できるようになりました。

アンケートを実施する際は、下記の2つの注意点があります。

1)正しい質問が作ることができるか。
2)どのような層から回答をもらいたいか。

1つ目はアンケートの設計です。
ポイントは、「質問を自分が求める答えに誘導しない」ということです。

例えば、
———————-
質問)  このサービスは、どれくらいユーザーの役に立つと思いますか?
回答候補)少し役に立つ・まあま1役に立つ・すごく役に立つ
———————-
という項目はどうでしょうか。

この質問では対象のサービスはユーザーの役に立つ、という前提となっています。これではサービス自体に価値があるかどうか評価できないですね。サービスに全く魅力を感じない人も、<少し役に立つ>という項目を選んでしまいます。

上記の例は少し極端ですが、自分で設計したサービスには価値があると思い、求める答えに誘導する質問を作りがちになります。できるだけ客観的なデータを集める質問にしましょう。

2つ目のどのような層から回答をもらいたいかも重要です。

女性向けのサービスについて、男性から回答を貰ってもあまり参考にはならないでしょう。卒業研究で予算がない中、適切な層にアプローチすることは難しいかもしれませんが、SNSなどを活用して、狙った層から有効な意見を集めましょう。

初期仮説をつくりあげる

これまで述べた活動の積み重ねにより、ビジネスモデルの仮説がある程度見えてくると思います。この段階で必要な投資金額や売上規模を一度算出してみるのも良いでしょう。私は多少のヌケモレはあっても、いったん初期仮説を作り上げました。

この初期仮説を持って、卒業研究担当の先生などから指導して頂くことになります。
次回は、先生からの指導などについてお話をさせていただきます。


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村西重厚

BBT大学院本科 修了生
データ・サイエンティスト株式会社 エグゼクティブ・ディレクター
一般社団法人起活会 代表理事
1972年 兵庫県神戸市出身
工学部機械科卒業後、メーカーで生産技術部門に従事。
その後、営業部門を経て新規事業部門でWEB事業を立ち上げる。
新規事業の立ち上げ時に経営知識の必要性を感じ、2013年にBBT大学院に入学。
2015年MBA取得。MBA取得後、ベンチャー企業に転職し、営業、マーケティング、資金調達などに携わる。
2017年より、検索ビッグデータ分析を元に企業戦略の立案・推進に携わる一方で、一般社団法人起活会を立ち上げ、起業家支援を行っている。
趣味は登山、クライミング、ギター。

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