旬の数字 2018年8月15日

ソウルの平均通勤時間96分! 日本は?



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

皆さんは通勤にどのくらい時間がかかっていますか?

韓国の国土交通部(日本の省に相当)によると、韓国で通勤時間(往復)が最もかかっているのはソウル市で平均96.4分(※1)。内訳を見てみると、出勤時間は41.8分、退勤時間は54.6分で、出勤時よりも退勤時の方が混雑により時間がかかっているようです。最も短いのが、全羅南道で66.6分(内訳:出勤28.6分、退勤38.0分)でした。なお、韓国の通勤は80%の方が公共の交通機関を使っているそうです。

一方、米国では平均通勤時間は片道26分(往復52分)。あくまで平均ですので、ワシントンD.C.やニューヨークでは渋滞により通勤時間が長くなる傾向にあるそうで、最近では車ではなく公共の交通機関や自転車通勤に変更する人が増えているとのことです。(※2)

では、日本はどうでしょうか?

日本は、首都圏、大都市は公共の交通機関が多く、地方になると自家用車での通勤が多くなります。首都圏のサラリーマン(5年以内に住宅購入した、都内勤務の子持ちサラリーマン)の平均通勤時間は、アットホームの調査によれば片道平均58分(約1時間)となっています(※3)。往復にすると116分ですので、単純比較はできませんが、米国の2倍以上、また、韓国ソウル市よりも長い通勤時間となっています。

首都圏の通勤は時間がかかるだけでなく、朝晩はラッシュ時の移動になりますので、疲労度は倍増するのではないでしょうか。そうすると、会社に到着してからのパフォーマンスに少なからずとも影響があるものと考えられます。

このように、韓国、米国、日本の通勤時間の状況考えると、日本の通勤時間の長さについては、まだまだ検討の余地がありそうです。同じ働き方改革でも、単なる時短だけではなく、時差通勤や在宅勤務の導入、サテライトオフィスなどでのテレワークの導入などが必要になってくることがわかりますね。

通勤時間に対する対応策についても、各社が個別に対策するだけではなく、今後官民協力して取り組んでいくことが必要になってくるのだろうと思います。

出所:
(※1)朝鮮日報chosun Online ※最終アクセス 2018年8月15日
http://life.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/07/30/2018073002009.html/

(※2)More Biz ※最終アクセス 2018年8月15日
https://www.vision-net.co.jp/morebiz/commuting-situation/

(※3)at home ※最終アクセス 2018年8月15日
https://www.athome.co.jp/contents/at-research/vol33/


執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)