旬の数字 2018年11月28日

ネット利用「トラブル不安」が67%内閣府世論調査



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 専任講師)


11月22日に、内閣府が実施した「インターネットの安全・安心に関する世論調査」の結果が発表されました(※1)。それによると、「インターネットの利用に関連するトラブルについて、不安はありますか」との質問に対し、「不安がある」、「どちらかといえば不安がある」と回答した人を合わせると、全体の67.6%となりました。

年齢別に見ると、「不安がある」と回答した人の割合は、50代、60 代が40%を超えているのに対し、18~29歳が20.7%と低くなっています。年齢が高くなるほど「不安がある」人が増える傾向にあるといえます。

ちなみに、同調査は18歳以上が対象のため、小中学生や高校生の回答が含まれていません。ネット接続は、PCに加えてスマホ利用が増えており、今では小中学生にもスマホ保有者が多数存在しています。特に子どものスマホの使い方をみると、失敗を恐れず、自分の興味のあることをしようとしているので、「不安」や「リスク」を感じることがないのではと思うことがあります。

もし18歳未満で同じ質問をすると、「不安がある」との回答は、18~29歳よりも低くなるのではないでしょうか。

他方、子どもを持つ親世代は、子どものいじめ、出会い系被害などのニュースがTV・ネット等で報じられていることもあり、子育て世代が「不安」に思うとの回答が多くなっているものと考えられます。(※2)

実際、同調査の「どのようなことに不安がありますか」との質問に対し、「子どもや家族が危険な目に遭うこと」との回答が全体で3番目の45.2%を占めていますが、年代別にみると30代は59.7%、40代が58.2%、50代が47%と、子育て世代の比率が高く出ています。

一方、セキュリティ対策を行っている人はどのくらいいるのでしょうか。
「(対策を)行っている」と回答した人は全体で53.1%と半数を超え、「行っていない」人は全体の16.9%となっています。年代別では、「(対策を)行っていない」割合は、18~29歳が35.6%、30代が24.2%となっており、若い世代のセキュリティ対策意識が低いことがわかります。

インターネットは便利ですが、危険を伴っているということを、子どもや若い世代にしっかりと伝えていく必要がありそうですね。

(※1)内閣府 ※最終アクセス 2019年3月19日
https://survey.gov-online.go.jp/tokubetu/h30/h30-netg.pdf

(※2)総務省 ※最終アクセス 2019年3月19日
http://www.soumu.go.jp/main_content/000506392.pdf


執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)