旬の数字 2018年6月27日

働き方改革の現状は? テレワーク経験者は4%



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 専任講師)

皆さんは「テレワーク」をご存知でしょうか?「テレワーク」を経験したことがありますか?

先日(6月18日)人材サービスの大手エン・ジャパンが在宅など会社・オフィス以外での場所で働く「テレワーク」の実態調査を発表しました。同調査によると、「テレワーク」の認知度は40%で、実際の「テレワーク」経験者は4%とのことでした。

この調査では、エン・ジャパンの転職支援サービス「エン転職」ユーザー対象にアンケートを実施したもので、8,341人から回答を得ています。

それでは、皆さんは「テレワーク」の認知度40%という数字は、多いと思いますか? 少ないと思いますか? また、「テレワーク」の経験者4%という数字は、多いと思いますか? 少ないと思いますか?

これに答えるためには、そもそも「テレワークとは何か?」が理解されていないと、多いとも少ないとも言えないですよね。

この調査結果の発表ニュースリリースには、明確な「テレワーク」の定義が書かれていませんでしたが、テレワークで働いたことがある人に聞いた調査結果項目では、「自宅にいて、会社と連絡を取り合いながら働く」、「クライアント先・移動中などに会社のスマートフォンやPCを使って働く」、「サテライトオフィスやレンタルオフィスなど会社以外の場所で働く」となっています。すなわち、察するに在宅勤務型、モバイルワーク型、サテライトオフィス型のテレワークを指しているものと思われます。

この定義は、一般社団法人テレワーク協会の定義(※)に沿っているものと思われます。

しかし今時、「クライアント先・移動中などに会社のスマートフォンやPCを使って働く」人って4%しかいないのだろうか?と非常に不思議に思いました。

移動先・移動中でメールチェックやメールの送受信をしたり、データのやり取りなどする人って、そんなに少ないでしょうか?

この調査は、前提として転職希望者であること≒現在会社員であること、「会社のテレワーク制度」を利用したことがあるかどうかを問うていることから、「正社員が丸1日以上、出張でもないのに、在宅かサテライトオフィスなどで働くことが認められていて、その制度を使ったことがある人」が4%だったということなのだろうと思います。

ちなみに「テレワーク」という概念・用語自体は1980年代から存在しています。現代では、通信環境の変化、スマホなどの普及、働き方の変化(フリーランスの増加)等から、「テレワーク」という概念・用語よりも別の用語の方が認知されているかもしれませんね。

もしかしたら在宅勤務、遠隔勤務、ノマドワーク、モバイルワーク、コワーキングなど類似の用語・概念の方が、認知されているかもしれません。

ところで、オフィス以外でワークしている人がいるとして、オフィス内で本当に人はフルタイムで「ワーク」しているのでしょうか。そもそも「ワーク」が定義されているのか?という問題もありますが。

実はオフィス内で「ワーク」していない時間もあったりするのではないでしょうか。自分の胸に手を当ててみると分かりますよね。(ドキッ!!)

※参考:一般社団法人テレワーク協会の定義
「テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。」
「テレワークは働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)の3つ分けられます。」

出所:
日経新聞電子版 ※最終アクセス 2018年6月27日
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31896480Y8A610C1XXA000/


執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)