実践ビジネス英語 2020年1月25日

仕事に効くビジネス英語講座〈第11回〉その英語、グローバルマネジメントに相応しいですか?



執筆者:PEGL事務局清水

読者の皆さんは、海外法人の経営者、シニアマネジメント、ミドルマネジメント、その予備軍である方も多いかもしれません。書籍『海外勤務を命じられたら読む本』(中経出版)ではこれらの経営者や経営管理者、およびその仕事を「グローバルマネジメント」と呼んでいます。

グローバルマネジメントが海外法人で実績を上げるためには語学力の強化が必要なのは言うまでもないことでしょう。また、「語学力」と一言で言ってしまいますが、語学力の中でも、特に必要なのが「語彙力」なのだと同書は言います。

今回は、なぜ語彙力が重要なのかを解説するとともに、グローバルマネジメントのための語学上達法を紐解きます。

1.ビジネスレベルの語彙力を持っていないと、リーダーとして見てもらえない

日本において、教養のあるなしと言葉づかいの関係性は昔ほど深くなくなっている傾向があるかもしれません。しかしながら、海外においては、教養のあるなしと言葉づかいは関係が深いものだと依然として考えられています。

特に、英米においては、語彙力がその人の能力を示すバロメーターのような役割を果たしています。役職が高くなればなるほど、語彙力が豊富か貧弱かがビジネスするうえでも勝負する大事なポイントになってきます。語彙力が貧弱だと、仕事自体が務まらなくなってくるのだと同書では言います。

多国籍企業の外国人シニアマネジメントたちの間で、日本人の語学力がどのくらいのレベルに評価されているかというと「日本人の話し方は大学生レベル」と低く見られています。海外留学経験のあるビジネスパーソンは、「『留学生時代から進歩していない』と酷評されて耳が痛い」という人が増えているようです。

言語習得の仕方は、年代や役職、求められる責務などによって変わってきます。話し手の言葉の選び方を聞いて、聞き手は役職や年齢に相応しい進化や成長を話し手が遂げているかどうかを見極めます。ビジネス向けの英語に変えていくためには、丁寧語を多用し、間接話法で話さなければなりません。そうすることによってやっと、母国語を話す大人が話している英語と同等レベルに聞こえます。

ミドルマネジメント、すなわち読者の皆さんの年代の多くは30代から40代以上ですので、年齢に相応しい語彙力が必要です。海外法人に着任した直後から丁寧語や間接話法を使うようにすることによって、好感度が高まり、相手の対応も格段に良くなります。アジアやアフリカではこのような話法を身につけて仕事をするのが効果的です。品位のある英語を話すことが教養人かどうかの判断材料になっています。

どうしてアジアやアフリカで効果的かというと、先進国では母国語以外の言語を話す人はたくさんいますが、アジアやアフリカのような発展途上国が多い地域では外国語を話すのは決まってエリート層です。そのようなエリート層に対して面識を持った当初から丁寧な言葉づかいや品位のある言葉を選んで話ができると、対人関係に良い影響をもたらします。言葉によって、現地での人間関係も様変わりします。グローバルマネジメントの人となりは、その人の持つ語彙力が豊富か貧弱かをもって、判断する基準となっているのです

2.【解決法1】語彙力は、英文記事を読んで身につける

語彙力は、毎日、新聞などの英文記事を読むことで身につけることができます。英字新聞の時事経済情報は誰にでも読みやすく、分かりやすいように書かれています。英字新聞の同情報からは仕事で使える情報がたくさん入手できるので、読むことは一石二鳥と言えるでしょう。英語を母国語としないビジネスパーソンが英語を勉強する教材として英文記事は最適です。わざわざ買わなくても、毎日、電子版の最新情報が無料で読めるので、ぜひ読む習慣をつけてください。

次に文章の読み方について言うと、単語を覚えたい場合は、声に出して音読してそれをさらに声に出して日本語訳すると、上達が早まると同書ではすすめています。速読を目的にするのであれば、黙読のほうが速く読めるので、使い分けが必要です。

音読するときも黙読するときも、英文の文章を読むときには、英語が持つ独特のリズムを刻みながら読むのがコツです。テンポがつかめるので、例え黙読で声に出していなくても、発音の練習をしているのと同等の効果があると同書は言います。

読むという行為は言語習得には欠かせません。読むという行為は読解力を高めるだけでなく、聞く能力や話す能力とも相関関係があり、書く能力を高める効果もあるため、英語独特の言い回し、聖書や哲学者、文学者の言葉の引用など、事例を多く勉強すると、格調の高い英文が書けるようになるのです。

3.【解決法2】映画を繰り返し視聴して、聞き取る能力を磨く

グローバルマネジメントがコミュニケーション力を高めるには「聞き取る力」も重要です。そのために同書がすすめるのが英語音声での映画視聴です。例えば、同じ映画を3度視聴して、せりふを全部聞き取れるまでに耳を鍛える方法は効果的であると述べています。

また、日本人は発音の矯正が必要です。「発音」を強化することによって聞き取る力も向上します。耳から入ってくる音と口から出る音が一致しないと、同じ単語であることが認識できないはずです。音読する際にはマイクとヘッドホンを着用して、正しいお手本を聞きながら、できるだけネイティブスピーカーの発音に近くなるように話す練習をすることを同書はすすめます。こうすることで発音が良くなり、聞き取る力も数段高まります。

外国人同士の対話が聞き取れるようになると、現地従業員に対する対応をかなりレベルアップすることができます。相手の言いたいことが細かいところまで隅々にわたり理解できるようになってくるからです。相手が見えるようになり、相手の心の奥まで理解できるようになります。

いかがでしたでしょうか。
興味のない記事を手に取るのはなかなか難しいですが、興味のある記事なら英文でも読みたいというモチベーションが働くものです。検索エンジンGoogleが提供する「Google Alerts」という機能を使うと、好きなキーワードに関係するコンテンツがウェブ上にアップロードされたときに登録した自分のメール宛にリンク先URLを教えてくれます。コンテンツの中からニュースだけでも選択することができるので、ぜひ興味のある英文記事を読んで語彙力のアップに取り組んでください。

【参考】海外勤務を命じられたら読む本(最終アクセス2020年1月25日)
http://www.amazon.co.jp/dp/4046025700/ref=cm_sw_r_tw_dp_D.f0ub0JK2KKT
pp.113-117

※この記事は、ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ講座「実践ビジネス英語講座-PEGL[ペグル]-」で毎週木曜配信中のメルマガ「グローバルリーダーへの道」において、2015年2月26日に配信された『今週のコラム』を編集したものです。


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ナビゲーター:清水 愛(しみず めぐみ)
PEGL[ペグル] 英語教育事務局 マーケティング/PEGL説明会、個別ガイダンス担当。2012年BBT入社。前職は海外留学カウンセラー。これまで6,000人を越えるビジネスパーソンと接し、日々ひとりひとりの英語学習に関する悩み解決に向き合いながら、世界で挑戦する人たちの人生に関わる。

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