業界ウォッチ 2019年6月10日

教員のちょっと気になる「アーモンドミルク市場」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

5月30日はアーモンドミルクの日(アーモンドミルク研究会が制定)だそうです。最近そのアーモンドミルク市場が拡大しています。アーモンドミルク研究会によると、2015年に25億円超の市場規模でしたが、2018年には約50億円と倍増しています。

アーモンドミルクは、牛乳、豆乳に次ぐ、「第三のミルク」と呼ばれる乳製品代替品の一つです。もしかすると、コンビニなどで見かけることがあっても、まだ飲んだことが無いという人も多いかもしれません。やはり、豆乳と比べると存在感が小さい印象があります。

それでは、アーモンドミルクは豆乳と比べてどのくらいの市場規模の違いがあるのでしょうか。その伸び率にどのくらいの違いがあるのでしょうか。また、世界のアーモンドミルク、豆乳の市場規模はどのくらいの違いがあり、どのくらい伸びているのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。

まず、国内のアーモンドミルクと豆乳の市場規模を見てみます。アーモンドミルクは上述の通り’15年の25億円超から、’18年の約50億円と倍増しています。豆乳は、‘15年が約520億円、’18年が約650億円と、約130億円の増加(約25%増)となっています。アーモンドミルクと豆乳の規模感を比較すると、‘18年でみると豆乳市場は、アーモンドミルク市場の約13倍となっています。

次に、世界のアーモンドミルク、豆乳市場の動向を見てみます。アーモンドミルクの市場規模は‘13年が9.5億ドルで、そこから一貫して増加トレンドで、’17年には20億ドルを突破し、’20年には30億ドルを突破、’24年には50億ドルを突破すると見込まれています。豆乳は‘13年に8億ドルで、そこから微減・微増があるものの、ほぼ横ばいで推移しており、2024年も約8億ドルの市場規模と見込まれています。’13年時点ではアーモンドミルクと、豆乳の市場規模の差はほとんどありませんでしたが、アーモンドミルクは拡大し続け、豆乳が横ばいであるため、’24年にはアーモンドミルクが豆乳の約6.3倍の規模となっています。

こうしてみると、日本では豆乳の市場が大きく、アーモンドミルク市場は、成長しているものの、まだまだ小さい市場であることが分かります。一方、世界の乳製品代替品市場のトレンドをみると、アーモンドミルク市場の方が豆乳市場よりも、規模が大きく成長率も高いものとなっています。日本も世界のトレンドの影響を受けると考えると、日本のアーモンドミルク市場は、まだまだ拡大する可能性(伸びしろ)があると言えそうですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)