業界ウォッチ 2019年5月20日

教員のちょっと気になる「 世界のビリオネア所在都市 」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「 世界のビリオネア所在都市 」を取り上げてご紹介いたします。

ビリオネア(10億ドル以上の富・資産を持つ富裕層)といえば誰を思い浮かべますか。

先日米調査会社Wealth-Xがビリオネアの分布まとめた「Billionaire Census 2019」を発表しました。同調査によると、2018年の世界のビリオネア数は2,604人(対前年比5.4%減)で、ビリオネアの富(資産)は8.6兆ドル(対前年比7%減)となっています。

それでは、ビリオネアが多い地域・国はどこで、ビリオネアが多い都市はどこなのでしょうか。また、ビリオネアが人口比で見て多い都市はどこなのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。

まず、地域別のビリオネア数を見たいと思います。地域別でビリオネア数が最も多いのは欧州で792人、次いで北米750人、アジア677人と続いています。

国別では、やはり米国が最も多く705人、次いで中国285人、ドイツ146人、ロシア102人、英国97人と続いています。上位10か国にランクインしているアジアの国は、中国、香港(87人)、インド(82人)、シンガポール(39人)となっています。日本は37人とトップ10圏外となっています。

次に都市別のビリオネア数を見ると、最も多いのはニューヨークで105人、次いで香港87人、サンフランシスコの75人、モスクワの70人、ロンドンの65人と続きます。上位15都市にランクインしているアジアの都市は、香港、北京(55人)、シンガポール(39人)、ムンバイ(38人)、深圳(37人)、杭州(31人)、東京(29人)となっています。ちなみに日本のビリオネアの81%が東京に居住しており、世界各国・都市の中でもビリオネア集中度が最も高い都市となっています。

各都市の居住人口のうち、何人に1人の割合でビリオネアが存在するのかビリオネア人口密度を見ると、最もビリオネア密度が高いのはサンフランシスコで1.7万人に1人の割合でビリオネアが存在しています。次いで、ニューヨーク(8.1万人に1人)、ドバイ(8.4万人に1人)、香港(8.5万人に1人)、ロサンゼルス(10.2万人に1人)と続きます。

このように見ると、世界の中でも欧米先進国や中東などのビリオネア居住地だけでなく、アジアのビリオネアが上位に食い込んでいることが分かります。一方、アジアの中でも、日本及び東京は、香港、シンガポール、中国主要都市よりもビリオネア数で見劣る状況となっています。

もう少し、日本、東京にもビリオネアが増えて欲しいとも思いますが、アジアにこれだけのビリオネアが存在しているということは、富裕層ビジネスの機会がアジアに存在しているとも考えられます。

日本の存在感の低下を残念がるだけで終わるのではなく、こうした世界・アジアの富裕層の数字をチェックしながら、そこにある事業機会を見出していきたいものですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)