業界ウォッチ 2020年2月17日

教員のちょっと気になる「世界のデジタルサブスクリプション加入者数」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今週は「世界のデジタルサブスクリプション加入者数」を取り上げてご紹介いたします。

近年、あらゆる業界でのサブスクリプションビジネスへの取り組みが注目されています。ですが、もともとは新聞・出版メディア、動画配信、音楽などのデジタルコンテンツ系のサブスクリプションが先行して注目されていた市場です。特に動画ストリーミング配信のネットフリックスや、音楽ストリーミング配信のスポティファイが主要サービスとして認知されています。

それでは、こうしたデジタル系のサブスクリプションサービスの勧誘者数はどの位の規模感なのでしょうか。動画、音楽、新聞・出版では、どの位規模感に違いがあるのでしょうか。また、最近の中国プレイヤーは、世界的なサービスと比べてどのくらいの位置にあるのでしょうか。実際に数字で確認してみたいと思います。

まず、動画ストリーミングの加入者数上位のサービスを見てみます。トップはやはりNetflixで1億5160万人となっています。次いで、中国系のiQiyi(愛奇芸、バイドゥ傘下の動画共有サービス)で約1億人、同じく中国系のTencent Videoの約9400万人、Youku(中国の動画共有サイト)が約8210万人と続きます。

次に、音楽ストリーミングの加入者数上位サービスを見てみます。トップはやはりSpotifyで約1億人、次いでPandraが6310万人、Apple Musicが約6000万人、Amazon Prime Musicが3200万人、中国系のTencent Musicが3100万人と続きます。

新聞・出版サービスのサブスクリプション加入者数を見ると、トップが米New York Timesの380万人となっています。次いで、The Informerが210万人、Wall Street Journalが183万人、Washington Postが150万人と続きます。日本の日本経済新聞(Nikkei)は65万人と新聞・出版サービスの中では8位となっています。

このグラフには入っていませんが、リストアップされたサブスクリプションサービス事業者数では、新聞・出版サービスが69と最も多く、次いで動画ストリーミングサービス数が41となっており、音楽ストリーミングのサービス事業者は14となっています。

こうしてみると、動画ストリーミング、音楽ストリーミングと比較して、新聞・出版系のサブスクリプションは二桁ほどの違いがあることが分かります。

また、動画ストリーミングや音楽ストリーミングでは、中国系のサービスが上位に入っていることが分かります。一方、日本の動画・音楽ストリーミングは世界の上位には食い込めていないことも分かります。

新聞・出版系サブスクリプションは、無料メディアが多数ある中で市場を獲得するのは難しく、音楽サブスクリプションでは寡占化が進んでいる姿が見て取れます。そういう意味では、動画ストリーミングが最も商業的に価値が高いといえるかもしれませんね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)