業界ウォッチ 2019年4月1日

教員のちょっと気になる「国内ドローン市場」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「 国内ドローン市場 」を取り上げてご紹介いたします。

先日インプレス総合研究所が国内のドローンビジネス市場に関する調査報告書「ドローンビジネス調査報告書2019」の調査結果を公開しました。同調査によると、2018年度の国内ドローンビジネス市場規模は931億円と推測され、2019年には前年比56%増の1450億円に拡大する見通しとのことです。

確かにドローンは、出始めた当初はホビー用途に近いイメージで、新しいもの・ガジェットなどが好きなエンジニアなどで人気が出たイメージがありましたが、最近は業務用途や物流活用実証実験など、かなり実用的になり、身近になった印象を受けます。

それではドローン市場がどのくらい伸びているのか、どの分野で伸びているのでしょうか。また、将来、最も活用が期待される市場はどの分野なのでしょうか。具体的に数字を見て確認したいと思います。

まず、国内ドローンビジネスの市場規模推移を見てみると、2016年は353億円でしたが、そこからは増加トレンドで‘19年には1450億円と1000億円を超え、2024年には5073億円と、5000億円越えの水準に達しています。ちなみに、1年前の同調査レポートでは2024年時点で3711億円となっていたので、約1300億円ほど上方修正されたことにになります。

次に、機体・サービス・周辺サービス(ドローン教育やメンテナンス等)の内訳推移を見ると、サービスの市場規模が2016年の154億円とドローンビジネス市場全体の43%を占めていましたが、2024年には3568億円と、全体の70%を占めるまでに拡大しています。

そのサービス市場の分野別の内訳推移を見ると、2024年時点で最も大きくなると予想されているサービスは「点検」で1473億円となっています。次いで、「農業」760億円、「物流」432億円とつづきます。とくに「点検」は2019年以降の伸び幅が大きくなっています。「物流」用途も2020年以降の伸び幅が大きくなっています。

このように見ると、設備等の「点検」、「農業」、「物流」などドローンの産業用途市場の伸びが大きいことがよく分かります。ドローンに限らず、ブロックチェーンや、AR/VRなどの分野は、華々しく見えますが、実際には産業・業務用途で実用的に活用される市場が大きいのかもしれませんね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)