業界ウォッチ 2019年2月4日

教員のちょっと気になる「外国人留学生数」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「 外国人留学生数 」を取り上げてご紹介いたします。

近年、訪日外国人旅行客数や、在留外国人数の増加が話題になることが多くなりましたが、先日(1月19日)日本学生支援機構が、日本の大学や日本語学校などに在籍する「外国人留学生数」の調査結果を発表しました。同調査によると、平成30年(2018年)5月1日時点での外国人留学生数が約30万人(29万8980人)となっており、過去最多を更新したそうです。

それでは、外国人留学生がどのくらい増えているのでしょうか。また、どのような教育機関に在籍していて、どの国・地域からの留学生が多いのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。

まず留学生の推移を長期推移(1983~2018年)を見てみると、1983年には外国人留学生が1万人程度でしたが、増加トレンドで‘95年には約5.4万人となりましたが、そこから5万人程度で横ばい・微減という状態で’98年に約5.13万人となりました。99年からまた増加に転じ、2011年に15万人を突破し、以降増加ペースが加速し‘18年に約30万人にまで拡大しています。

ちなみに、日本人の海外留学生数と比較すると、2001年までは、日本人海外留学生数が日本への外国人留学生数を上回るか、同程度で推移していたのですが、‘02年から外国人留学生数が大きく上回るようになり、圧倒的な差がつくようになりました。

留学先教育機関別にみると、「学部・短大・高専」が2000年以降大きく伸びており、2018年には約8.8万人が留学しています。「日本語教育機関」は統計を取り始めたのが2011年からですが、‘11年には約2.56万人でしたが、’18年には約9万人と、教育機関別で最も大きな留学先教育機関となっています。

次に、外国人留学生の出身国・地域別にみると、‘18年時点で中国が最も多く約11.5万人、次いでベトナム(約7.2万人)、ネパール(約2.4万人)、韓国(約1.7万人)、台湾(約0.95万人)と続きます。なお、外国人留学生全体の93%がアジアからの留学生で、欧州が3.4%、北米が1.1%と、ほとんどがアジアからの留学生だと言えます。また中国人留学生だけで、外国人留学生全体の約38%を占めています。

このようにみると、アジアからの外国人留学生数が急激に伸びていることが分かります。国内の高等教育機関などは、少子化の影響もあり、海外からの学生を確保する必要もあるのでしょうが、今後、内なる国際化がこれから進んでいくものと考えられます。また、日本は、外国人の受け入れを進めていくしかないでしょうね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)