業界ウォッチ 2018年9月24日

教員のちょっと気になる「ホームセンター市場」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「 ホームセンター市場 」を取り上げてご紹介いたします。

ホームセンター大手5社の新規出店数が6年ぶりに増加に転じ、2018年度は3割増える見通しだそうです。昨年度の大手5社新規出店数が60店でしたが、18年度は78店となるとのことです。

背景には、都市部を中心にDIY女子の増加があるようです。30-40代女性向けに工房スペースを設けて講座・ワークショップを開いたり、小物制製作画を配信したりするなどホームセンターなどが取り組んでいます。インスタグラム・SNS等で作品を見せ合うなど、DIYの楽しみ方が変わってきているようです。

それでは、ホームセンターの市場規模は伸びているのか、店舗数は増えているのか、ホームセンターで提供されている商品に変化があるのか、実際の数字で確認してみたいと思います。

まず、ホームセンターの市場規模をみると、80年代の1兆円未満から90年代に3兆円超と大きく伸びましたが、2000年代半ばからは4兆円弱でほぼ横ばいで推移しています。

店舗数の推移を見ると、こちらも80年代前半までは1000店未満でしたが、90年代にかけて大きく伸び3600店舗まで伸びました。2000年代に入り2010年ごろまで店舗数の伸びは緩やかになりましたが、2010年台から4100店を超え増加ペースが増しました。

2010年代は、市場規模が横ばいで、店舗数が増加しているので1店舗当たりの売上高が低下していることになります。

売上構成比を2009年と2017年で比較してみると、「DIY用品・素材」、「園芸・エクステリア(ペットを含む)」が伸びていることが分かります。一方、「自動車・アウトドア」、「インテリア」の割合が減っていることが分かります。

こうしてみると、大型店から中・小型店へとシフト(都市部にシフトしていると推察される)、DIY・園芸用品へのシフト傾向が強くなっていることが分かります。

かつて、男性が日曜大工用品・自動車用品を購入する場としてのホームセンターが、現在では、女性がガーデニングや、小物・手芸・ハンドメード製作などDIY用品を購入したり、学んだり体験する場へと変化してきていると言えそうですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)