業界ウォッチ 2018年7月30日

教員のちょっと気になる「外国人住民人口」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「外国人住民人口」を取り上げてご紹介いたします。

先日7月11日、総務省が発表した人口動態調査によると、日本に暮らす外国人住民が249万7千人(2018年1月1日時点)と過去最多を更新したそうです。対前年比では17万4千人の増加で、5年前の2005年(200万5千人、1月1日時点)と比べると約49万人増加となっています。

確かに、インバウンド観光客だけでなく外国人住民も都内で見かけることが増えてきていますし、特にコンビニや外食店舗などでは外国人従業員がメインとなっている印象を受けます。その多くは20代前後の外国人が中心という印象です。

それでは、外国人住民の人口構成が年代別で見るとどうなっているのか、日本人の年代別人口構成と比較するとどのような違いがあるのか。実際のデータで確認してみたいと思います。

まず日本人の人口を年齢階級別に見てみます。皆さんもご存知の通り団塊世代と呼ばれる65~69歳(男性:約469万人、女性:約498万人)に一つのピークがあります。その後団塊ジュニアと呼ばれる世代45~49歳(男性:約480万人、女性:約463万人)、40~44歳(男性:475万人、女性:456万人)にもう一つのピークがあります。それより年下の年代になるにつれ、人口が細るいわゆるイモムシ型の人口構成となっています。

次に外国人住民の人口を年齢階級別に見てみます。

図を見てわかるように、20代にピークが来ています。20~24歳で男性が約19.7万人、女性が約17万人、25~29歳で男性が約20.7万人、女性が約17.3万人となっています。20歳代は、合計で74.8万人となっています。この年代は、男性の方が女性よりも多くなっています。

ちなみに、日本人住民総数に対する外国人住民数の割合は、男性で1.97%、女性で2.02%となっています。これが20歳代となると、同比率は、20~24歳で男性6.48%、女性5.82%、25~29歳で男性6.57%、女性5.76%となっています。

こうしてみると、20歳代の外国人住民の割合が高いということが、実感値だけでなくデータでも把握できることが分かります。これまで20代の若い労働力に頼っていた小売・外食などの業界は、人手不足で外国人労働力に頼らざるを得ない状況になっていることがよく分かります。

人口ピラミッド構造が、図で見てわかる通り日本人住民と外国人住民で対照的ですが、日本人住民(左図)は100万人単位で見ているのに対し、外国人住民(右図)が万人単位となっていることに気を付ける必要があります。まだまだ日本人の若い世代の先細り感を外国人住民で補うレベルには程遠い状況です。

日本の人口政策・移民政策は、どうあるべきか。データも踏まえた上で、しっかりと考えていかないといけませんね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)