業界ウォッチ 2019年3月18日

教員のちょっと気になる「小学生のインターネット利用」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「 小学生のインターネット利用 」を取り上げてご紹介いたします。

内閣府は先日(3月1日)、2018年度の「青少年のインターネット利用環境に関する実態調査」の調査結果(速報)を発表しました。同結果によると、小学生の平日1日当たり平均ネット利用時間が、ほぼ2時間(1時間58分)に達し、前年度比で21分増の結果となったことが明らかになりました。

それでは、小学生のネット利用時間は、この数年でどのくらい伸びているのでしょうか。また、他の世代(中高校生)と比べるとどうで、小学生のネット利用内容は何でしょうか。実際に数字で確認してみたいと思います。

まず、ネット「利用時間」の推移を2014~18年度の5年間で推移を見てみます。小学生は‘14年度は1時間23.3分(83.3分)でしたが、そこから増加トレンドで’18年度にはほぼ2時間の1時間58分に達しています。ちなみに、中学生、高校生も同様に増加トレンドで、18年度は中学生が2時間43.9分、高校生が3時間37.2分となっています。

次に、ネットで何をしているのか「利用内容」を見てみると、小学生が最も多く利用しているのは「ゲーム」(81.5%)で、次いで「動画視聴」(66.1%)、コミュニケーション(36.0%)、「音楽視聴」(32.5%)と続きます。ちなみに、中学生は「動画視聴」がトップで、「ゲーム」「コミュニケーション」の順で上位を占めています。高校生は「コミュニケーション」、「動画視聴」、「音楽視聴」の順で上位を占めています。

一方、小学生のテレビ視聴時間を見ると、90年代~2000年代前半までは約2時間半程度の視聴でしたが、‘06年以降が大きく減少し、’17年には1時間19分となっています。‘18年の小学生ネット利用時間(約2時間)の半分程度ということになります。中高校生も同様に2000年代後半から急速にテレビ視聴時間が減少しています。

このように見ると、大半の小学生がネットを利用し、急速にテレビ離れが進んでいることが分かります。小学生のネット利用用途は、主にゲーム・動画が中心なので、HIKAKINなどのYouTuberがゲーム実況動画で小学生に人気を集めているのも納得がいきます。小学生のネット利用時間も平日1日平均2時間超と、生活の一部となっていることが分かります。

今後、更にテレビ離れが加速し、10代の若い世代が「デジタルネイティブ」として成長していくことが予想されます。そうすると、「子ども時代に影響を受けたTV番組」がなくなり、代わりに「ゲーム」「動画」等コンテンツが「思い出」となることが予想されます。子ども向け、若い世代向けに情報発信していくには、今後「ゲーム」コンテンツや、最近はやりの「知育・学習」コンテンツにも注目する必要がありそうですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)