MBAダイジェスト 2020年3月9日

教員のちょっと気になる「国内サウナ人口」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今週は「国内サウナ人口」を取り上げてご紹介いたします。

毎年3月7日は「サウナの日」として、一般社団法人日本サウナ・温冷浴総合研究所(日本サウナ総研)が「日本のサウナ実態調査」を公表しています。同調査は2017年から始まり、今年2020年が4回目の調査となります。

同調査では、サウナ浴をする人を「サウナ―」として、サウナ人口推計など各種調査結果が公表されています。

確かにこの数年、サウナ好きと称してSNS等でサウナに言ったことを報告する人などを多く見かけるようになり、メディア等では「サウナブーム」と呼ばれるような動きもあります。

それでは、サウナ人口は実際にどのくらいいるのでしょうか。また、サウナ利用頻度によってどの位の違いがあるのでしょうか。サウナに入った後、冷水や水風呂に入ったりするなど、温冷浴を実施する人の割合はどうなっているのでしょうか。実際に数字で確認したいと思います。

まず、サウナ人口の推移を見てみます。
同調査では、年1回以上(月1回未満)のサウナ利用者を「ライトサウナ―」、月一回以上(週1回未満)を「ミドルサウナ―」、週1回以上を「ヘビーサウナ―」としてサウナ人口を算出しています。

「ライト」「ミドル」「ヘビー」を合計したサウナ人口の推移をみると、2017年が2610万人で、そこから概ね横這いから微減程度で2020年は2549万人となっています。「ライトサウナ―」は17年が1835万人(ヘビー、ミドル除く)で、20年は1768万人となっています。「ミドルサウナ―」は17年が684万人で、20年が651万人となています。「ヘビーサウナ―」は、17年が358万人で、20年が342万人となっています。いずれも、概ね横這い・微減傾向となっています。

次に「温冷浴の認知度」の推移を見てみます。
温冷浴を「知っていて実践している」人は、17年は11.3%でしたが、そこから増加トレンドで20年は15.9%となっています。温冷浴を「聞いたことはあるが実践していない」人は、17年は33.7%でしたが、20は42.9%と大きく伸びています。温冷浴を「知らない」人は、17年が55.0%でしたが、20年は41.1%と大きく減っています。「温冷浴の認知度」が上がり、実施する人も増えていることが分かります。

こうしてみると、SNSやメディアで取り上げられるほど、実際のサウナ人口は伸びていないことが分かります。その一方、「温冷浴」に対する認知度や実践割合が高まっていることも分かります。

そういう意味では、サウナ愛好者でSNS発信などを行う「ミドル~ヘビー」サウナ―は目立つし、サウナが流行っているように見えるが、まだ広く一般にまで広まっていないということかもしれません。その一方で、「温冷浴」の認知度が高まっているということは、メディアやSNS等の情報で見かけることが多くなり、知っている人が増えたということが言えるかもしれません。

その意味で、サウナ人口が本格的に増えるのはこれからなのかもしれませんね。
ただ、新型コルなウイルスの影響で、一部運営・入場を制限しているサウナもあるようです。早く事態が収束することを願うばかりですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)