業界ウォッチ 2020年12月15日

教員ちょっと気になる「首都圏の中古マンション・戸建住宅動向」

今週は「首都圏の中古マンション・戸建住宅動向」を取り上げてご紹介いたします。

新型コロナの感染拡大をきっかけとして、住宅への意識が高まっているようです。新築だけではなく、中古住宅物件(マンション、戸建)の需要が伸びているようです。


在宅勤務が増加したことに伴い、住居について考える機会が増えたものの、新築マンション等は希望エリアだと価格的にも厳しいため、中古物件を探し、改装等のリフォームを行うファミリー層が増えているそうです。(※日経MJ2020/11/30)
確かに、在宅勤務が常態化したことで、より広い住宅を求めて郊外に転居するという話はありますが、中古物件であれば、首都圏でもより安い価格で広い居住環境を確保することができそうです。


https://www.ohmae.ac.jp/session/

それでは、首都圏の中古マンションや戸建て住宅はどの位伸びているのでしょうか。また、中古物件の在庫数はどのように推移しているのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。


 まず、中古マンション・戸建住宅の成約件数の動向を見てみます。グラフの傾向を見ると、中古マンションと中古戸建て住宅は、概ね同じ動きをしているといえそうです。


新型コロナ前の2019年7月頃までは概ね対前年同月比5%前後で推移していましたが、19年8月頃から消費税率引上げの影響からか、20%近くに上昇します。19年10月以降はマイナス10%台となりますが、以降また5%前後に戻ります。


20年3月から新型コロナの影響で大幅なマイナスとなり、4月時点で最も落ち込みが大きく中古マンションが-52.6%、中古戸建住宅が-42.5%となっています。

以降、回復傾向に向い、20年10月時点で中古マンションが対前年同月比31.2%増、中古戸建住宅が41.8%となっています。前年の消費税引上げ後の落込みの影響もあるとも考えられますが、20年11月で中古マンション14%増、中古戸建住宅23.6%となっており、消費税の影響だけではなく、実際に中古物件を求めている人が増えてきていると考えられそうです。


https://www.ohmae.ac.jp/session/

 次に、中古物件の在庫数を見てみます。中古マンションは、コロナ前は対前年同月比3~5%の在庫増加でしたが、19年12月ごろからマイナスに転じています。


20年7月以降マイナスが大きくなり、20年11月には-19.2%となっています。中古戸建て住宅は、19年8月頃まで対前年同期比10%超の在庫増加でしたが、以降下落傾向となり、コロナ禍の20年6月に入りマイナスに転じています。20年9月には-10%を超え、同11月には-19.6%となっています。

こうしてみると、やはり今年3月の新型コロナ感染拡大以降の在宅勤務定着によって、今年の夏以降から首都圏の中古住宅物件の需要が伸びていることが分かります。


11月頃から新型コロナ感染拡大第3波が指摘され、一度在宅勤務から通勤するようになった人も再び在宅勤務を強いられることになる可能性も高そうです。そうすると、さらに在宅勤務に適した住環境を求める人が増えることになると考えられそうですね。