業界ウォッチ 2020年7月13日

教員のちょっと気になる「TikTokユーザー数・ダウンロード数」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今週は「TikTokユーザー数・ダウンロード数」を取り上げてご紹介いたします。

中国発の人気動画共有アプリであるTikTokに最近逆風が吹いているようです。

7月上旬に米政府がTikTokを含む中国企業が運営するソーシャルメディアアプリの使用禁止を検討するといった報道がありました。6月末にはインド政府が、同じくTikTokを含む59の中国製アプリの使用を禁止しました。オーストラリアも検討中と伝えられています。

また、TikTokが香港から撤退したとも米ブルームバーグで報じられています。これは、香港国家安全維持法の施行により、香港当局から捜査協力(情報提供)を避ける狙いとみられています。

TikTokは、中国のバイトダンス社(北京)が運営するサービスで、中国国内のサービスは「抖音(ドウイン、douyin)」、海外版が「TikTok」という位置づけです。バイトダンス社は、世界的なユニコーン企業としても上位にあり、世界でも注目を集めています。

それでは、そのTikTokのユーザー数は世界的にどのくらい伸びているのでしょうか。同じスマホアプリでもiOSとAndroidとの違いがどのくらいあるのでしょうか。どの国で多くダウンロードされているのでしょうか。実際に数字で確認してみたいと思います。

まず、TikTokの世界のユーザー数(DAU、Daily Active User、1日あたりのアクティブユーザー)数を見てみます。

AndroidのDAUを見ると、17年1月時点では410万人でしたが、そこから横ばい傾向で18年1月から急増加トレンドとなっています。19年2月に2740万人と一旦ピークに達した後落ち込みましたが、19年6月から再度急増トレンドに転じ20年3月には3670万人と最高値に達しています。

iOSのDAUを見ると、2017年1月時点では121万人でしたが、そこから微増トレンドしたが、19年9月ごろから増加ペースが加速し、20年3月からはさらに加速し、20年5月時点では1480万人に達しています。

次に国別のTikTokダウロード数を見てみます(20年5月時点)。Google Playでのダウンロード数を見ると、トップがインドの1319万件で、次いでブラジル(548万件)、ロシア(366万件)、メキシコ(331万件)、米国(185万件)と続きます。App Store(iPhone)でのダウンロード件数をみると、トップが米国の646万件で、次いでブラジル(110万件)、英国(101万件)、ロシア(75万件)と続きます。

こうしてみると、世界的にはアンドロイドスマホTikTokユーザーが多いことが分かります。ただし、20年に入ってからApp StoreのTikTokユーザーが急激に伸びていることも分かります。

国別では、人口の多いインド、米国、ブラジル、ロシアが上位に来ていることが分かります。米国ではApp Storeでのダウンロード件数がダントツトップですが、それ以外はGooglePlayでのダウンロード数が多くなっています。ざっくりいうと、iPhoneで米国ユーザーが多く、アンドロイド系スマホではインドでのユーザーが多いということが言えます。

米中の政治対立などを背景に、中国製アプリの使用禁止が検討されているようですが、ユーザーはアプリの国籍や政治的意図とは関係なく、使いたいかどうかで判断している部分が多いと思います。

世界のユーザーの支持が強いのか、政治・国際情勢の影響が強いのか、こうした巨大SNS・動画コンテンツメディアの動向を今後もチェックしていく必要がありそうですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)