業界ウォッチ 2022年4月19日

【データから読み解く】世界のビリオネアランキング

今回は「世界のビリオネアランキング」を取り上げてご紹介いたします。

先日(4/5)、Forbes誌が2022年の世界ビリオネアランキング(保有資産額10億ドル以上)を公表しました。それによると、今回のランキング1位はテスラ及びスペースXのCEOであるイーロン・マスク氏となっています。昨年までトップだった米アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏を抜いて、初の1位となりました。

イーロン・マスク氏といえば、直近ではTwitter社を約400億ドル(約5兆円)の買収提案をしたということで話題を集めています。それでは、イーロン・マスク氏の保有資産はどの位の規模なのでしょうか。2位のジェフ・ベゾス氏に続く3位以下のビリオネアにはどのような人たちがランキング入りしているのでしょうか。2位以下ビリオネアとイーロン・マスク氏の保有資産の差はどの位なのでしょうか。保有資産額の伸びは、2位以下のビリオネアと比べるとどのような違いがあるのでしょうか。

また、国別で見るとビリオネア数の上位国はどの国で、どの位の数がいるのでしょうか。日本はどのくらいの位置にいるのでしょうか。

実際に数字を見て確認したいと思います。

ビリオネア ランキング

まず、世界ビリオネアランキングの上位を見てみます。トップは、前述のイーロン・マスク氏で2650億ドルとなっています。次いでジェフ・ベゾス氏(1780億ドル)、ベルナール・アルノー氏(仏LVMH、1670億ドル)、ビル・ゲイツ氏(米マイクロソフト創業者、1320億ドル)、ウォーレン・バフェット氏(投資家、1240億ドル)と続きます。日本人で上位100位以内にランク入りしているのは、柳井正氏(55位、ファーストリテイリング、262億ドル)、孫正義氏(64位、ソフトバンクグループ、237億ドル)、滝崎武光氏(66位、キーエンス、235億ドル)となっています。

次に、世界ビリオネアランキング(22年版)トップ4人の保有資産額がどのように変化しているのかを見てみます。

イーロン・マスク氏の保有資産額の推移をみると、2013年は27億ドルと、上位4人の中最も低い額となっており、そこから2020年(246億ドル)まで緩やかに増加傾向となっていますが、2021年には1510億ドルと急増し、2022年には2190億ドルとなっています。

ジェフ・ベゾス氏の保有資産額の推移をみると、2013年は25.2億ドルと、上位4人中三番目となっていますが、そこから増加トレンドで、2018年に1120億ドルと、世界トップに立ちました。そこから増減はあるものの、2021年まで4年連続トップとなっていますが、22年にイーロン・マスク氏に抜かれる形となっています。ちなみに、世界ビリオネアランキング上位4人とも、コロナ禍以降に保有資産額が急増していることが分かります。

また、国別のビリオネア数のランキングを見てみると、トップは米国で867人となっています。次いで多いのが中国の607人で、以下インド(165人)、ドイツ(134人)、ロシア(83人)、カナダ(64人)、ブラジル(63人)と続きます。日本は40人と、同じアジアの台湾(51人)、韓国(41人)よりも下回っています。

こうしてみると、イーロン・マスク氏の保有資産額は、コロナ禍以降急激に伸びており、グラフの動きを見ても、イーロン・マスク氏の伸びが異常に思えるほど突出していることが分かります。このマスク氏の保有資産額(2650億ドル)であれば、Twitter買収に約400億ドルかかったとしても、十分に対応できる資金力があることが分かります。

また、国別ビリオネア数を見ると、米中が突出していることが分かります。ビリオネアランキング上位10人中7人が米国で、2名が中国となっていることからも、米中が抜きんでていることが分かります。

世界のビリオネアは、日本と比較するとスケール感が全く異なっています。変化のダイナミックさも、大きく異なります。当面は、イーロン・マスク氏の動きに目が離せ無さそうですね。

出典:
Forbes “THE WORLD‘S REAL-TIME BILLIONAIRES”
Forbes “The Richest in 2022”