今回は「国内冷凍食品消費動向」を取り上げてご紹介いたします。
前回(※1)、国内の冷凍食品市場動向として国内市場規模、国内生産量(業務用・家庭用別)、主要品目の国内生産量を見てみました。業務用が落ち込み、家庭用が伸びていることや、品目別ではこれまでのフライ中心だった冷凍食品からうどん、ギョウザ、炒飯、パスタ等の調理冷凍食品が伸びていることが分かりました。
それでは、国内冷凍食品の消費者をみるとどのような動向になっているのでしょうか。世帯規模によって何か違いがあるのでしょうか。また消費者の年代別でみると何か違いがあるのでしょうか。また冷凍食品を購入する場所はどのようなところが多くなっていて、最近どのような変化が見られるのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。
まず、総務省家計調査から、世帯規模別(二人以上世帯、単身世帯)の冷凍食品(冷凍調理食品※2)の支出動向を見てみます。
二人以上世帯の冷凍食品支出動向を見ると、2000年は4556円となっています。そこから2007年(5207円)まで微増トレンドとなっていましたが、2008年(4749円)に一度落ち込みますが、以降は増加トレンドとなっています。2019年から2020年にかけて、新型コロナの影響による巣ごもり消費加速の要因もあって、急増トレンドとなり、2022年には1万106円と1万円台を超える金額に達しています。単身世帯の消費支出動向を見ると、統計で把握可能な2007年は1031円となっています。そこから微増トレンドで、2019年には1770円となっています。2020年に入り、新型コロナの影響で急増し、2021年には4672円に達しています。2022年は、前年よりは落込んで3495円となっています。
単身世帯のコロナ禍後の急増が大きな変化として見て取れます。
次に、世帯主の年代別消費支出額を見てみます。
29歳以下の世帯は、2000年に4579円で、以降増減を繰返しながら概ね微増トレンドとなっています。2022年は5866円となっています。30代の支出動向は、2000年が5478円で、以降2016年(7057)まで微増トレンドとなっています。以降は増加ペースが加速し、2022年は1万164円と1万円台を超えています。40代は、2000年に8304円と年代別では最も高い支出となっています。以降は増減を繰返しながら、概ね増加トレンドとなっており、2022年は12146円となっています。
50代は、2000年に4397円と40代の半分程度でしたが、以降概ね増加トレンドとなっており2022年には1万2193円と、40代の支出を上回る金額に達しています。60代は2000年で2129円でしたが、以降概ね増加トレンドとなっており、2015年以降急増トレンドへと変化し2022年には1万268円と1万円超えに達しています。70歳以上は2000年時点は1451円でしたが、以降増加トレンドで2015年以降急増のカーブが加速し、2022年には7859円となっています。
50代以上の世帯で冷凍調理食品支出が急増していることが特徴として見て取れます。
冷凍食品を購入場所をみると、最も多いのはスーパー(店頭)で男女とも90%を超えています。次いでドラッグストア(女性29.5%、男性35.3%)、宅配サービス・生協等(女性18.5%、男性4.1%)、コンビニ(女性15.1%、男性25.3%)と続きます。男性のドラッグストア、コンビニ、通信販売での購入機会が女性よりも高いことが特徴的な事象として見て取れます。
こうしてみると、全般に冷凍食品への支出が増えているものの、単身世帯や、50代以上の世帯での伸びが高いことが分かります。また、販路も従来のスーパー(店頭)以外に、ドラッグストアや、宅配サービス、コンビニ、ネットスーパー、通信販売等に広がっており、男性の購入機会・購入接点となっていることが分かります。
新型コロナの影響が収束に向かうことによって、巣ごもり消費の状況がどのように変化するのかはもう少し状況を見る必要がありそうですが、従来の弁当総菜を購入していたと考えられる消費者でも、冷凍食品購入が増えていることは重要な点だと思われます。保存期間・味といった冷凍食品そのものに加え、飲食店等によってはテイクアウト需要を取り込む機会、家電メーカーにとっては冷凍庫・解凍用電子レンジなどの事業機会になりそうですね。
※1(2023年8月1日)【データから読み解く】国内冷凍食品市場
※2 家計調査でいう冷凍調理食品とはギョウザなどのおかず等に用いられる冷凍食品