執筆:mbaSwitch編集部
経営戦略の要となるのが「競争戦略」です。企業が発展、存続するためには、競争相手となる企業との関係において戦略を立て、競合に打ち勝つことは必要不可欠です。
本記事では、アメリカの経営学者マイケル・ポーターが提唱した「3つの基本戦略」を中心に、各戦略の定義や、実現する要件と組織体制、競争戦略を実行するための手順など、競争戦略への理解が深まる基本的な知識について解説します。
競争戦略とは、同一の事業分野で競合する他社に勝つための戦略のことです。より有利な市場地位を獲得するため、他社とは異なる独自の戦略を選択することで、顧客の獲得を目指します。競争戦略にはさまざまな考え方がありますが、史上最年少でハーバード大学の正教授となったアメリカの経営学者、マイケル・ポーターの提唱した戦略が有名です。
競争優位を構築するための基本戦略(競争戦略類型)として、ポーターは次の3つを提唱しました。
①コストリーダーシップ戦略
②差別化戦略
③集中戦略
「コストリーダーシップ戦略」とは、事業の経済的コストを、競合他社より低い水準まで下げることで、競争優位性を確保する戦略です。
さまざまなコスト削減によって、いかに原価を抑える仕組みを作り出せるかが鍵になります。
一旦仕組みが構築できれば、あとは他社よりも安い価格で商品やサービスを提供してシェア獲得を目指したり、同等の価格で提供して利益率を増大させたりと、経営の自由度が増すことも特徴です。
競合他社に対してコスト面で優位性を築き、コストリーダーシップ戦略を実現するには、
・固定費の効率化
・従業員の専門化による作業効率化
・会計・財務コストなどの配賦額の減少
・学習曲線による経済性
・物理的な技術(ハード技術)の向上
・生産現場での改善活動やコスト削減を優先する企業文化(ソフト技術)
など、さまざまな要件があります。
コストリーダーシップ戦略を実行する組織には、少ない階層の報告構造で、かつ単純な報告関係であること、特定機能分野へ事業が集中していることなどが求められます。また、コスト削減に対するインセンティブ制度、コスト管理システムなどの仕組みや、コストリーダーシップの価値観を持つ意識が、社員に浸透していることなども有効です。
「差別化戦略」とは、市場における自社の製品やサービスの認知上の価値を向上させることを指します。
ポーターは、「差別化により顧客が認知する価値が上がっていること」を差別化戦略が成立するための絶対条件としました。
「顧客に、他社と異なると認知される」ことと「顧客に、他社より価値があると認知される」ことは、別の話です。
他社と違うことをして、顧客に「他社と異なる」と認知されるのではなく、「他社より価値がある」と認知されることが、差別化戦略のポイントです。
製品やサービスの差別化の源泉となる要素は7つあります。
・製品の特徴
・機能間の連携
・タイミング
・地理的ロケーション
・製品の品揃え
・他企業との関係性の強さ
・評判(ブランド)
差別化戦略を実現するには、これらの要素で差別化を図ると同時に、顧客から「他社より価値がある」と認知される必要があります。
差別化戦略を実行するには、商品やサービスに関するさまざまな要素をうまく差別化に落とし込むため、部門横断的に連携できる組織体制が必要です。さらに社員には、適切に先読みするスキル、戦略的に行動できるスキルなどが求められます。創造的な活動を歓迎する社内風土や資金の確保も欠かせません。
「集中戦略」とは、企業の資源を特定のターゲットや製品、地域、流通などに集中させることです。集中戦略の目的は、少ない経営資源でも効果が高い戦略を実行することにあります。
昨今、集中戦略の戦略理論としての価値はなくなっているといわれています。理由は、戦略を策定する上で集中することは大前提だからです。3つの基本戦略を提唱したポーター自身も、後年の論文においては集中戦略には触れていません。
集中戦略では、経営資源を特定の市場やターゲットに投入するため、市場やターゲットの選定は慎重に行う必要があります。できるだけニッチな市場に参入することが、独自性を確立する近道です。ブランディング戦略も効果的です。狙った市場やターゲットから「この商品・サービスならこの企業」と認知されるようになれば、集中戦略が成功したといえるでしょう。
集中戦略は、中小企業によく使われる手法ではあるものの、企業規模は限定されません。大企業でも成功を収めている事例は多くあります。ただし、市場やターゲットを絞ることから環境の変化に左右されやすい特徴があるため、常に顧客のニーズを把握すること、ニーズの変化に柔軟に対応できる組織であることが求められます。
ポーターは、著書『競争の戦略』において、3つの競争戦略理論における目標を掲げています。
①経営者が自分の置かれた競争環境を正しく理解し、
②その環境が将来どのように変化するかを正しく予測し、
③強固な市場地位をもたらしくれる競争の仕方を選ぶこと
ここからは、これらの目標を達成し、競争戦略を実行するための3つのステップを解説します。
競争環境の分析には、マーケティング環境分析が有効です。マーケティング環境分析とは、事業に影響を与える可能性のある内部・外部の環境をさまざまな角度から分析し、市場機会と脅威を発見することです。
マーケティング環境分析にしばしば用いられるのが「SWOT分析」です。SWOT分析とは、外部・内部の環境を、強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の4つの項目で整理、分析する方法で、自社の置かれた環境を明確化するのに役立ちます。
将来の競争環境の予測には、マクロ環境を分析する「PEST分析」が役立ちます。マクロ環境とは、企業活動に対して影響力を持つ、自社ではコントロールできない外部環境要因のことです。代表的なものに「政治・法律(Political Environment)」「経済(Economic Environment)」「社会(Social Environment)」「技術(Technological Environment)」があります。
PEST分析では、具体的には人口動態の変化やイノベーションによる環境変化、法制度の変更、通商ルールの変更などによる影響評価を行い、将来の方向性を予測します。
優位性の高い競争戦略を策定するには、現在・将来の競争環境の分析を踏まえつつ、さらに「4P」「3C」「5F」などのフレームワークを活用します。
「4P」とはマーケティング戦略を立案する過程で製品・価格・流通・販促を検討するフレームワーク、「3C」とは市場のシェアを得るために自社・競合・顧客を分析するフレームワークです。
「5F」とは、自社が置かれている競争環境を、競争企業との敵対・売り手(供給企業)の交渉力・買い手の交渉力・新規参入の脅威・代替品の脅威という5つの要因から分析し、把握するためのものです。
これからの時代に通用する、戦略を考えるスキルを身につけるには、コストに関する知識やスキルを磨き、コストリーダーシップの価値観をもつことや、適切に先読みする能力、戦略的に行動できる能力などを養うことが重要です。
こうしたスキルを伸ばす手段のひとつとして、MBAが取得できる経営大学院で学ぶ方法があります。
経営大学院では、経営資源の3要素である、ヒト(組織行動・人材マネジメント)、モノ(マーケティング・オペレーション)、カネ(アカウンティング・ファイナンス)などについて学習します。
この3領域を体系的に修得し、論理的思考や問題発見・問題解決のスキルなどを養うことで、経営・ビジネスで生かせる実践力を身につけることができます。
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教務スタッフは、一人ひとりの学生の受講の進捗や発言頻度などを日々確認し、名前を覚えてしまうくらい常に気にかけ、身近な存在として伴走してくれます。
競争戦略の基本的な知識について解説しました。3つの基本戦略のうち、これからのビジネス現場でも重要なのは、「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」だといわれています。
コストリーダーシップ戦略や差別化戦略を成功させるために必要なスキルは、経営大学院で学ぶことで身につけられます。
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