業界ウォッチ 2021年12月7日

【データから読み解く】「メタバース市場」

今回は「メタバース市場」を取り上げてご紹介いたします。

米国のビッグテックの1社であるフェイスブック(Facebook)が今年10月下旬に、メタバースに約100億ドル(約1兆1400億円)投資すると発表し、社名を「メタ(Meta)」に変更すると発表しました。それ以降、各種メディアで「メタバース(Metaverse)」に関する報道を見かけることが多くなりました。

メタバースとは、「meta」(超越、高次の)と「universe」(宇宙)を組み合わせた造語で、オンライン上に構築された、人が活動できる仮想空間のことを指すそうです。こうしたビジネスに、フェイスブック(メタ)をはじめとして、大手IT企業、スタートアップ等が多数参入するのはなぜでしょうか。メタバース市場がそれほど大きく伸びるものと期待されているのでしょうか。いわゆる、AR/VR市場とはどう異なるのでしょうか。

それでは、メタバース市場規模がどのくらい伸びているのか、その内訳がどのようになっているのか、他の関連ビジネスと比較すると現状はどの位の市場価値があるのか、実際に数字を見て確認したいと思います。

まず、メタバースの市場規模の推移を見てみます。市場規模推計は、様々な調査機関が独自の推計を出しており、推計期間や、数字の規模にバラツキがみられますが、ここではBloombergの推計値をもとに見てみます。


2020年はメタバースの市場規模が4787億ドルでしたが、2024年には7833億ドルにまで拡大する(年平均成長率13.1%)ことが予想されています。

このメタバースの市場の内訳には、「ゲーム、AR&VRハードウェア」、「ゲームソフトウェア、サービス、広告」、「ライブ・エンターテイメント」、「ソーシャルメディア広告」が含まれています。

そのうち、メタバース関連で主要なゲーム市場を、ソフトウェア・ハード、ゲーム内広告、ゲーム用ハードウェア、AR/VRハードウェアの内訳を見てみます。ソフトウェア&サービスが1833億ドル(20年)から2505億ドル(24年)、ゲーム内広告が318億ドル(20年)から、537億ドル(24年)と伸びています。ハードウェアとソフトウェア&サービス(広告含む)で見ると、ソフトウェア&サービスが70%近くを占めていることが分かります。

次に、現時点で他の関連サービスの時価総額を比較してみます。

暗号資産大手のグレイスケール社の調査レポートでは、メタバースWeb3.0(NFT等デジタル資産価値など)とFacebook(Meta)、現状のGaming&eSports、Web2.0(SNS等)の時価総額を比較しています。同レポートによると、Metaverse Web3.0は275億ドル、Facebook(Meta)が9000億ドル、Gaming&eSportsが1.98兆ドル、Web2.0が14.8兆ドルとなっています。

また同レポートでは、時期は明言していませんがMetaverse Web3.0が将来、年間収益が1兆ドルを超える規模になるだろうとの見通しを示しています。

こうしてみると、メタバースの市場規模は非常に大きく、将来的にも成長が期待されていることが分かります。また、その中でもゲームが中心となって伸びていくものと、予想されていることが分かります。NFT等のMetaverse Web3.0の中では、現状は小さい規模でも将来的に非常に大きな市場になると期待されていることも分かります。

モルガン・スタンレーの分析では、非常に大きな市場規模になると予測している一方、現状のメタバースには課題が多く、現在よりも10倍以上の改善が必要だろうと指摘し、既存のECやデジタルメディアよりも付加価値が高いものでないと、利用されるようにならないと、指摘をしています。また、「メタバースが急速に広がったり、すんなり受け入れられたりする展開は考えられない」との指摘もしています。

メタバースは大きな期待がされている一方、課題が多いことも分かります。投資家・評論家・分析的な視点からは、課題が気になるところです。

しかし、科学者アラン・ケイの名言「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」という観点からは、将来の市場を作るのは自分次第ということになります。本気でメタバースに取り組むのか、「流行りだから」という理由で取り組むのか。本気度が問われることになりそうですね。

出典:
“Metaverse may be $800 billion market, next tech platform”

“THE METAVERSE”

「フェイスブックはメタバースの勝者になれない」モルスタ最新予測。市場規模は米国だけで「900兆円」も…