業界ウォッチ 2022年8月9日

【データから読み解く】国内モバイルゲーム市場

今回は「国内モバイルゲーム市場」を取り上げてご紹介いたします。

先日(7/29)、一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラムが2021年(1月~12月)のモバイルコンテンツ関連市場について市場規模調査結果を公表しました。同調査結果によると、ゲーム系、音楽系をはじめとしたデジタルコンテンツを有料配信する「モバイルコンテンツ市場」と、物販系、サービス系、トランザクション系の3分野で構成された「モバイルコマース市場」を合わせた「モバイルコンテンツ関連市場」は、7兆7,061 億円(対前年比108%)とのことでした。

このうち、モバイルゲームは、コロナ禍以前には、スマホの普及以降、大きな市場として伸びていることが話題となっていましたが、コロナ禍以降ではモバイルゲームはどのような伸びになっているのでしょうか。世界の動きと比較すると、日本のモバイルゲーム市場はどのような規模感でどのような伸びを見せているのでしょうか。また、国内のモバイルコンテンツ市場の中で、モバイルゲームは、電子書籍や動画配信などと比べてどのような規模感で、どのような伸びの違いがあるのでしょうか。更に、モバイルゲームの中で、人気の高かったゲームはどのようなゲームなのでしょうか。

実際に数字を見て確認したいと思います。
国内モバイルゲーム市場

まず主要国(日・米・中・韓・台)のモバイルゲーム市場の推移を見てみます。2021年で最も市場規模が大きいのは米国で2.4兆円となっています。次いで中国(2.2兆円)、日本(1.3兆円)、韓国(0.7兆円)、台湾(0.2兆円)となっています。2019年からの伸びを見ると、米国が最も伸び率が高く、21年の市場規模は対19年比57.8%増となっています。韓国は同49.3%増、台湾は同39.8%増となっていますが、日本は同2%増、中国に至っては同マイナス3.6%となっています。

次に国内のモバイルコンテンツ市場の内訳を見てみます。2021年の内訳では、ゲーム・ソーシャルゲーム市場が最も大きく約1.6兆円となっています。次いで電子書籍(約4400億円)、動画・エンタテイメント(約4150億円)、音楽コンテンツ(約1650億円)と続きます。それぞれの伸びを見ると、いずれも増加トレンドとなっていますが、ゲーム・ソーシャルゲーム市場の2015-21年の年平均成長率(CAGR)が8.3%と、電子書籍の同CAGR17.3%、動画・エンタテイメントのCAGR18.1%と比べると低くなっていることが分かります。

またモバイルゲームの中で2021年の売上上位のタイトルを見ると、トップがウマ娘プリティーダービー(Cygames)がトップの1296億円となっています。次いでFate/Grand Order(917億円、アニプレックス)、モンスターストライク(739億円、ミクシィ)、パズル&ドラゴンズ(523億円、ガンホー・オンライン・エンターテイメント)と続きます。

こうしてみると国内モバイルゲーム市場の伸びが鈍化・停滞傾向にあることが分かります。中国は市場規模としては大きいのですが、伸びで見ると米国、韓国の方が有望であることが分かります。

またアプリ売上のランキング上位を見ると、「ウマ娘プリティーダービー」のように大きな開発費をかけたゲームタイトルがヒットしている他、以前から人気のあった「モンスターストライク」や「パズル&ドラゴンズ」などが上位に来ていることも分かります。更に、5位以下を見ると、「プロ野球スピリッツA」、「ドラゴンクエストウォーク」、「Pokémon Go」、「ドラゴンボールZドッカンバトル」などのIP(知財)を活用したゲームタイトルが上位に来ていることも分かります。

国内市場が頭打ちになりつつあるモバイルゲーム市場の今後を考えると、巨額の開発費を投じるリスクをとるか、IPを活用したゲームタイトルを開発するか、海外市場(パズドラなどは海外市場が伸びている)を開拓していくか、何らかの対応が必要になるものと考えられそうですね。

出典:
ファミ通モバイルゲーム白書2022
一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム