業界ウォッチ 2022年7月26日

【データから読み解く】音楽ライブ市場動向

今回は「音楽ライブ市場動向」を取り上げてご紹介いたします。

7月の後半に差し掛かり、新型コロナの第7波が気になりますが、今年2022年は大型音楽フェスが3年ぶりに開催される予定となっています。ロック・イン・ジャパン、サマーソニックが3年ぶりのリアル開催となり、フジロックは3年ぶりに海外アーティストが出演する予定となっています。

2020年、21年と大型フェスはもちろん、音楽ライブ・コンサート自体が新型コロナで中止・縮小を余儀なくされ、市場自体が大きく縮小しました。新型コロナの状況次第ではありますが、22年にはある程度復活することが予想されています。

それでは、音楽ライブを含めたライブ・エンタテイメント市場規模はどのように推移する見通しとなっているのでしょうか。また、大型音楽フェスに限らず、音楽ライブ市場自体はコロナ下でどのように変化し、21年はどのような状況となっていたのでしょうか。ライブの単価や、音楽ライブ会場の動員数、公演回数、音楽ライブ事業者の売上や公演実施数などにどのような変化があるのでしょうか。

実際に数字を見て確認したいと思います。
音楽ライブ市場

まずライブ・エンタテイメント市場規模(音楽ライブ・コンサート以外を含む)の推移を見てみます。2010年は3159億円(音楽1600億円、ステージ1559億円)で、震災のあった2011年以降は概ね増加トレンドとなっており2019年には6295億円(音楽4237億円、ステージ2058億円)に達します。新型コロナで激減した20年は1106億円(音楽589億円、ステージ518億円)となりオンライン配信(448億円)を加えても1555億円にとどまります。翌21年も20年よりは回復したとはいえ、3584億円(音楽1547億円、ステージ1525億円、オンライン配信512億円)にとどまります。ぴあ総研の予測では、2022年以降は大きく回復し、2025年には6639億円(音楽4429億円、ステージ2210億円)となっています。

次に音楽ライブの1公演当りの指標(入場者数、売上額、入場単価)を見てみます。1公演当りの入場者数は、2010年に1445人でしたが、そこから増加トレンドで13年に1768人となりますが、14年に一度1545人へと落ち込みますが、以降19年まで概ね横這い傾向となっています。新型コロナで激減した20年は1021人、21年は866人へと落ち込んでいます。1公演当りの売上額も、やや似たような動きをしており、2010年は1公演当り707万円の売上で、そこから増加トレンドで、13年以降から19年(1149万円)まで概ね横這いトレンドとなっています。新型コロナで激減し、21年には580万円に落ち込んでいます。入場単価は2010年の4889円から概ね増加トレンドで19年に7398円となりますが、以降はコロナで落込み21年は6699円となっています。

音楽ライブの1社あたりの指標(売上高、公演数)を見ると、1社あたり売上高は2010年の22.9億円からい19年(53.1億円)まで概ね増加トレンドとなっていますが、20年に10.8億円と大きく落ち込み、21年は21億円となっています。1社あたり公演実施本数を見ると2010年(323本)から15年(477本)まで増加トレンドとなっていますが、以降19年(462本)まで横這いとなります。20年は148本と激減しますが、21年には361本へと回復しています。

こうしてみると音楽ライブの集客・売上はコロナ前と比べると大きく落ち込んでいますが、各ライブ運営会社は公演回数を増やして、少しでも売り上げを確保させ超と努力していることが見て取れます。実際には、ライブ公演の収容人数規制(収容上限キャパシティの50%など、自治体等によって異なる)などの問題で、苦肉の策として回数を公演確保しつつ集客してきたということかもしれません。

今後、新型コロナの状況がどうなるか予測することはなかなか難しいですが、感染症対策をしっかりしたうえで、音楽ライブが開催されれば、ぴあ総研の予測にあるように、23年にはコロナ前の規模に回復するかもしれません。またオンライン配信などもミックスした音楽ライブのDXなども進んでいく可能性も考えられそうです。今後は、リアルとオンラインのハイブリッド型の在り方が重要になるかもしれませんね。

出典:
ぴあ総研プレスリリース
一般社団法人コンサートプロモーターズ協会(ACPC)