実践ビジネス英語 2020年7月9日

仕事に効くビジネス英語講座〈第17回〉世界で活躍する人々の17の共通点(後編)



執筆者:PEGL事務局清水

「国境を越え、世界を舞台に活躍する人々には、いくつかの共通点が存在する」のだと国連世界食糧計画(国連WFP)に勤務する田島麻衣子氏は言います。日本も含めた60以上の国籍の、実際に田島氏が接したことのある人々を参考に、世界で活躍する人が持っている共通点を17項目挙げています。

職業は、各国の大使やダボス会議に主席する会社経営者、ニューヨークタイムズ誌の記者、世界で注目される指揮者、米国の名門大学の学長、そして国連期間の田島氏の同僚です。田島氏の著書『世界で働く人になる』(アルク)からその17項目を挙げてみましょう。

前回は、17項目のうち前半の(1)~(8)を紹介しました。以下の通りです。

(1)人を魅了してやまない話術を持つ
(2)愛嬌と、嫌われる勇気を併せ持つ
(3)社交家とひきこもりが、ひとりの中に同居する
(4)人とのつながりを大切にする
(5)大統領であれ市井の人であれ、対等に話す
(6)相手の感情を敏感に察知し、冷静に対処する
(7)激しい議論の後でも、相手に微笑む余裕を持つ
(8)自分と自分の可能性を信じる

今回は後半の(9)~(17)を紹介しましょう。(10)(14)(15)に関しては、特に解説を加える必要もないかなと思いますので、特に詳しい解説はありません。

9.朗らかさを持つ

田島氏の愛読書の一つが『男たちへ フツウの男をフツウでない男にするための54章』(塩野七生著)です。第44章に「成功する男について」という章があります。塩野氏によると、成功する男は「えもいわれぬ明るさ」を漂わせているそうです。「えもいわれるぬ明るさ」とは、“騒々しい笑いではなく、静かにそこにいるだけでも、立ち居振る舞いの中に、何か不思議な、太陽のような朗らかさを感じさせること”なのだとか。

この「成功する男」というのは「成功する人」に置き換えて読んでも、説得力のある内容だと田島氏は言います。人生は楽しいことばかりという人はいないでしょう。

辛い時、つい暗い顔をしてしまうのは私のような凡人です。楽しい時だけでなく辛い時も常に朗らかさを忘れないことは、簡単なようでなかなかできません。朗らかさをいつもたたえることができる“ネアカ”は、集団の中で突出して目立ちます。そのような“ネアカ”は男性でも女性でも、どのような肌の色をしていようが関係なく人々の支持を集めることでしょう。

私が知っている会社のオーナー経営者は、「自分は社員たちにとってYou(同経営者) are my sunshineでなければならない」と語ったのを思い出します。「日々仕事でもがいている」という田島氏は、真に朗らかな人は「単純に表面的な明るさだけではなく、相応な苦労や困難、不条理をくぐりぬけてきたからこそ醸し出す、深みのある朗らかさを持っている」という仮説を「朗らかな人」と数多く接した結果として持っています。

その仮説から「直面する困難を乗り越えたら、深みのある朗らかさが似合う私になれるかもしれない」とポジティブに考えるようにした結果、困難に対しても前向きに取り組めるようになったと言います。

10.人と違うことはいいことだと考える

言葉そのままの意味で捉えていただければと思います。

11.「興味のアンテナ」が世界全体をカバーしている

日本語以外のメディアで世界の動きをチェックするところから始めるのが良いと田島氏は言います。本メルマガ筆者がお薦めする手っ取り早い方法はNHKの「BSニュース」です。

海外の主要放送局の毎日のトップニュースをNHKが編集をせずにほぼそのまま日本語に通訳して放送してくれます。

12.自分の直感を信じる

田島氏によると、国連組織での経験が長く、経験と知識はもちろんのこと、ロジックを組み立てる力も十分に持ち合わせる人(例えば英国人)でも「その解決策は、う~ん、Counter-intuitive(直観に反する)だね」と言うことがあるようです。

最後は自分の直感(動物的カン)を信じることが許されるということです。

13.中途半端な服装は選ばない

ビジネスの場において、服を選ぶという行為はプレゼンテーションの一種なのだと田島氏は言います。自分が担う役割や、人に与えたい印象、伝えたいメッセージに合致させて、考え抜いた装いをするのがビジネスの場です。

「中途半端なファッション」は、自分を表現する好機をみすみす逃すようなものだということです。

私もスーツには無頓着なのですが、もし、仕事に行くために、ただお決まりのスーツを引っ張り出すだけの毎日という方がいたら、明日手に取るスーツに少し注意を払ってみるといいと田島氏は言います。

自分の装いを通じて、みなさんはどのようなメッセージを相手の人に与えたいのでしょうか。堅実、清潔、あるいは余裕でしょうか。今日選んだスーツは、自分が打ち出したいイメージとぴったり合致しているでしょうか。服装によって表現したい自分のイメージを、一度客観視してみることが必要だと言います。

14.日常的な運動で健康管理

生きるうえでの基本とも言えますね。

15.ここぞ!という場面で持てるエネルギーを集中する

その場面に直面した時に、いかに力を発揮できるか、が重要です。

16.異文化に対する耐性が強い

海外を拠点にするうえで、完全にはコントロールしきれない要素が3つあると田島氏は言います。

“(A)慣れない気候の中で生活すること
(B)異国の食べ物を食べて生きていくこと
(C)その土地の宗教に日常生活の場面で関わること”

私の経験では、海外のキリスト教徒は教徒でない私を積極的に行事に誘ってきました。日曜日の午前中はキリスト教会の礼拝に誘われました。キリスト教に疎いという私の事情を知っている親戚も日曜礼拝に私を誘いましたので、誰でも誘うのだと思います。

田島氏は同書の中で「日本人として異文化を楽しむ寛容さ」で行事に臨めば良いと述べています。キリスト教を信じるかどうかは別として、誘われれば遠慮せずに積極的に行事に参加していいのではないでしょうか。一方、人当たりは良さそうなのですが、ユダヤ教徒は、宗教行事には一切誘ってこなかったというのが私の個人的な経験です。

17.自国について「多角的な理解」と「静かなプライド」を持つ

どんなに長くある土地に暮らし、その場所の生活に馴染んだとしても、その土地の人からみれば日本人はあくまで日本人として見られるということです。周囲が外国人だらけだと自分もその土地の人間に成りきってしまって、自分が日本人の姿形をしていることを忘れてしまうのは私だけでしょうか。

例えば米国の公衆トイレに入った時、中の大きな鏡に写っている米国人になりきっているつもりの東洋人(=私)がいます。どこからどう見ても日本人にしか見えない自分の姿形を目の前に突きつけられて我に返ります。

また、日本人のふりをした「自称日本人」の東洋人に出会ったこともありますが、日本人でないことがばればれです。良くも悪くも日本人であることは一生ついて回るということですね。日本人としてのアイティティをきちんと持たなければなりません。

いかがでしたでしょうか。
世界を舞台に活躍するビジネスパーソンの行動様式や考え方は、みなさんのイメージと合致したものでしたでしょうか。私たちが世界で働くうえで何を学んだら良いかを改めて考えさせられます。

【参考】『世界で働く人になる』(アルク)pp.110-145
http://www.amazon.co.jp/dp/4757426054/

『男たちへ フツウの男をフツウでない男にするための54章』
http://www.amazon.co.jp/dp/4167337037
(最終アクセス:2020年7月9日)

※この記事は、ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ講座「実践ビジネス英語講座-PEGL[ペグル]-」で毎週木曜配信中のメルマガ「グローバルリーダーへの道」において、2015年4月9日に配信された『今週のコラム』を編集したものです。


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ナビゲーター:清水 愛(しみず めぐみ)
PEGL[ペグル] 英語教育事務局 マーケティング/PEGL説明会、個別ガイダンス担当。2012年BBT入社。前職は海外留学カウンセラー。これまで6,000人を越えるビジネスパーソンと接し、日々ひとりひとりの英語学習に関する悩み解決に向き合いながら、世界で挑戦する人たちの人生に関わる。

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