業界ウォッチ 2022年4月5日

【データから読み解く】オンライン診療市場

今回は「世界・日本のオンライン診療市場」を取り上げてご紹介いたします。

コロナ過で様々なサービスがオンライン化されましたが、その中の重要なサービスの一つとしてオンライン診療が上げられます。日本でもオンライン診療が注目され、規制緩和などの取組が検討されてきましたが、実際にはあまり普及しませんでした。

その要因の一つとして、オンライン診療報酬が対面よりも安いことが問題視され、この4月から改定されることとなり、今後の普及が期待されています。

それでは、こうしたオンライン診療は世界的に見ると、どの位の規模で今後どの位伸びることが予想されているのでしょうか。世界の主な国ではオンライン診療がどのくらい普及しているのでしょうか。また、新型コロナ前後でどのくらいの普及率の違いがあるのでしょうか。日本は、世界と比較してどの位の普及度合なのでしょうか。

実際に数字を見て確認したいと思います。

【使用図表】世界・日本オンライン診療市場

まず、世界の遠隔医療市場規模の推移を見てみます。2019年は約500億ドルでしたが、新型コロナの影響で、急速に伸びて2023年には1941億ドルになることが予想されています。その後も増加トレンドで、2030年には約4600億ドルに達することが予想されています。10年近くで10倍弱にまで成長・拡大すると予想されています。

次に、主な国のオンライン診療の普及率を見てみます。日本は病院数ベースの普及率ですが、コロナ前は約5%でしたが、コロナ下の規制緩和後で15%に拡大しています。

日本以外のフランス、米国、英国は患者ベースの普及率で単純には比較できませんが、コロナ前と、コロナ下の規制緩和後の普及率の違いを見てみます。フランスは、コロナ前は約2割でしたが、コロナ下の規制緩和後で約5割に拡大しています。同様に、米国ではコロナ前で約2割、規制緩和後で約6割となっています。英国はコロナ前で約2割、規制緩和後で約7割となっています。

日本のオンライン診療普及率が、月ごとにどのように推移してきたのか、合わせてオンライン診療に対応できる医療機関・病院がどのくらいなのか、その推移を見てみます。

新型コロナの感染が拡大し始めた2020年当初は、オンライン診療に対応可能な医療機関が全体で約1万件、そのうち初診にも対応した医療機関が約4300件でした。国内医療機関に占めるオンライン診療対応可能医療機関(普及率)は9.7%(全体)、初診対応は3.9%でした。翌月20年5月末時点には、急速に増えて、オンライン診療対応可能な医療機関は約1.5万件、初診対応で約6000件、普及率は全体で13.7%、初診で5.6%となっています。

20年6月以降になると微増~横這いへと推移し、オンライン診療対応可能な医療機関数は約1.6万件で、初診対応可能な医療機関数は約7000件で横ばい推移しています。普及率も同様に、全体で約15%、初診で約6.4%と、ほぼ横ばいに推移しています。

こうしてみると、世界的にはオンライン診療市場が大きく成長しており、英米仏の主要国ではコロナ前とコロナ後で、オンライン診療の普及率が大きく伸びていることが分かります。しかも普及率が50~70%と半数以上の普及となっていることが分かります。

一方、日本の普及率は単純に海外と比較できないとはいえ、コロナ後でもオンライン診療の普及率が15%程度と非常に低いことが分かります。さらに、この普及率は、新型コロナの感染拡大が始まった初期の20年6月時点でほぼ、伸びが止まっており、横ばい状態となっていることが分かります。

こうしたことから、日本のオンライン診療は、新型コロナが広まり出した最初に、少しだけ取り組んだものの、そこで止まってしまい、その後は殆ど取り組む状況に至らなかったことが良く分かります。

日本では、前述したオンライン診療報酬の安さなどがボトルネックになっているとして、22年の4月から料金が改訂(対面の約87%の金額)されています。ここに至るまでに、オンライン診療推進派と慎重派との攻防が様々あったようです。
患者視点で良いサービスを提供するという観点でも、コロナを契機としたオンライン化による新たな事業機会としても、いろいろ考えてみる価値がありそうですね。

出典:
Statista, “Projected global telemedicine market between 2019 and 2030”
日本経済新聞「ネット診療、やりたくない 開業医「登録だけ」の本音」厚生労働省「令和3年4月~6月の電話診療・オンライン診療の実績の検証の結果」