執筆:佐藤祐樹(BBT大学院MBA本科修了、三丸化学株式会社 取締役)
対象科目:マーケティング概論(数江 良一 教授)
丸いピザは、どんな切り方をしても、全部合わせればまた丸くなります。
どこかに空白ができたとしたら、誰かがつまみ食いした証拠です。
もしピースが余ったら…?昨日の食べかけのピザが混入したのでしょうか?
余計なピースには関わらないほうが無難です。
お腹を壊す前に捨ててしまいましょう。
今回の質問。
セグメント、という言葉の意味は?
これはわたしがMBAコースに入学して最初に調べた単語です。
こんな言葉も知らないでビジネススクールに入ったのか?なんて言われましたが、知らないものは知らないので仕方ありません。
調べて、理解して、自分のものにすればいいだけです。
セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの頭文字を取ってSTPと言いますが、その最初に出てくるセグメンテーションという言葉は非常に重要です。
重要ですが、ビジネスの現場では非常に混乱しています。
誤解されて使われていることが多いので解説します。
セグメントとは、いろんな切り方で切ったピザの各ピースを言います。
全部合わせれば丸いピザに戻りますが、この丸いピザ全体がひとつのマーケットを表します。
切り方は、ちゃんとした法則を設定すれば、自由です。
この切り方のことをセグメンテーションと呼びます。
バラバラのセグメントにするのがセグメンテーションで、各セグメントをパズルのように組み合わせると、元の丸いピザに戻ります。
何の話をしているかわからないかもしれません。
例を挙げましょう。
『世界がもし100人の村だったら』という有名な話があります。
初めて知った人だけではなく、もともと知っている人も、改めて検索して読んでみてください。
この話は、世界をセグメンテーションすることで人を感動させる、というコンセプトの物語です。
「もし世界が100人の村だったら、52人が女性で、48人が男性です」。
性別という切り口で2つのセグメントにセグメンテーションしています。
合わせると100人で、ヌケやモレはなく、余計なピースが余ったりもしません。
丸いピザの完成です。
「61人がアジア人で、13人がアフリカ人、13人が南北アメリカ人で12人が欧州人。あとの1人が南太平洋地域の人です」。
地域でセグメンテーションしています。全部合わせると100人で、ヌケやモレはありません。
「すべての富のうち、6人が59%を持っていて、みんなアメリカ合衆国の人です。74人が39%を、残りの20人がたったの2%を分け合っています」
複合的なセグメンテーションですね。
富の量という切り口で世界全体の100人をセグメンテーションしています。
また、富そのものも、量でセグメンテーションされているので、全部足すと100%です。
前回、市場とはなにか?を説明しました。
セグメンテーションとは、その市場を丸いピザだと考え、さまざまな切り口で切り分けていくことです。
ようは、「どんな切り口で切り分けるか?」 がセグメンテーションです。
ポイントは、合わせれば完全な丸いピザに戻ることです。
空白があったらヌケやモレがあるはずだし、余ったピースがあれば重複してカウントしている可能性があります。
切り口には、年齢、ジェンダー、地域、年収、趣味の属性など無数の考え方があり、正解はありません。
STPの順番で言うところの、次の「ターゲティング」につながる切り口を試行錯誤しましょう。
佐藤祐樹
BBT大学院MBA本科 修了 三丸化学株式会社 取締役事業部長
1974年生、宮城県仙台市出身。
大学でデザイン(専門はシルクスクリーン)を学んだ後、写真業界、出版社勤務を経て現企業に転職。営業・マーケティング部門で活躍中、2011年3月に出張先で被災。
その後2年間、企業勤めの傍らボランティアセンターの運営に携わる。
2013年にBBT大学院に入学、2015年MBA取得、同年取締役事業部長に就任。事業活動の責任者としてマーケティングから人事まで幅広く担当している。
また、2015年10月に友人とコーヒーの焙煎販売を行う株式会社リュミヌー珈琲を設立。
その他、コピーライターや事業計画作成支援、大学の補助教員などのフリーランス業務も行う。
「世の中の幸福の総量を力強く増やす仕事人」を目指す愛犬家。愛犬を連れてよく遊びにも行く。
趣味は手作りスモークチーズなどの燻製を作ること。