実践ビジネス英語 2019年10月26日

仕事に効くビジネス英語講座〈第7回〉その英語、アドバイスのつもりが“脅し”に聞こえているかも?



執筆者:PEGL事務局清水

私たちは学校時代に習った英語を基礎としてビジネスシーンで英会話をするわけですが、学校時代に習った時に感じたニュアンスと実際に相手に伝わるニュアンスが異なることがあります。お馴染みの英語表現や単語の中にも、自分はポジティブのニュアンスを込めて言ったつもりが、必ずしもポジティブなニュアンスには相手に対して伝わっていないことがあるのだと『ビジネスに効く!ビジネス英語』(NHK出版)は教えてくれます。中学時代からの長年慣れ親しんだおなじみの英語表現や単語だけに、偏った思い込みが染みついていることを思い知らされます。

今回のコラムでは、同書の中から日本人がニュアンスを誤解していがちで認識を修正したほうが良い表現や英単語を紹介します。

1.学校英語で覚えた表現や単語の“落とし穴”

(1-1)調子はどう?と聞かれた時

How are you?やHow are you doing?(調子はどう?)と聞かれた時、返答は、I’m fine, thank you. And you?であると、中学校の英語の授業や教科書で学びました。

実際に海外に行くと、毎朝会った時に、同じ人からHow are you?と決まったように挨拶されます。初回こそI’m fine, thank you. And you?と教科書通りに返答します。毎朝同じ英語でHow are you?と聞かれるので、返答がI’m fine, thank you. And you?のワンパターンだと「それしか言えないのでは?」と相手に思われてしまうのを嫌がり、変化をつけたつもりで後半を省略してI’m fine.とだけ返答してみたりしまったことはないでしょうか。I’m fine.だけで後半を省略してしまうと「元気ですけど、何か?私のことは放っておいて=私のことにかまわないで」という突き放したニュアンスになってしまいます。

I’m fine, thank you. And you?というワンパターンから脱してfineを使わずに返答したいとするならば、I’m doing great, thanks.(おかげさまで元気ですよ)とかGood, thanks.などの返答が良いでしょう。

(1-2)アドバイスのつもりが、“脅し”にならないように

もう1つ、中学校の英語の授業や教科書で学んだ表現で注意しなければならない表現がhad betterです。

had betterは「~したほうが良い」という意味ですが、例えばYou had better do some market research.は「市場調査したほうがいい。さもなければ、とんでもないことになる」というニュアンスで威圧的な印象を相手に対して与える表現なのです。威圧的な印象を相手に対して与えずに済む表現は以下です。

I suggest that you do some market research.
It would be better if you did some more market research.

同様に、shouldも高圧的なニュアンスになってしまいますので避けましょう。You should deliver by Tuesday.(火曜日までに納品しろ)だと高圧的なので以下の表現が良いでしょう。

We were hoping you could deliver the goods by Tuesday.
It would be great if you could deliver the good by Tuesday.

(1-3)曖昧な「頑張る」より定量的な目標

「一生懸命頑張る」=I’ll do my best./ We’ll do our best.と中学校の英語の授業や教科書で学びました。do my bestやdo our bestは一見前向きな表現に思えますが、国際的なビジネスシーンでは逆に曖昧な故に弱気なニュアンスを与えてしまうおそれがあります。

ビジネスシーンでは、気持ちもさることながら結果が重要です。ガッツを見せたいのであれば、具体的な数字や目標値を示しましょう。相手にとって、こちらが頑張るか頑張らないかは関知しないことで、あくまで数字や結果を伴わなければ意味がないからです。結果に言及することによって相手は安心感を持つ事ができます。

ビジネスシーンにおいてはaim(目指す、するつもりがある)が具体的な目標を伝えるのにぴったりの単語です。以下のような表現が良いでしょう。

We aim to sell one million units in the three months.
We aim to sell 40% more units than last year.

2.意外にネガティブなニュアンスを持つ英単語

(2-1)nice

何かの感想を求められた時、返答に使うにあたり注意しなければならないのはniceという単語です。

niceは辞書によると「良い。素敵な」という形容詞として載っています。日本語でも「ナイス」はほめ言葉の意味しか持ちません。しかしながら英語では言い方次第ではネガティブな印象に響いてしまいます。

例えば、平坦なトーンでThat’s nice.は「いいにはいいけれど、別に大したことはないな」というニュアンスになってしまいます。本当にいいと思っている感想を伝えたいときは、nice以外の形容詞を使ってIt’s great!などのように返答しましょう。

「いいですね!」「すばらしいですね!」と伝える英語はバラエティ豊かです。こうした形容詞の使い手として有名なのは前号のメルマガで紹介した米Apple社の元CEO、故スティーブ・ジョブズ氏でした。

「とても良い」と表現したい時、下の英語群が大体どのような状況でも使えます。

■ Great!
 一番汎用性がある一言です。どのような状況でも、誰に対しても使えます。

■ Perfect!
 日本語でいうところの「完璧!」というニュアンスです。どちらかというと、同僚や仲間内、部下などに対して使います。

■ Excellent!
 「とても良い!」「最高!」または「やったね!」というニュアンスで使います。

■ Amazing!
 驚くほど良い、びっくりするほど良いというニュアンスです。

■ Fantastic
 想像が及ばないほど良い、というニュアンスです。

(2-2)interesting

niceと同様に注意しなければならないのがinterestingです。

日本では「面白い」「興味深い」という褒め言葉と考えがちですが、抑揚のないinterestingは「変わっているね。でも、良いとは思わない」というニュアンスがあります。本当におもしろいことを伝えたいのであれば、感情を込めて次のように言いましょう。Wow! That’s so interesting!(わぁ!すごくおもしろい!)

いかがでしたでしょうか。

今回紹介した英語表現や英単語は、皆さんが学校時代に習ったお馴染みのものばかりです。難しい英語表現や英単語を覚えることばかりがビジネス英語の勉強ではありません。シンプルな言葉で自分の言いたいことが正確に伝えることができるのがベストです。

【参考】ビジネスに効く!ポジティブ英語(最終アクセス:2019年9月19日)
http://www.amazon.co.jp/dp/4140351047
pp.20、42、44、59、60

※この記事は、ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ講座「実践ビジネス英語講座-PEGL[ペグル]-」で毎週木曜配信中のメルマガ「グローバルリーダーへの道」において、2015年1月29日に配信された『今週のコラム』を編集したものです。


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ナビゲーター:清水 愛(しみず めぐみ)
PEGL[ペグル] 英語教育事務局 マーケティング/PEGL説明会、個別ガイダンス担当。2012年BBT入社。前職は海外留学カウンセラー。これまで6,000人を越えるビジネスパーソンと接し、日々ひとりひとりの英語学習に関する悩み解決に向き合いながら、世界で挑戦する人たちの人生に関わる。

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