業界ウォッチ 2018年12月3日

教員のちょっと気になる「キャンピングカー市場」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「 キャンピングカー市場 」を取り上げてご紹介いたします。

近年キャンピングカーの人気が高まっているようです。キャンピングカーの王道ともいえる従来の運転席上にベッドがせり出すタイプ(居室搭載トラック)の人気だけでなく、軽自動車の改装タイプなど、キャンピングカーの種類も多様化しているそうです。またキャンピングカーのレンタル業者なども増えているそうで、訪日客のキャンピングカーレンタル事業者なども登場しています。

秋の行楽シーズンの10月20~21日に開催された「お台場キャンピングカーフェア」では、2日間の来場者数が過去5年間で最高の1万8千人に上ったそうです。

それでは、実際にキャンピングカー市場がどのくらい伸びているのか、どんな人が利用しているのか、実際に数字で確認してみたいと思います。

一般社団法人日本RV協会がまとめている「キャンピングカー白書2018」(※)から、実際の保有台数や、販売金額などを見てみます。

まず、キャンピングカー保有台数の推移を見てみます。2009年の保有台数は6.8万台で、そこから右肩上がりで2017年は10.6万台となっています。なお、2007年は5.9万台だったので、10年前で保有台数が約6万台増加したことになります。ちなみに、売上金額の推移は、2011年に約211億円でしたが、以降右肩上がりで2017年は約425億円となっており、売上高は6年で約2倍に増えたことが分かります。

次に、キャンピングカーのユーザーの年齢構成比を見ると、2009年は60代以上(60代+70代以上)が33.5%でしたが、2017年には60代以上が50.5%と半分以上を占めています。

キャンピングカー購入動機の推移をみると、「夫婦2人で旅行を楽しむため」がトップ(54.5%、’17年)で増加傾向にあります。次いで「ペット連れの旅行に最適と判断」(39.7%、’17年)となっており大きく伸びています。一方、「子供たちとキャンプや旅行を楽しむツールとして」(19.7%、17年)が3番目の理由となっていますが、2009年は35.2%と2番目の理由でしたが、大きく落ち込んでいます。

こうしてみると、キャンピングカーが、「子連れファミリーでのキャンプ」から、「60代以上のシニア世代」が「夫婦2人」で「ペットを連れて」キャンピングカーで旅行をするために購入しているという姿が見えてきます。

レンタル人気などの状況も踏まえると、アウトドア人気でキャッピングカーというだけではなく、「車中泊できる旅行スタイル」に人気が集まっているとも言えそうです。

このようなトレンドから、何か新しい事業機会を見出すことが出来そうですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)