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利上げの裏を読み、今後の景気回復と株価の関係を予測する
長期金利の動向について、グラフをみていきましょう。
直近の5月と6月の、それぞれの指数については、
機械受注にしても、GDPにしても、景気動向指数にしても、
少しですが、数値は良くなっています。
そこから考えると、長期金利の推移について、
4月から6月にかけて上がってきているのは、
納得できるところです。
言い換えれば、「当然の結果」とも言えるでしょう。
ここであげた指数は、それぞれ発表のタイミングが違うので、
月としては少しずれを感じますが、
5月の指数をそれぞれ並べて比べてみると、
株価の浮き沈みはあるにせよ「良くなっている」といえます。
このような個々の指数についても、相場を見る上で重要なので、
ぜひ一度ご自身で確認してみてください。
では、もう一度グラフを見て下さい。
まず、GDPが発表された後の6月13日では、1.96%です。
その後、一時的にですが、1.985%まで上昇して、
2%に迫る場面もありました。
しかし、29日(6月最終日)には、1.865%で終了しています。
比べてみると分かりますが、
0.1%弱のすごく大きな開きがあるわけです。
過去の2006年度4月~7月の山を見ても分かる通り、
株価的にも金利的にも高水準にありました。
しかしここでも、このグラフの天井部は2%近辺であり、これを超えていません。
今までは超えそうな局面になると調整が起こってきました。
つまり、長期金利が2%を超えるようなことになると、
今までにない新しいゾーンに入ってくるのではないかと思っています。
投資家の動きとしても、その2%に行くか?行かないか?
の動向を見極めるために、株価の方も一旦は利益確定の売りに押されてしまう結果になっているのではないかと思います。
今後もいろいろな市場の数値発表がされますが、
そんな中で金利が2%を超えるかどうか?
2%を超えた後も、さらに株価が高値水準を保っていられるか?
の2点は要注目の内容です。
2%を超える場合に、もう一つ考えなくてはいけないのは、
「景気がよくて金利が上がっている」のかどうかということです。
つまり、景気よくないが「将来的には良くなるだろう」という予測から、
先に利上げする(フォワードルッキング)ということもあるのです。
フォワードルッキングは、過熱感を抑えるための予防策として、
日銀が良くやる手法でもあります。
もしそういう「将来的な予測」だけで利上げした場合、
実際には、景気の回復を邪魔してしまうことにもなりかねません。
株式市場がもしそう判断をした場合には、
株価が下落する可能性があるので、
そこは見極める必要があると思います。
ただ、今のところ2%に近づくと、株価も修正され
金利も元来た道まで戻っていくという流れなので、
マーケットとしては、非常にうまくバランスが取れていると思います。
バランスで考えれば、2%もどうなるか分かりませんが、
超えたときの行動も考えて、動向をウォッチしていく必要があると
思います。
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楽天証券経済研究所
チーフストラテジスト
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之
7月10日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。 |
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ブレークスルー経済学 vol.6 |
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。 |
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第6回 『おカネと債券』
本日は「おカネと債券」についてお話しします。
おカネ(通貨)はどの国でも「(理論上)金利」は付きません。したがって、保有している状態では「収益がない」ので、機会損失を招きます(つまり、他で運用しておけば利益があったのに、得るべき利益を「逃してしまった」ということです)。そのため"一般に"、投資家はおカネのままにせずに、債券などを購入することになります。
しかし、債券を購入するには、当該債券を発行している国のおカネでないと購入できません(場合によっては、「他国通貨建て」で発行する債券もありますが、ここでは触れないことにいたします)。
つまり、日本のように金利の低い国において当該国通貨(例えば、「円」)によって購入できる債券は、当該国内で発行した債券に限られるため、低い金利の債券しか購入できないことになります。
では何故、日本の債券は金利が低いのでしょうか?
それは日本では収益機会が少なく、あったとしても「低い収益機会」しかないことから、高い金利をつけてまで債券を発行しようとするような企業が少ないからです。
したがって、逆に言えば、債券の市場金利が高い国というのは、高い収益機会があるということになります(ここでは「地政学的リスク」「財務状況等に関するリスク」などといわれるものについては考慮していません)。
そのため、低い収益機会しかない国(低金利国)の通貨は、「高い収益機会のある国(高金利国)の通貨と交換したい」と考えるのが普通なので、低金利国通貨は「売られ」、高金利国通貨は「買われる」ことになります。それゆえ、低金利国通貨は「下落(つまり、通貨安)」し、高金利国通貨は「高騰する(つまり、通貨高になる)」ことになります。
このように「対外的な通貨価値」も「モノの値段」のように需給関係で変化するのです。そして、通貨価値の需給に直接関係するのが「金利(正確には、当該国の「債券市場金利」)なので、「金利」を「通貨の値段」と考え、市場金利の低い国の通貨のことを「安いおカネ(または「安い通貨」)」という言い方をする時があります。
以上から、為替レート(特に「短期的な予想」)を考える場合には「金利」が重要になることがわかります。この場合「おカネ」というものは、今まで見てきたように「高い金利を求めて流れる」という性格があるので、相対的に低金利である国の通貨は、高金利の国へ流れることになります。
これは「現実の金利差」においても起こる現象ですが、「将来の予想」という場合であっても、その「予想に基づいて資金が移動する」こともあります。
つまり、日本のように企業の収益機会が少ないような国では、当面の金融情勢を考慮しても、債券金利が上昇する状態にはない(と考えられる)ため、現状の為替レートを維持するか、もしくは、円安方向に動くものと予想されることが多いのです。
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前田拓生(Takuo Maeda)
ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
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グローバルマネー・ジャーナル第9号、いかがでしたでしょうか。
「何事もゲーム感覚で」とはよく言いますが、
最近は本当に特定の分野の知識をつけることの出来る
ゲームソフトが増えています。
先日、出勤途中にある家電量販店の前を通ると、
平日早朝にも関わらず50人程の人の列がありました。
何の列か尋ねたところ、なんと新発売の株ゲームソフトを
購入する人の列とのこと。
ものは試しに、と私も次の日にこのソフトを購入し、
早速遊んでみましたが、これがまた本当に証券会社のサイトを
見ているかのような操作性とクオリティでした。
普段は指値でしか取引しない私も、ゲームの中では成行専門の
デイトレーダーと化していました。
ゲーム機本体を発売している任天堂は、実際の株価でも5万円を
超え、まだまだ続伸の様相。
身近に起こる変化を敏感に感じ取ることの大切さを改めて感じた
出来事でした。
来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!
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株式・資産形成講座
一戸 |
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