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莫大な金額をサブプライムローンに投資をした大手証券会社も、すでに本年3月末時点で償却済み!?
アメリカ市場の今後の行方を具体的に解く。
さて、今話題のアメリカの株式市場についてです。
まず下のグラフをご覧下さい。
オレンジ色の部分に注目して欲しいのですが、
ここ最近でヘッジファンドがアメリカの株をかなり買ってきていることが
わかると思います。
去年の5・6月のヘッジファンドが買い出したときに言われていたことに、
「アメリカの金利が最高値まできたから、これからは下がる場面に入ってくる」
というのがあります。
またもう一つの見方に、
「アメリカの景気は、非常に悪くなってきたから、
底を打って今後は景気がよくなってくるだろう」
というのもありました。
上記の考えで、ヘッジファンドもアメリカ株を買い続けてきたわけなのですが、
見事に予想がはずれて、1年以上経ってもアメリカの金利は下がってこなかったわけです。
そこで、ようやく5月に入って、見方を間違えた可能性があることに気づき、
利益確定するためにヘッジファンドは「売り」の行動に出ました。
現在は、ヘッジファンドの予測が揺らぎつつ、
もみ合いの時期が続いている状況です。
しかし、株式市場の期待感が上がっているので
株価としても上がってくる時期だとも言えます。
さて、もう一つグラフをみてみましょう。
座布団のような形で2階層になっているのがわかると思います。
まずは、青い部分の自社株買いに注目したいと思います。
ご存じだと思いますが、アメリカの事業会社が自分の会社の株を買い増す場合に、
一昨年までは、フリーキャッシュフローの部分までしか買えませんでした。
つまり、「現金をどれだけ持っているか?」というところで
上限が決められていたわけです。
しかし、去年の1月に入ってからは、自社株買いの上限が消え、
借金などの負債によっても自社の株式が買えるようになりました。
その結果どうなったかというと、
一昨年は、全体で23兆円しか自社株買いをしていないのに対し、
去年は74兆円もの金額になりました。(FRBデータより)
「今年は?」というと、1月から6月の間で40兆円あり、年末までの間に80兆から90兆までいくだろうと見込まれています。
そこでのポイントは、
自社株買いをされる分、「マーケットから株式が消えている」ということです。
そしてそれだけではなく、
もう一つマーケットから株式が消えてしまう理由があります。
それは「企業買収」です。
アメリカの企業買収ブームは、2002年の5月から始まっており、
もうすでに6年ぐらい経っています。
その企業買収が続いている大きな要因に、「金利」があります。
現在、アメリカの銀行は金利が低いので、企業は自社のフリーキャッシュフローの部分を使って買収するよりも、銀行などからお金を借りて買収するほうがメリットは大きいと考えています。
具体的に言いますと、
多くの企業は自社株買いをしていますから、株式交換をしたくありません。
そこで、キャッシュを銀行などから調達するのですが、金利が安いこともあり、
レバレッジをかけて、多額の企業買収を一気にやってしまうわけです。
それについては、右肩あがりで増えてきている赤い色のグラフを見れば
一目瞭然だと思います。
そして、「自社株買い」と「企業買収」から
マーケットからどんどん株式が消えていきました。
驚くべき数字ですが、去年の1年間で、アメリカ市場では
11%の株が消えました。まさに日本と逆なわけです。
例えるなら、入る袋が少なくなってきているのにも関わらず、
お金がどんどん入ってくる状況です。
そのうちに、それは溢れてしまいます。
つまり、需要の部分が増え続けるので、アメリカの株は全然下がらないわけです。
ここまでは、今までのアメリカ市場についての動きですが、
これからは若干の変化が出てくるかもしれません。
その理由は、今まさに話題の「サブプライムローン・ショック」です。
アメリカの銀行は現在、「サブプライムローン・ショック」の影響で、
不良債権化したら大変だということで、どんどん貸し出しを減らします。
その影響として、先日たった100億ドルの調達ができずに、
フォードに対するサーベラスの買収がうまくいきませんでした。
その100億ドルを貸せなくなったくらいに、アメリカの銀行はサブプライムローン・ショックを心配して動かなくなっています。
しかし、サブプライムローン・ショックについて
私の考えとしては、「大した問題ではない」と思っています。
今年の10月から11月にかけて、アメリカの証券会社や投資銀行の決算で、
「どれくらいサブプライムローンのショックが影響したか」が発表されます。
その発表だけで、この問題は決着するのではないかと思っています。
そう思う理由についてですが、
大手の証券会社などは、莫大な金額をサブプライムローンに投資をしたわけですけれど、実は、ほとんど3月末の時点で償却済みなのです。
そのことが表に出てくるのが、その10月から11月の時期です。
ニュースなどでは、大きく報道していますが、
これはまさにレトリックで、ロミオとジュリエットの劇や歌舞伎と同じように、
「型(カタ)」というものが決まっていて、実は着地点についてはある程度分かっていて動いているわけです。
つまり、そのことが分かれば、銀行も貸し出しを再開し、結果的に金利が低く放置されている現状を考えれば、またしばらくすれば回復してくると思います。
まとめますと、今後のアメリカの株式動向としては、
事業会社も負債ばかり増やすわけにはいかないので、
企業買収や自社株買いも来年の半ばには落ち着き、
サブプライムローンについても、問題がないことがわかれば
下がっている部分についてはすぐに元に戻ると思います。
以上の点からも、来年いっぱいまでは、アメリカの株がジワジワと上昇する可能性があるといえるでしょう。
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リーマン・ブラザーズ証券株式会社
株式調査部 シニアヴァイスプレジデント チーフストラテジスト
宮島秀直
7月28日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。 |
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ブレークスルー経済学 vol.8 |
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。 |
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第8回 『為替レートと地政学的リスク』
短期の為替レートにおいては「金利」が深く関与し、また、金利を通じて「景気」も関係することになります。
では、「金利が高くなるだろうと予想できる国」や「今後、景気が良くなるだろうという国」の通貨は、必ず、「高くなる方向に推移する」ことになるのでしょうか?
実際には「何ともいえない」というのが「正しい答え」ということになるでしょう。
今回はこの点について「地政学的リスク」をテーマにお話します。
相対的に「投資効率が高いので、金利が高い」という場合、一般的には、その国の通貨は「高い運用機会を持っている」ことになるので「通貨価値は高くなる」ということが考えられます。しかし、「金利が高い理由」が当該国に「資金を呼び込むため」である場合には注意が必要です。
ここで、為替によって交換された通貨は「通貨のまま」保有されるのではなく、当該国の何らかの金融商品になっているはずです。そして、当該国の金融商品の「利回り」に「直接影響を与える金利」は「債券市場金利」であり、代表的には当該国の「国債流通利回り」であると考えられます。
その「国債」の「返済に疑問がある(つまり、デフォルト)」等の場合、そのリスクに対してプレミアムが付き、当該国の実際の「投資効率」に比べて「非常に高い利回り」になることがあります。
このような国の場合、「実際の投資効率から算出される利回り」を超える部分は「真の通貨価値を超える部分」なので、市場において為替レートからその部分が割り引かれ、当該通貨価値は「低下」することになります。
つまり、「金利が高い国」であっても当該国の国債にデフォルト・リスクがあれば、当該国の為替レートは低くなるのです。このような理由から、何からの理由により「デフォルト情報」に近い問題が発生すれば、その国の通貨は下落することになります。
一般に「国債残高が多く」、かつ、「対外純負債が高い」という国の場合には、「デフォルト・リスク」が高まることになるので、各国の「国債残高」および「対外純資産=対外資産―対外負債」を市場では注視しています。
なお、この考え方が拡大解釈されると、今後、「政治的な紛争」や「その危険性が高まると考えられる地域」では「デフォルトの発生確率が高くなる」と解釈されるので、このような「危険」な国(または、近隣に危険な国があるような国)の通貨は下落することになります。
このようなリスクを「地政学的リスク」などという時があります。
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前田拓生(Takuo Maeda)
ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
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グローバルマネー・ジャーナル第11号、いかがでしたでしょうか。
先月、ようやくそこを打ったと言われた新興市場が
また値下がりを始めています。
一部上場企業と比べ、資本の少ない新興企業の値動きが
激しくなるのは当然といえば当然なのですが、
それにしてもこの不安定感。
一説には、今ブームとなっているFX(外国為替証拠金取引)
投資家が、円高損失から新興株を売りに出した結果との
声もあります。
こうした結果、「高値買いと安値売りが得意な日本人」が
出来上がってしまうのでしょうか。
私がよく見るワールドビジネスサテライトでも、ギャンブルではない、
本気の資産形成をテーマにした番組が組まれていますが、
それでも日本人全体の資産運用に対する危機感はまだまだ。
このメルマガをご覧になっている皆さんには「知識不足が致命傷」
とならない今のうちに、本気で幅広い運用知識を武装していただきたい
と思います。
来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!
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