波乱が続く世界の株式市場で中国ロシアなどの新興国勢の存在が一段と高まっています。2007年の世界主要企業の株式時価総額は上位500位までで中国勢が44社と日本勢の40社を上回りました。トヨタ自動車はトップ10位から姿を消しています。サブプライムローン問題がひびき、アメリカの金融機関も順位を下げましたが、日本企業に対する市場の評価の低さが鮮明となりました。
実はアメリカの衰退には2つの原因があります。
1つは、アメリカ国内市場を中心に商売をやっているところは衰退してしまっているということと、もう1つはアメリカ勢でありながらIBMやGE、エクソンモービルのような全世界を相手に商売をやっているような企業が、自国であるアメリカからその他世界相手へとシフトしてしまうためです。
GEなどはその他世界での取引を8割ぐらいにして、アメリカ国内への依存度は「2割」ということをジェフリー・R・イメルトCEOが言っています。そして、実際にそういうシフトをしているところは伸びています。
それではここで、2007年度の時価総額ランキングを見てみましょう。
時価総額のトップ10をみると、2006年末とは様変わりしていることがわかります。
特に中国勢、ペトロチャイナが6位から1位に、チャイナモバイルは19位から4位になっていて、チャイナモバイルについてはすでに、30兆円以上の時価総額の会社になっています。
それから中国工商銀行や中国建設銀行もここに入ってきているのですが、中国勢は上海市場での株価収益率(PER)が極めて高いというバブル的な要素もあるため、ランキングにそれほど正当性はないと思っています。
しかし、それでもトップ500のうちに44社も入ってきて、しかも日本を抜くようなことが突然起きたということは驚くべき事実です。このことからも上海株式市場が非常に好調だということがわかると思います。
一方の日本勢は、トヨタでさえもトップ20に入らず21位で、去年の8位から落ちてしまいました。
それから三菱UFJは65位に後退、任天堂は220位から88位に上がってきましたが、NTTとキャノンはスリップといった感じです。
このように日本勢は時価総額ではかなり小粒になってしまい、また日本の経済もこのままいくとあと2年ぐらいで中国に抜かれてしまうでしょう。
その勢いを象徴する2007年の特徴は、箱根駅伝の2・3人抜きのランナーのように、中国がイギリスだけではなくドイツも抜き去ったということでしょう。
まだ確定はしていませんが、私見では全ての統計が終わった時点で中国がドイツを抜いているだろうと思っています。
ドイツが抜かれたからといっても、日本と中国の間にはまだ距離があるので一概には言えませんが、この勢いで中国が10%成長ぐらいで日本が2%と仮定すると、その差は8%もあるわけですから、あと2~3年で抜かれる可能性は十分にあります。
また、その前に人民元がもっと急速に強くなっているという可能性もありますので・・・。
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