「失われたのは20年」中国に抜かれる日本|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/2/6(水)  
最新・最強・最高クオリティの
Message
第36回目発行!株式・資産形成講座メルマガです。
メルマガをご覧の皆様、こんにちは!
ビジネス・ブレークスルー 株式・資産形成講座事務局の一戸です。
このメルマガでは、皆さんの資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびにプロとして活躍している一流講師陣の視点から、毎週リアルタイムにお届けしていきます。
あなたの理想とする資産運用、資産形成を実現するためのとっておき情報を、どうぞご覧ください。

本文タイトル
「失われたのは20年」中国に抜かれる日本

波乱が続く世界の株式市場で中国ロシアなどの新興国勢の存在が一段と高まっています。2007年の世界主要企業の株式時価総額は上位500位までで中国勢が44社と日本勢の40社を上回りました。トヨタ自動車はトップ10位から姿を消しています。サブプライムローン問題がひびき、アメリカの金融機関も順位を下げましたが、日本企業に対する市場の評価の低さが鮮明となりました。

実はアメリカの衰退には2つの原因があります。

1つは、アメリカ国内市場を中心に商売をやっているところは衰退してしまっているということと、もう1つはアメリカ勢でありながらIBMやGE、エクソンモービルのような全世界を相手に商売をやっているような企業が、自国であるアメリカからその他世界相手へとシフトしてしまうためです。

GEなどはその他世界での取引を8割ぐらいにして、アメリカ国内への依存度は「2割」ということをジェフリー・R・イメルトCEOが言っています。そして、実際にそういうシフトをしているところは伸びています。

それではここで、2007年度の時価総額ランキングを見てみましょう。


時価総額のトップ10をみると、2006年末とは様変わりしていることがわかります。

特に中国勢、ペトロチャイナが6位から1位に、チャイナモバイルは19位から4位になっていて、チャイナモバイルについてはすでに、30兆円以上の時価総額の会社になっています。

それから中国工商銀行や中国建設銀行もここに入ってきているのですが、中国勢は上海市場での株価収益率(PER)が極めて高いというバブル的な要素もあるため、ランキングにそれほど正当性はないと思っています。

しかし、それでもトップ500のうちに44社も入ってきて、しかも日本を抜くようなことが突然起きたということは驚くべき事実です。このことからも上海株式市場が非常に好調だということがわかると思います。

一方の日本勢は、トヨタでさえもトップ20に入らず21位で、去年の8位から落ちてしまいました。

それから三菱UFJは65位に後退、任天堂は220位から88位に上がってきましたが、NTTとキャノンはスリップといった感じです。

このように日本勢は時価総額ではかなり小粒になってしまい、また日本の経済もこのままいくとあと2年ぐらいで中国に抜かれてしまうでしょう。

その勢いを象徴する2007年の特徴は、箱根駅伝の2・3人抜きのランナーのように、中国がイギリスだけではなくドイツも抜き去ったということでしょう。

まだ確定はしていませんが、私見では全ての統計が終わった時点で中国がドイツを抜いているだろうと思っています。

ドイツが抜かれたからといっても、日本と中国の間にはまだ距離があるので一概には言えませんが、この勢いで中国が10%成長ぐらいで日本が2%と仮定すると、その差は8%もあるわけですから、あと2~3年で抜かれる可能性は十分にあります。

また、その前に人民元がもっと急速に強くなっているという可能性もありますので・・・。

講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

1月20日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第31回 『「おカネ」って何?!?!』

世界中に「おカネが溢れている」といっているのに、FRBもECBも「資金供給(金融緩和政策)」をしています。「おカネがあるのにおカネがない」ということですが、どういうことなのでしょうか?

これって意外と難しい「問い」なのですね。実際、「おカネ」の統計である「マネーサプライ統計」で定義している「おカネ」は、各国で異なります(日本は「M2+CD」、米国は「M3」など)。

おカネの定義の違いは、その国の歴史的な経済・金融システムの違いが影響しているので、このようなことが起るのです。

「おカネ」とは一般に「紙幣」又は「コイン」を考える方が多いと思います。実際に、その通りなのですが、それだけではありません。世界的にも「銀行預金」は「おカネ」です。

では、何が「おカネの定義を難しくしているのか?」というと「おカネ」と「金融商品」の違いについての考え方が「各国で違う」ということが原因です。

「銀行預金」は金融商品ですが、他の金融商品(例えば、債券など)とは違い、世界の各国の国民がそれぞれ国内的に「おカネである」と認められています。したがって、各国とも「マネーサプライ統計」において「銀行預金」までは「おカネである」としています。その他の「金融商品をどこまで認めるか」が、各国で認識が異なるので、マネーサプライ統計が各国で違っているのです。

ここで「おカネであると認められる」とは、どういうことなのでしょうか?

おカネと金融商品の違いは「すぐにモノを買うことができるか/否か」ということです。これを「即時的購買力」といいますが、「即時」とは「すぐに」であり、「購買力」とは「モノを買う力」を指し、「おカネ」には「即時的購買力がある」のです。他方、金融商品の場合には、それがなく、代わって「潜在的購買力があるモノ」のことを言います。

つまり、どちらも「購買力」はあるものの、それを実行するのが「すぐに」なのか「後で」なのかの違いであるといえます。

そして、この購買力の「すぐに(即時性)」と「後で(潜在性)」を交換する場が「金融市場」なのであり、そこで「プライス(モノの値段)」の役割をするのが「金利」です(またの機会に説明します)。

このように「すぐにモノを買うことができる」ということが「おカネ」なので、モノを提供する側からすれば「モノの対価を受領した」と考えられるモノが「おカネ」ということになります。つまり、実物取引を完了(これを「決済」といいます)させるモノが「おカネ」なのです。

このような「決済性」は歴史的に「銀行預金」にも「ある」と「社会の多くの人」が認めているので「銀行預金=おカネ」なのです。しかも、実物取引は必ず「決済される」ことが必要なので、当然、「おカネが必要」ということになります。

ここで問題は、「おカネ」自身はいつも「即時的購買力」を持っているので、そのおカネを使用しようが使用しまいが、「即時性」と「購買力」は保持されています。

今すぐに「おカネを使用する予定のない人」は「即時性」は必要ありません。そこで、「即時性」のない「金融商品」を保有することになります。なぜなら「決済」には使えませんが、将来的には「購買力がある」と信じられているので、金利などがついて有利だからです。

したがって、「金融商品」を保有している人は「おカネ(購買力)を保有している」と考えます。他方、「金融商品」は「決済できない」ので、今すぐにはモノを消費したりすることはできません。

つまり、「金融商品」という「おカネ」が沢山あっても「決済できない」ので、「決済できる」という意味での「おカネがない」という状態があり得ることになります。

それがまさに現在であり、「おカネ(金融商品)が沢山あるが、おカネ(決済資金)がない」という状態であると、中央銀行等は考えているのです。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第36号、いかがでしたでしょうか。

先週仕事で日中銀座の町を歩いていた時のこと。 何かの撮影かと思えるほど何台もの大型観光バスが 連なって停車していました。

中から出てきたのは全て、 沢山の貴金属をまとった中国人観光客でした。

中国の好景気は誰もが知るところですが、 聞くとその中国人富裕層に、 日本の観光旅行が大人気なのだそうです。

特に多くのブランド商品が一同に介する東京銀座は、 観光プランに入っていないと苦情が発生するほどの 要地だと聞きました。

この需要を受け、ドラッグストア大手のマツモトキヨシは 中国からの観光客向け決済サービス「銀聯(ぎんれん)」の 取り扱いを始めたとの報道もなされています。

今年はオリンピックイヤーですし、 中国発の好景気の波に日本が大きく連動する日が 迫っているのかも知れませんね。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

株式・資産形成講座
一戸

| 配信停止 | お問い合わせ | 個人情報保護方針 |

copyright(C)BUSINESS BREAKTHROUGH Inc. All Rights Reserved.

資産形成について少しでも知識を高めたい方はまずは無料講義体験へ。

  • 無料講義体験
  • 講座申込み