先物取引所の統合のニュースです。
北米最大の先物取引所CMEグループは17日、原油先物などを上場するニューヨーク・マーカンタイル取引所を傘下に持つNYMEXホールディングスを買収すると発表しました。
今、世界にお金の置き場所がないような状況で、株式や投資信託などがが「少し危ない」ということになると、原油や金などの商品取引のほうにシフトする流れがあります。
原油や金はコモディティと呼ばれていますが、その中で世界的に非常に強いのがシカゴ・マーカンタイル(CME)です。
そのシカゴ・マーカンタイルがニューヨーク・マーカンタイル(NYMEX)を買収するとなると、商品の先物やデリバティブ取引が非常に大きくなるので、これは大きなニュースといえます。
それでは、ここで図を見ていただきたいと思います。
図の数値は全体を100としたときのパーセントです。
シカゴ・マーカンタイルとニューヨーク・マーカンタイルを合わせると、手数料収入だけで23億ドルにもなるので、相当大きな取引所になります。
もともと穀物・畜産物はシカゴ・マーカンタイルが得意で、ニューヨーク・マーカンタイルのほうはエネルギーや金属が得意というように、両方の取引所はポートフォリオや得意技が少し違っていたので、今回の買収で通貨、エネルギー、株式、金利、穀物・畜産物までを扱うかなりバランスのいい取引所ができることになります。
さらに取引までもがワンシステムでできることも注目すべきポイントでしょう。
それでは、別の図を見ていただきたいと思います。
ブルーが証券・株式、黄色が商品・金融先物などのデリバティブ関係の今の状況を表したものです。
左側のヨーロッパから見ていくと、ドイツはドイツ取引所とユーレックスの両方を持っており、ユーロネクストにはライフ(LIFFE)というのがあります。
それから世界最大規模の非鉄金属専門の取引所のロンドン金属取引所(LME)があり、OMXは両方持っています。
それからヨーロッパにはICEフューチャーズというのがあります。
右側のアメリカのほうは、ニューヨーク証券取引所がユーロネクストと合併して、ナスダック(NASDAQ)とはライバル関係にあります。そしてそのナスダックはOMXを買収しています。
シカゴ・マーカンタイルは、老舗のシカゴ商品取引所をすでに買収しており、さらに今回はニューヨークのほうのマーカンタイルを買収しました。
つまり、またしても東京証券取引所等の日本の証券市場だけが、世界の潮流から取り残されたわけで、まさしく「置いて行かれた」ということになります。
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