世界中の取引所が集約!またも置いていかれる日本|株式・資産形成講座メルマガ

  2008/4/9(水)  
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世界中の取引所が集約!またも置いていかれる日本

先物取引所の統合のニュースです。 北米最大の先物取引所CMEグループは17日、原油先物などを上場するニューヨーク・マーカンタイル取引所を傘下に持つNYMEXホールディングスを買収すると発表しました。

今、世界にお金の置き場所がないような状況で、株式や投資信託などがが「少し危ない」ということになると、原油や金などの商品取引のほうにシフトする流れがあります。

原油や金はコモディティと呼ばれていますが、その中で世界的に非常に強いのがシカゴ・マーカンタイル(CME)です。

そのシカゴ・マーカンタイルがニューヨーク・マーカンタイル(NYMEX)を買収するとなると、商品の先物やデリバティブ取引が非常に大きくなるので、これは大きなニュースといえます。

それでは、ここで図を見ていただきたいと思います。


図の数値は全体を100としたときのパーセントです。

シカゴ・マーカンタイルとニューヨーク・マーカンタイルを合わせると、手数料収入だけで23億ドルにもなるので、相当大きな取引所になります。

もともと穀物・畜産物はシカゴ・マーカンタイルが得意で、ニューヨーク・マーカンタイルのほうはエネルギーや金属が得意というように、両方の取引所はポートフォリオや得意技が少し違っていたので、今回の買収で通貨、エネルギー、株式、金利、穀物・畜産物までを扱うかなりバランスのいい取引所ができることになります。

さらに取引までもがワンシステムでできることも注目すべきポイントでしょう。

それでは、別の図を見ていただきたいと思います。


ブルーが証券・株式、黄色が商品・金融先物などのデリバティブ関係の今の状況を表したものです。

左側のヨーロッパから見ていくと、ドイツはドイツ取引所とユーレックスの両方を持っており、ユーロネクストにはライフ(LIFFE)というのがあります。

それから世界最大規模の非鉄金属専門の取引所のロンドン金属取引所(LME)があり、OMXは両方持っています。

それからヨーロッパにはICEフューチャーズというのがあります。

右側のアメリカのほうは、ニューヨーク証券取引所がユーロネクストと合併して、ナスダック(NASDAQ)とはライバル関係にあります。そしてそのナスダックはOMXを買収しています。

シカゴ・マーカンタイルは、老舗のシカゴ商品取引所をすでに買収しており、さらに今回はニューヨークのほうのマーカンタイルを買収しました。

つまり、またしても東京証券取引所等の日本の証券市場だけが、世界の潮流から取り残されたわけで、まさしく「置いて行かれた」ということになります。

講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

3月23日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第39回 『供給サイドのGDPと物価の関係』

供給サイドのGDP(この場合、「実質値」)とは、生産手段、つまり、ヒト(労働者)とモノ(生産設備等の資本財)を最大限に使用して、産出できる量と考えます。

ここで、「モノ(生産設備等)」は欲しいと思ってもすぐに「生産できる(つまり、「稼動」)」状態にはならないので、以下では「モノは固定的」と仮定します。

「モノ」を固定することで、雇用量が決まれば「生産量(供給サイドのGDP)」が決定します。また、雇用量は労働需給により決まります。つまり、労働市場において「均衡実質賃金」と「均衡雇用量」が決定されるので、ここで決まる「雇用量」が「生産量(供給サイドのGDP)」を決定することになります(「雇用量(N)↑」ならば「生産量(Y)↑」になります)。

ところで、ここにおいて「物価が上昇した」とします。「生産量(供給サイドのGDP)」はどうなるでしょうか?

労働市場において「物価が上昇する」と、名目賃金が変化しない場合、「実質賃金は低下する」ことになります(実質賃金(w/p)は名目賃金(w)を物価(p)で割って求めますから、「物価(p)↑」なら「実質賃金(w/p)↓」になります。)。

そうすると労働者は「安い賃金では働きたくない」ので、労働供給は減り、労働市場においては「労働者不足」が生じます。

労働需要者である企業は、それ(労働不足)に対応するために「名目賃金」を増やすことになり、結局のところ物価が上がる前と同じ「均衡実質賃金」と「均衡雇用量」に戻ることになります。

つまり、「生産量(供給サイドのGDP)」は物価に対しては「中立」ということになります(「物価がどのような水準であっても供給サイドのGDPは変化しない」ということです)。

これを元に市場メカニズムを考えると、「供給サイドのGDP」は物価がどのような水準であっても変化しないので、需要サイドが増加しても均衡GDPは増加せず、物価だけが高くなることになります。

つまり、「物価が変動しても名目賃金が変化して(実質賃金が元に戻るため)雇用量は変化しない」ということになります。

しかし、現実には「失業」というものが存在しています。

この点についてケインズは「名目賃金は下方に対して硬直的である」という仮定とともに、通常、非自発的失業が存在するとして、理論を再構築しました。

つまり、名目賃金が下方向に対して可変的ではない(つまり、「下方硬直的である」)ような「短期」では、現実の実質賃金は本来の均衡実質賃金より高い位置になっていると考えられ、それゆえに非自発的失業が存在すると仮定することになります。

この状態から物価が高くなれば高くなるほど実質賃金は低下し、「失業者が減少する」という意味で雇用量が増加する(但し、社会全体に失業者がいなくなるような「完全雇用状態」であれば、それ以上、雇用できないので「雇用量」は増加しない)ということになります。

これが、いわゆる「フィリップス・カーブ」といわれるものの説明にもなります。

そして、このような理論により、物価が上昇すれば、「(失業者の減少という意味で)雇用量」が増加し、それに伴い、生産要素が増加することになるので、「供給サイドのGDP」は増えることになります。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第45号、いかがでしたでしょうか。

先週末、私の所属するビジネス・ブレークスルー大学院大学の2008年度春期入学式(MBAコース)がありました。

式典の中では学生データの紹介があったのですが、これが実に様々!

会社は違えど役員クラスの方と主任クラスの方がそうした立場の違いを超え一緒に学ぶ、親子ほど年の離れた方同士がMBA取得という共通の目的に向かって互いに2年間切磋琢磨しあう環境は、単なる学位取得にとどまらず、他にも沢山の有益な人生経験を積むためのフィールドとなることでしょう。

新たな学びや成長を志すのに年齢や立場など全く関係ないことを再認識した一日でした。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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