「日本は不況」は誤り!? 消費データが示す日本の景気事情|株式・資産形成講座メルマガ

  2009/4/29(水)  
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「日本は不況」は誤り!? 消費データが示す日本の景気事情

全国消費者物価指数と小売業販売額を読み解くと不景気ではあるが、まだ不況ではない!?

よく「不景気の株高」と言われますが、みなさん誤解して使われる場合が多いようです。 「不景気の株高」は確かにありますが、「不況時の株高」というものはありません。不景気と不況は、違うものだからです。 不況は、それこそ職も含めて何も無いという時のこと。1929年、米国の恐慌当時も株が暴落したように(その後もちろん上がりましたが)、不況の時には株価が上がりません。 しかし不景気というのは、贅沢を言わなければまだ仕事もあるし、いろいろなセーフティーネットが機能していて、ルールも守られているという状況のことをいいます(不況になると、そういったものも機能しなくなります)。

繰り返しになりますが、不景気の株高はありますが、不況の株高はありません。 今はまだ不景気ですが、これがもっと悪くなり不況になった時には、株価も上がりようが無いので要注意でしょう。 しかし今はまだ、不況というような状態には至っていません。それを示す一つのポイントが、「全国消費者物価指数(除く生鮮食品)」です。



過去、全国消費者物価指数は100を越えるどころかマイナス、つまり、デフレ傾向であると言われていましたが、現状ではそれが100を越えています。物価は横ばいではありますが、「物が売れなくなる」「デフレ傾向に陥る」というところまでは、まだ行っていません。 ですから今は不景気ではあるが、不況とまでは言えない状況です。 ここから在庫がどんどん積み上がり生産調整がさらに続き、物価がどんどん下がっていくような状況になると少し危険だと思います。そんな時に株が上がると思って買ってしまうと、さらに下がるところを買ってしまうので要注意です。

まだ不況までは行っていないという、もう一つの裏付けが「小売業販売額」です。



コンビニエンスストアがtaspo効果で売り上げが伸びたと言われますが、(以前に比べると伸びてはいるものの)現在は伸びが鈍化しています。そして消費に関してはコンビニエンスストアの一人勝ち状況であり、百貨店は高額商品が売れない、スーパーマーケットも売上が落ちているという状況になっています。

みなさんも株式投資に関して、食品や医薬品など「ディフェンシブストック」という言葉を聞いたことがあると思います。 しかし今や医薬品業界は、海外進出により海外の売上比率が5割を超えており、例えばエーザイは6割超、武田薬品工業は5割超といった具合です(会社四季報調べ)。そうなると為替の影響を受けるので、もう医薬品はディフェンシブだとは言えなくなっています。 そして食品も同じです。

食料品を買うというと、スーパーマーケットで素材を買って自分で調理して食べるというイメージが一般的だと思います。しかし単身者の若い人などは、コンビニエンスストアの弁当や出来合いの惣菜で済ませてしまうことも多く、そのあたりの感覚が変わってきている可能性があります。ディフェンシブと言った時に、これまで言われていた通常の食品メーカーよりは、コンビニエンスストアにお弁当を卸している会社のほうが業績は伸びる可能性があるということですね。 内需関連株などにおいても「何がディフェンシブか?」という見方は変わってきています。そのあたりも少し世の中の流れに合わせて、過去の話を鵜呑みにせず、今の時代に合うような選び方を是非心がけていただきたいと思います。



講師紹介
大前研一
株式会社インベストラスト 
代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之

4月16日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、構成したものです。
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第92回 『株式投資も「レッドクリフ」に学ぼう!』

「レッドクリフ」という映画は「見ていない」としても、TVのCMで大々的に宣伝しているので「名前だけは」という方も多いのではないでしょうか。ここで"red"は「赤」であり、"cliff"は「断崖」ですから「赤壁」という意味です。つまり、この「レッドクリフ」とは三国志の名場面「赤壁の戦い」を題材にして映画化したものです。

三国志といえば、劉備(蜀の王)、曹操(魏の王)、孫権(呉の王)の覇権を巡る戦いの小説ですが、その中でもこの「赤壁の戦い」はもっとも心に残るシーンの一つといえます。その部分を映画化しているのであり、ストーリーを知っていてもわくわくするものがあります。

とはいえ、「何故、わくわくするのか」と考えると、100万の曹操軍に対して呉と蜀の連合軍10万ほどの軍勢しかない中、「当然、連合軍の負け」のはずが、蜀の軍師である諸葛孔明の智慧によって逆転勝利をおさめたからだと思います。つまり、"小(完全に負けそうな側)"が"大(完全に勝ちそうな側)"と正面から戦って、"小"が勝利した時の意外性が人の心に「わくわく感」を与えるのだと思います。この場合、「ズル」はよくないものの、「機転」の利いた行動により勝利を得ることができた時、人は「素晴らしい」と思うものであり、そこに「智慧」の大切さを改めて感じるのでしょう。

この「智慧」ですが、株式投資にも大切になります。といっても、投資家側に求められるというよりも、投資先企業側に求められるものではありますが・・・

しかし、投資家としては当該企業にそのような智慧があり、また、その実行力が備わっているのかを見極める力(つまり、目利き能力)が必要になります。それがなければ投資で勝利を得ることは叶いません。

本来、株式投資というものは現状分析を行って「こうなるだろう」という部分は、大方の人がそのように思っているはずであり、それで利があるとすれば、すでに株価に織り込まれてしまっているはずですから、そこで儲けることはできないことになります。したがって、多くの場合、現状分析だけでわかるような材料は、それがたとえ非常にセンセーショナルなものであっても、株価はほとんど無反応であり、場合によっては思っている方向とは逆に動くことさえあります。

レッドクリフの例でいえば、曹操軍が勝利したのであれば、世間は「然もあろう」ということになり、呉も蜀もその後歴史の中に埋もれてしまう存在になっていたはずです。ところが諸葛孔明の「人を見極める目」「自然科学に対する知識」「実行能力」によって、曹操軍を打ち破ることができたわけであり、そこに多くの人が勇気づけられるのだと感じます。

このようなことから、ここで「曹操軍」などを株式の銘柄と考えると、「赤壁の戦い」の後、曹操軍の株価が急落するとともに劉備軍の株価が急上昇することになるはずです。つまり、曹操軍と戦う前に劉備軍を購入していれば、大儲けできたことになるでしょう。とはいえ、「赤壁の戦い」の前に劉備軍を購入するのは非常に難しいですよね。実績もないし、弱小国なのですから、曹操軍を打ち破るなどということを「想像(妄想)」することさえできないからです。

したがって、このような銘柄を投資対象にすることはできません。

ただ、もしそれができるとすれば「大儲け」が確実になります。これができるのは「プロ中のプロ」といわれるような一部のファンドマネージャしかいません。彼らは企業が上場するかしないかのうちから、非常に先見の明のあるような経営者に目をつけ、彼らの経営判断に注目しています。しかも、何年もかけて観察し、企業に「智慧」「(人の)和」「(先を見通すことのできる)目」などがあるか否かを慎重に見極めます。

三国志の例でいえば、プロたちは諸葛孔明が「臥龍」と呼ばれて、世に出ていない頃から彼の才能を観測していたということになります。とすれば、「彼なら曹操軍を打ち破る可能性がある」という確信を持ち、劉備軍に投資したかもしれません。

まぁ、このようなことができるのは、彼らが「業務(つまり、仕事)」だからできることであり、一般の人がこのような行動をすることは難しいことではあります。実際、他に仕事がある状態でここまで調査する必要はないと思います(できれば「凄い」ことではありますが・・・)。

となると、「赤壁の戦い」のようなセンセーショナルな事態による「絶好の儲け場」は、個人投資家には存在しないことになってしまいます。

確かにそうかもしれませんね(汗)

けれども、諸葛孔明はこの「赤壁の戦い」の後も普通では考えつかないようないろいろな戦略によって敵を翻弄し、極小の存在であった蜀の国を、魏や呉とならぶ「三国の一つ」に数えられるまでに大きくしました。また、国を大きくしたのは、一人、諸葛孔明だけの功績ではなく、王である劉備の仁徳に加え、関羽や張飛などの将軍の働きなどが寄与していたのは間違いないと思います。

このように「赤壁の戦い」という"絶好の儲け場"は逃すことにはなりますが、その後、劉備軍という銘柄を購入すれば、長期的な利益が上がっていたと思われます。

同様に、常にいろいろな企業を様々な角度から観測しておけば、「この企業にこんな智慧があったのか」という経営判断を行う企業を発見することができるはずです。単なるラッキーである場合は除いて、そのような企業の場合、世間を"あっ!"と言わせるようなことをしてくれることが多いものです。

企業はゴーイングコンサーン(継続企業)ですから、一度や二度、買い損なったとしても、買い場は何度も訪れるものです。したがって、個人投資家としても、できる限り企業をチェックするとともに、「これは」と思うような企業については継続してウォッチしておくことで、プロに負けないような成果を上げることができるかもしれません。

企業というのは「器」でしかないので、良くも悪くも"人"が全てです。財務内容を調べることも、外部環境(景気動向など)を考慮することも必要ですが、最後は"人"によって企業業績は左右されることになります。ですから、「普通の智慧」であれば、それは並みにしか評価させず、そこにはサプライズはありません。とはいえ、「奇想天外な智慧」であっても、単に奇想天外なだけでは企業として生き残ることはできません。

「智慧」「(人の)和」「目(先見の明)」などが、「並はずれて凄い」という企業を、まだ、世間であまり知られていない時から発掘し、そこに投資をすることで、長期的に高い収益をもたらす資産を保有することができるようになるのだと思います。

但しここで、このような企業を発掘するためには、「結果が凄い」というのでなく、その結果に至る経営判断や当該企業の資質(智慧、和、目など)を自分で分析し、見極める必要があります。それは好調な状態の時よりも、むしろ企業にとって苦境の状態の方がよくわかるかもしれません。特に今のような不況期における経営判断や行動は、将来の当該企業の成長に多大な影響を与えることになるでしょう。

このような経済状態だけに、是非、企業の内面をよく観測し、真に「力強い企業」を発掘していただきたいと思います。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第98号、いかがでしたでしょうか。

最近にわかに「早朝勉強会」がブームになっていると友人から聞きました。

集まるのは週末ではなく平日の出社前。

SNSなどで、同じ目的を持つ仲間を募って喫茶店などに集まり、最も頭の冴える朝の数時間を共に有効活用しましょうというものです。


数年前、私が資格学校で出会ったあるサラリーマン受講生の方は「社会人はどうしても学習が孤独になりがちなので、モチベーション維持の目的としてもこうして退社後に通学することが大切なんですよ」とおっしゃっていましたが、このような方にはまさにうってつけ。

私も刺激を受け、来月仲間内で朝7時から投資勉強会を開こうと話しています。


グローバルマネー・ジャーナル、次号は再来週にお届けします。

皆さんよいゴールデンウィークをお過ごしください!    

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