インフレヘッジとしての金買いと3つの投資方法|株式・資産形成講座メルマガ

  2009/7/8(水)  
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インフレヘッジとしての金買いと3つの投資方法

金価格は調整局面に入っていると思われます。ひょっとするとこれから先900ドルを割り込むかもしれませんが、その後は再び上昇すると見ています。その理由はインフレ懸念とドル安、ユーロ安にあります。

ドル安とかユーロ安というと、日本の投資家はドル円やユーロ円を思い浮かべると思いますが、世界全体の通貨関係を見る必要があります。ドルは、このところ少し反発をしていますが、この数ヶ月、一様に対新興諸国通貨に対して安くなっています。しかしドル円だけは、最近はドル安円高であるものの、傾向としてはドル高円安になっており、他の世界の通貨とは正反対の動きになっています。



同様にユーロも新興諸国等の通貨に比べて安くなっています。というのは、ユーロ経済圏については、中東欧の囲い込みによって、安い労働力や新しい市場の開発で発展してきましたが、現状、それらが逆にお荷物になっているからです。つまり、サブプライム問題で傷んだ欧州の銀行が、これらの国に貸し渋っているからなのです。たとえば、ラトビアは、2009年第一四半期の経済成長率が▲11%であったため、格付けがBBBからBB+に格下げされました。そのため6月3日の短期債券入札の応募がゼロという事態に陥ったというわけです。IMFなどの緊急融資でデフォルトは免れていますが、ラトビアに貸し込んでいるスウェーデン等の銀行の信用が低下しています。

このような状態なので、投資家はドル資産も危なく、ユーロでも持てないことことから、新興諸国通貨や円等への投資に向かったのですが、米国の個人消費の回復が当面見通しが立たない中、米国向け輸出依存度の高いこれらの諸国の通貨も、それほど魅力的とはいえない状況です。

そこで投資の逃避先として金が見直されることになると私は考えています。

景気はいずれ回復すると思いますが、その時に巨額に発行された通貨の価値は下落して物価は上昇するでしょう。インフレ懸念はインフレヘッジとしての金買いを加速させます。ですから、このところの金価格の一時的下落は金の絶好の買い時だとも言えます。

なお、金を買うには3つの方法があります。ひとつは金塊や金のコインなどを買う現物投資、これには純金積立が含まれます。2つ目は金のETF、3つ目は金の先物投資で、それぞれに以下のような特徴があります。

現物の場合、持ち運びに便利ですが保管リスクがあります。純金積立は手軽であり、保管リスクは無いが、業者の倒産リスクがあります。信用のおける先を選ぶべきです。あとは両方とも現物投資の場合、売る時は買うときよりも72円(現行)安くなってしまうという手数料の問題があります。

金のETFは証券口座があれば簡単に売買できるのが取り柄ですが、年間約0.26%の信託手数料が売却時に差し引かれ、長年持つと大きな手数料となります。

最後に金の先物取引は、売買差はありませんが、将来の受け渡しを契約するので、将来になればなるほど高く価格が設定されています。証拠金取引なので、300万円近くの金地金1キロを15万円の頭金(証拠金)で取引できます。




講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学 株式・資産形成講座講師
株式会社フィスコ コモディティー代表取締役社長
近藤 雅世

6月25日放送
「金融リアルタイムライブ」より抜粋し、構成したものです
大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第100回 『"投機"って、本当に悪いことなの?!?!』

"(証券)投資"という言い方に比べて"投機"という場合、何か「悪いこと」をしているような感じを受けますよね。実際、投機といえばデイトレーダーのような行動を思い浮かべますが、日々、売買を繰り返すデイトレーダーは、それ自身、"正業"と言うイメージは薄いと思います。

では、この2つ(投資と投機)に本質的な違いがあるのでしょうか?

これにはいろいろな考え方があるので、一概には言えないのですが、学術的に明確な違いが存在しているようには思いません。つまり、「同じ」と考えた方が良いと私は思っています。例えば、ケインズが考えている「(「貨幣の投機的需要動機」でいう)投機」とは、損失が発生すると予想される場合、損失を回避すべく、金融商品を売却し、現金に換えようとするような行動を指します。したがって、逆に、利益の発生が予想される場合には、おカネではなく、金融商品を保有することで利益を得ようとする行動も、同様に投機ということになります。ということは、これって、一般の証券投資と同じであり、通常の株式投資は"投機"ということになりますよね。

さらに、ケインズの考えでは、投機的に使用されるおカネというものは(どのくらいの時間を考えるかにもよりますが・・・)、そもそも、モノとの交換やそれを予定しているおカネではないと考えているので、例えば、金融商品を売却したとしても、そのおカネで別のモノを購入する(つまり、「消費する」)という種類のおカネではないということになります。

では、売却したおカネはどうするの?

それは簡単です。金融商品に利益が発生するような時が来るまで「おカネのままにして、次の機会を、気長に待つ」ということになります。

おカネを「金融商品にも、モノにもせずに、そのままにしておく」と利子がつかないから機会損失を蒙ることになりそうです。しかし、モノを購入する予定のないおカネであって、将来損失が予想されるのであれば、敢えて火中のクリを拾うような真似をする必要はなく、むしろ、おカネのままの方が「得」という場合もあるわけです。つまり、おカネをモノのために使うのではなく、増殖のために使うというのが"投機"といえます。

でも、これって「悪いこと」なのでしょうか?

一般に「あぶく銭」という感じがあり、特に日本人には良いイメージを持つ人は少ないのですが、少なくとも株式市場においては、このような"投機"をする主体がいなければ、市場は機能しなくなってしまいます。

その点について考えてみましょう。

まず、純粋に"投資"として株式を購入するとします。とはいえ、ここで「純粋に"投資"する」というのは、どういうことでしょうか。

「利を求めて買い」「損失を予想すれば売る」ということが"投機"だったわけなので、そのような行動をしない投資家行動が"投資"ということになります。とすれば、それは主に「当該会社の経営権を取得するため」ということで株式を購入することが"投資"ということになりそうです(「配当を得るため」という場合、配当がなくなれば売るわけでしょうから"投機"と同じ考えになると思われます)。また、「売る」にしても、その次の機会のために待機するのが"投機"だったわけなので、"投資"の場合には、その資金を、実物経済に投入する時のみ、売却することになるのでしょう。

このような定義のもとに、すべてが"投資"だったとすると、どうなるでしょうか?

まず、資金が必要になるのは、純粋に個別的な事情であり、それは市況とは関係がありません。したがって、例えば、市況が最悪時に「どうしても売りたい」という場合、それを購入しようとする人を見つけるには、かなりの困難が予想されます。しかも、買い手としても「売ることを前提としていない主体」ということであり、経営権を取得することが目的になることから、その選考基準は非常に厳しいものになると思われます。

つまり、すべてが上述の基準に基づく"投資"であったとすれば、「売り」「買い」の一致が極めて難しく、市場で値段が付きにくくなるということが予想されます。

さらに、確かに株式には「経営権が付いている」のが普通であり、それは重要な権利ですが、それを目的にして売買をするには、かなりの資金量が必要になってきます。その意味で、"純粋な投資"というのは、株式市場においては非常に少ないといえるのではないでしょうか。このように売買が不活発になってしまうと、「売りたい時に売れない」「買いたい時に買えない」ということから、市場として成立しなくなってしまいます。

実際、発展途上国の極めて初期の経済段階の場合、(先進国からの資金が流入しなければ)当該国の中でおカネが不足しているのであり、その意味では利殖目的のおカネなどほとんど存在しないことから、株式市場というのは不活発になり、一般的には銀行システムによる金融ルートがいち早く発達することが多いものです。

他方、先進国の場合、実物経済において有効な投資先が少なくなってくるので、おカネ自体が余剰化してきます。余剰化したおカネは「何かモノを購入するため」というのではなく、現時点で「有効な使い道が見つからない」という種類のおカネと考えられます。つまり、本当に使う必要があるのであれば、いつでも出動できるものの、現状、そのような状態にないので、使用しないで待機しているおカネということになります。これは家計でも同じであり、「何かわからないが、将来が不安だから」ということで残しているおカネが、まさにこれであり、一般に「貯蓄資金」といわれるものといえます。

このようなおカネは「経営権を求める」というような投資は極めて少ないのですが、「利益がある」と思えば金融商品にしておいても問題はないおカネといえます。なぜなら、現状、使用する予定がないからです。しかも、当面、使用する予定がないので、金融商品を売却した後、モノを買う必要もなく、おカネのままにしていてもいいわけです。

このような行動は、まさにケインズの言う"投機"ということなので、一般の"(証券)投資"というのは、イコール、"投機"と考えても良いということだと思うのです。

さらに、このように「利が予想されるから買う」「損が予想されるので売って、おカネのまま保有する」という行動を多くの投資家が行う場合、実際には、「儲かる」「損をする」という部分に対して、投資家それぞれが固有に考えているということは重要です。

そもそも「売買が成立する」ということは、同じ値段でも、「儲かる」と予想する人と「損をする」と予想する人が存在するから成立するのであり、全員がその値段で「儲かる」と思えば、売る人がいなくなってしまいます(逆は逆)。つまり、「儲かる」のか、「損をする」のか、について相反する思惑を持った投資家が、常に市場に存在しているからこそ、市場で価格が形成されるのであり、だから、「売ったり」「買ったり」が自由にできることになるのです。そういう意味で言えば、"投機"という行動もまた重要であり、むしろ、"投機"が活発に行われているような市場ほど「厚みがある市場」ということもできます。

短期売買を殊更に推奨するわけではありませんが、「利が予想されるから買う」「損が予想されるので売って、おカネのまま保有する」という行動を「必要以上に忌み嫌う必要はない」と私は思っています。

講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第106号、いかがでしたでしょうか。

久々に高校時代の友人数人と会いました。

中でも一番の倹約家であり、お金は貯蓄しか興味が無かったM君が投資を始めたと聞き、どんな心境の変化があったのかと尋ねると、「株主優待が目当てでさ」と一言。


確かに最近は株価推移以外の購入要素として、配当よりも優待目当てという投資家も多く、少し検索エンジンで探すだけでも株主優待の魅力や月別の優待情報をお知らせするサイトがいくつも出てきます。

その他にも、例えばavexは優待や配当以外に株主総会当日に限定ライブを開催し、毎年その模様が新聞各紙で報じられています。


株価の値動きだけでなく、それ以外にも企業を買い支える要因があることは、企業にとっても株主にとっても大変素晴らしいことだと思います。

証券会社各社が今後、株主優待目当ての投資家に向けて、優待と絡めた自社サービスを展開するなんてことも面白いかも知れませんね。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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