相次ぐ金融統合で、国民が期待すること|株式・資産形成講座メルマガ

  2009/12/2(水)  
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相次ぐ金融統合で、国民が期待すること

中央三井トラストは、実績のある海外ファンドとも提携せよ

住友信託銀行と中央三井トラスト・ホールディングスが、2011年春に経営統合する方針を固めたという発表をしました。昨年秋のリーマンショック以降の不安定な状況に対応するため、規模の拡大で経営基盤を強化する考えです。

住友信託銀行は、これまで三井住友銀行からの提携の誘いを拒否し続けてきました。今回の中央三井トラストとの経営統合で正式に住友グループから外れるということになるでしょう。これまで住友グループ内で少し浮いた存在だったことを考えると「必然」と言えるかも知れません。

一方の中央三井トラストは、金融庁に提出している経営健全化計画を提出させられているほど、経営的にかなり大きなトラブルを抱えた企業です。 とはいえ、両社が統合すると、100兆円を超える信託業務を抱えることになり、信託部門で日本1位、銀行部門で5位の巨大金融会社が誕生します。



以前、私は中央三井トラストの戦略として、日本だけでなく、海外の優れた運用会社とも提携するべきだと述べたことがあります。なぜなら、それが日本の国民にとっても有益だからです。日本の銀行窓口に、優秀な成績で資産運用できる海外の会社が出てくるわけですから、そこから日本人も世界に開かれた投資ができるようになるのです。


●マネックスグループに期待するのは、世界標準の資産運用の啓発

インターネット専業証券のマネックスグループとオリックス証券も来年1月の経営統合を発表しています。株式市況の低迷でネット証券を取り巻く環境は厳しさを増しており、両者は規模の拡大で経営体力の強化を図る考えとのことですが、私は単なる規模の拡大戦略ではダメだと思います。

北尾氏が率いる業界トップのSBIが積極的な商戦を繰り広げている中、オリックス証券としてはネット証券の草分け的な存在でもあるマネックスグループの松本氏に経営を委ねたという形式です。



確かに両者が統合すると、SBIに次ぐ業界2位の規模になりますが、規模の戦いをするとSBIの北尾氏が一枚上手のような気がします。松本氏は、SBIの北尾氏に比べるとアグレッシブな商戦を展開するというよりは、もう少し慎重な行動を取るタイプだと思います。おそらく、北尾氏ほど派手なことは実行しないでしょう。

ですから北尾氏と張り合って、規模の勝負に打って出るのではなく、私としては別の道を模索してほしいと期待しています。それは「商品の多角化」です。世界のグローバルな商品を日本の市場に持ち込んで欲しいと思います。

例えば、金融危機のボトムから比べるとトルコの株式市場は大きな回復を見せています。もしこうしたボトムのようなタイミングで「トルコの株式市場」を商品として購入できる環境があれば、日本人としても投資の幅が大きく広がっていたと思います。

そしてこうしたことが実現していけば、日本でも「国債以外に買うものがある」ということが分かってくるでしょう。世界から見れば常識的なことですが、日本は資産運用に関してかなり未熟です。日本人の資産運用にグローバルな感性を植えつけるべく、啓発してくれるのであれば、今回の合併は非常に価値があるものになると私は思っています。


講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

11月1日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。

大前研一学長語録
 ブレークスルー経済学
「経済学」というと敬遠する人が多いのですが、実際には「論理的に物事を考える」際には、非常に便利な道具(ツール)です。ここでは、毎回、金融・投資環境に関する事柄を経済学的に解説していきます。是非この機会に、使い方も含めて、習得していただけたらと思います。

第119回 『事業仕分って、もう終わっちゃうの?』

いろいろと話題が多かった事業仕分けは、とりあえず、終わりました。良くも悪くも「政権交代って、こういうことなのね」という実感があったという意味では非常に良かったと思います。来年度は、そもそも民主党政府が予算全体を考えるのだから、今回のような仕分け作業は行わないという意向のようです。でも「民主党だから要らない」というものではないように思うので、やはりここは「公開」で行ってほしいものです。

一旦、公開で行ったものを、政府内部で行うようにすれば、それは「密室でやっている」と非難されるに決まっています。方法等は今回の反省などを踏まえて行うべきですが、来年度も行う方向で調整をしてほしいものです。

ということで「来年度もやる」ということを前提にすれば、改善点は(私見ですが)大きく3点ほどあるように思います。

1.1つ当たりの仕分け作業に、もう少し時間をかけてほしい。
2.国家戦略的なビジョンを示し、事業の選択も含めて、「ルール」を明確にしてほしい
3.仕分け作業の国家的な位置づけをはっきりしてほしい。

まず(1.)、時間が短すぎるように思います。事業仕分人は下準備をしっかりしているので1時間で十分ということなのかもしれませんが、質問に対する回答だけというやり方ではフェア―でないように感じます。質問者(仕分人)は時間を気にして「質問だけに答えてほしい」ということなのでしょうが、だからといって、発言者の意見を聞かないのは良くないと思います。政策実行者にも、それなりの「思い入れ」があるわけですから、「時間がもったいないから、質問だけに答えて!」というやり方は不満しか残らないのではないでしょうか。

「どのくらいの時間が妥当か」という点は難しいのですが、せめて、仕分人と政策実行者の間に「議論の場」があっても良いように感じます。それも、当然、公開の場でやってほしいと思います。

そういう意味では「何から何まで全部やる」という時間はないでしょうから、仕分けを行う事業を選択する必要があります。実際、今回も全体の1割程度だったということですが、そもそも論として「何故、この事業が仕分けの対象になったのか」という点を国民に分かりやすい形で示して欲しいと思います。これが2つ目の要望です。

「仕分けをやります」という話があり、「仕分対象事業はこれです」というだけでは「他の事業は何故やらないのか」という疑問が常に残ってしまいます。細かなルールについては政府内部だけでも良いのですが、「こういう観点で仕分けを行う」というような、つまり、「国家戦略的な位置づけ」がわかるような「ルール」を提示してほしいと思います。これを仕分けるのは「このような意味です」というくらいの説明責任は当然あって然るべきだと思います。

そして、最も気になるのは、仕分けはしたけれども、結局、「仕分け結果を覆します」という可能性があるのかないのかということです。もし、「仕分け結果を覆します」ということがあれば、国民はかなり がっかりすると思います。今回のやり方が「良い」「悪い」ではなく、政府として、または、政権政党としてやったのであれば、どのような結果であっても仕分け結果を重視するのが筋だといえます。でなければ、単なるパフォーマンスに過ぎず、それこそ「時間の無駄」といえます。

その意味で3.として「事業仕分の国家的な位置づけをはっきりしてほしい」と思います。「どのような権限で仕分けをしているのか」「仕分け結果には政府への拘束力がどのくらいあるのか」といった部分を法的に、または、制度的にきっちりと決めてもらわないと、仕分け作業そのものが意味のないものになりかねません。

これからも新しい試みはドンドンやってほしいのですが、今回の事業仕分は国民的な関心も高く、非常に盛り上がっただけに、結果次第では民主党の基盤を揺るがす可能性も否めません。

そうでなくても、現状、政府債務残高が危険水位に達している上に、景気悪化が深刻化し、さらに円高という最悪な時期なのです。ここで「事業仕分けはパフォーマンスでした」となれば、国民の失望感は計り知れないものがあると私は思っています。


講師紹介
前田拓生
前田拓生(Takuo Maeda)

ビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジ
株式・資産形成講座 講師
高崎商科大学大学院 高崎経済大学経済学部 他で
「金融論」関係の講義を担当。
著書:「銀行システムの仕組みと理論」大学教育出版
編集後記
 編集後記
事務局 一戸
グローバルマネー・ジャーナル第125号、いかがでしたでしょうか。

約一年振りに東京ディズニーランドに行きましたが、相変わらずの盛況ぶりでした。

サービスレベルが高いことでも知られる同園ですが、それにしても2時間待ち、3時間待ちのアトラクションによくこれだけの人が並ぶものだと感心します。

オリエンタルランドの収益予測、配当も極めて堅調で、リーマンショックの時も、そして幾多の企業が記録的業績不振を訴える現在においても、株価は大崩れしていません。

今年は上海ディズニーランドの開園予定も発表されましたが、さて、BRICs筆頭中国での経済効果はいかに!?

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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