進む南欧の株価下落、ギリシャを救える唯一の国と、3つの選択肢|株式・資産形成講座メルマガ

  2010/3/10(水)  
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進む南欧の株価下落、ギリシャを救える唯一の国と、3つの選択肢

ギリシャ問題の鍵を握るのは、独メルケル首相

24日、財政危機のギリシャで民間企業労組「ギリシャ労働総同盟」と公務員労組「ギリシャ公務員連合」が一斉ストライキを行いました。また、財政危機に陥ったギリシャの財政状況を視察した国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)などの専門家グループは、同国が公約した債務削減計画を実行するには、既に発表された緊縮策に加え、今年約50億ユーロ(約6千億円)規模の歳出削減などが必要との報告をまとめています。

2010年の欧州諸国の株式市場の株価推移を見ると、ギリシャだけの問題ではなく、「南欧問題」として捉えた方が適切かも知れません。エストニア・リトアニア・ルーマニア・アイスランド・ラトビアなど北欧の国々が5%~25%も株価が上昇しているのに対し、ポルトガル・ギリシャ・スペインなど南欧の国々は逆に5%以上株価が下落しています。



IMFやECBの努力の甲斐もあり、経済的に傷んでいた北欧の小さな国々は着実に経済が復旧し目処がついてきたと言える一方、ギリシャ・スペイン・ポルトガルは底なし沼に足を踏み入れているような状況に陥っています。

こうした欧州全体の状況を見た上で、今ギリシャを救済できるとしたら、それは誰に可能でしょうか?2010年3月1日号BusinessWeek誌によれば、ギリシャを救済できるのは「ドイツだけ」という結論でした。

ドイツがその気になればギリシャを救済することは簡単であり、いかに今のドイツが経済的に強い状況にあるのかを統計的に説明しています。そしてその上で、独メルケル首相が「ドイツを取るのか?欧州を取るのか?」という命題に対して取りうる3つの選択肢が紹介されていました。

それは「ギリシャを放っておく(沈ませる)」「ギリシャを救済する」「ギリシャ救済をIMFに任せる」という3つです。「ギリシャを放っておく」というのは非常に簡単に実現できる選択肢です。またドイツ国民が何かを負担する必要がないため、ドイツ国民は喜ぶでしょう。しかし、ギリシャに続いてポルトガルやスペインまで経済破綻に追い込まれる事態になったら、せっかくドイツを中心に作り上げてきたEUという経済大国崩壊の危機を招いてしまうという見解です。

逆に「ギリシャを救済する」という場合には、独メルケル首相がドイツ国民から叩かれることになります。さらにユーロが痛むということにも繋がります。また、そもそもギリシャを救済したところで、ゴールドマン・サックスに手玉に取られるような体質が変わらなければ意味が無いのではないか、と懸念を表しています。

最後に「IMFに任せる」となると、そもそものEUの存在意義を問われるのではないかと指摘しています。また、IMFの総裁ドミニク・ストロスカーン氏が仏サルコジ大統領の次期大統領選のライバルになる可能性があるため、現時点では仏サルコジ大統領は反対するだろうということです。それにより、ドイツとフランスの関係性が悪化する可能性も示唆しています。

ギリシャの問題1つを見ても、このように全く異なる3つの考え方が成立するのは非常に面白いと思います。そして今この状況に対してどんな手を打つべきかを決められるのは、独メルケル首相だけでしょう。独メルケル首相という女性は非常に賢く、皆から尊敬を集めている人物です。将来はEU大統領としても期待されています。

かつてドイツが統合した際、西ドイツの人々は東ドイツの救済のため、5年間に渡って5%の税金を余計に支払い続けました。これは相当な負担だったと思います。こうした事実をもとに「ドイツは我慢強いので、今回ギリシャの救済も・・・」という見方もあるでしょうが、私はさすがにドイツ国民も厳しい態度を示すのではないかと思います。

今まさに、ギリシャは独メルケル首相の手中にあると言えでしょう。このような状況にあって、独メルケルがどのような選択肢を取るのか注目したいところです。

また欧州全体の統計として、次のような発表がありました。 欧州連合(EU)の総人口が5億人を超えたとのことです。EU統計局は2010年1月時点の加盟27カ国の総人口は5億126万人と推計。欧州経済が厳しい局面でもトルコや北アフリカなどからの移民流入が高水準で続いたとみられ、ヒト・モノ・カネ・サービスが自由に行き交う世界最大の単一市場は当面拡大が続く見通しです。

米国・欧州・日本で比較して見ると、日本のみ人口が伸びておらず、欧州も米国も伸びています。



米国の場合には、移民を受け入れていて、なおかつ移民の出生率が高いこともあり、毎年200万人以上の人口が増えています。EUはその米国を上回り、ついに5億人を超え名実ともに世界最大級の巨大国家になったと言えるでしょう。


講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
大前研一

2月28日放送
「大前ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。

編集後記
 編集後記
事務局 一戸
グローバルマネー・ジャーナル第137号、いかがでしたでしょうか。

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来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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