ギリシャ危機を背景に、金や原油の動きをどう見るべきか|株式・資産形成講座メルマガ

  2010/5/12(水)  
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ギリシャ危機を背景に、金や原油の動きをどう見るべきか

最近は、ギリシャ問題が右往左往しており、商品価格もなかなか定まった方向性を持っていません。 ギリシャのソブリンリスクは、5月は乗り切りましたが数年以内に再びデフォルト、あるいはリスケジュール(返済繰延べ)となる可能性が高いと思われます。その問題は、2001年にデフォルトを起こしたアルゼンチンが、元本を70%削減した上で、償還期日を30年先まで引き延ばしたのと同様な可能性があるということです。これは欧州金融機関に相当なダメージを与えるはずです。

ドイツは欧州向けの輸出で潤ってきましたが、統一通貨ユーロの特典を独り占めにしてきたツケが回ってきたようです。独り勝ちでは勝負は長続きしません。負けた人にお金を貸してゲームを続けるとしても、また貸したお金を奪うのでは、いずれゲームにならなくなってしまうでしょう。

ギリシャに対し、4月に450億ドルの資金支援を決めたユーロ諸国とIMFは、半月後の5月3日当初予定の2倍以上となる1100億ユーロの資金支援を決めました。5月6日は、その条件となる増税や公務員給与カットの財政再建法案がギリシャ国会を通過し、本来なら一段落というところです。しかし、これらの資金は、5月のギリシャ国債償還資金をまかなうには十分なものの、近い将来、更に追加支援しないと資金が足りないといいます。

しかもギリシャでは、ストライキで死者が出るほど、増税や賃金引下げに対する国民の強い不満が表れており、本当に財政赤字を削減できるかは非常に疑問だという声が出ています。 そして、今や欧州経済危機はギリシャのみならず、ポルトガルやスペインにも飛び火し、ユーロという統一通貨の存続さえ危ぶまれています。20%の失業率を抱えるスペインの、経済再建の道程はギリシャ同様困難を極めるでしょう。 ジム・ロジャーズは、ユーロが15~20年以内に「死せる通貨」になると宣告しました。

さて、こうした事態は商品価格にどのような影響を与えているでしょうか? 金の場合、ユーロ圏のソブリンリスクの高まりは、欧州金融機関の金融不安を呼び起こし、それが金高の要因となります。ユーロ安・ドル高は、ドルベース金価格の下落方向への影響が少しはあるものの、グラフで見られるように、最近ではユーロ安ドル高が金安に繋がっていません。従って、ユーロ圏の不安心理は、中長期的には金価格を上昇させるものと思われます。



一方、景気の回復に合わせて上昇してきた原油価格は、依然としてNYダウ平均株価と0.89の高い相関を保っています(2010年1月4日~5月5日)。



4月の米国自動車販売が前年同月比20%改善し、米サプライマネジメント協会 (ISM)が発表した4月の製造業景況指数は60.4と、前月の59.6から上昇し、3月の個人消費支出(PCE)は前月比0.6%増加するなど、景気動向や消費の高まりが見られれば、株価同様、原油価格も上昇気運となります。

しかし、欧州危機が景気の悪化をもたらすという意味ではネガティブに働き、またユーロ安ドル高も、ドルベースのNY商品価格一般を下げる方向に動きます。86ドル辺りに高値抵抗線があり、景気上昇要因も原油価格にはすでに相当織り込み済みです。

こうして、ユーロ圏のソブリンリスクは、どちらかというと金価格を上げ、原油やその他の商品価格を横ばいか下げる方向に働くでしょう。



講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学 株式・資産形成講座講師
株式会社フィスコ コモディティー代表取締役社長
近藤 雅世

5月7日執筆
「金融リアルタイムライブ」の内容より抜粋し、一部再構成したものです
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第145号、いかがでしたでしょうか。

先週末のギリシャ危機を背景とした世界同時株安、本当に驚きました。

朝起きてパソコンの電源を入れると、取引時間中とはいえ、一日で1,000ドルもNYダウが下がったとのニュースを目にし、朝8時の売買予約開始時間まで「自分の株がどれくらい影響を受けるのか」ハラハラしていました。

株は持ち続ける限り損が無いのでまだマシですが、為替(FX)トレードをやっている友人からはこの日の朝、「強制ロスカット(損切り)に遭ってしまった」とのメールが2通も届き、すぐには返信の言葉が出てきませんでした。


また週末、大前研一がスカパー757chで生放送している「大前研一ライブ」を観ていたところ、「(財政危機や雇用など、)今のギリシャに起こっていることは、同じ現象が日本に起こるという警告として見るべき」との話があり、リーマンショック後の景気回復が決して楽観視できないことを再認識しました。

利回りの高い運用は誰もが目指したいところですが、そのようなリスクも考慮した商品分散、国際分散投資を心がけたいものです。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!    

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